創世記45:1-15 『神の計画の実現』 2008/11/23 松田健太郎牧師

創世記45:1~15
45:1 ヨセフは、そばに立っているすべての人の前で、自分を制することができなくなって、「みなを、私のところから出しなさい。」と叫んだ。ヨセフが兄弟たちに自分のことを明かしたとき、彼のそばに立っている者はだれもいなかった。
45:2 しかし、ヨセフが声をあげて泣いたので、エジプト人はそれを聞き、パロの家の者もそれを聞いた。
45:3 ヨセフは兄弟たちに言った。「私はヨセフです。父上はお元気ですか。」兄弟たちはヨセフを前にして驚きのあまり、答えることができなかった。
45:4 ヨセフは兄弟たちに言った。「どうか私に近寄ってください。」彼らが近寄ると、ヨセフは言った。「私はあなたがたがエジプトに売った弟のヨセフです。
45:5 今、私をここに売ったことで心を痛めたり、怒ったりしてはなりません。神はいのちを救うために、あなたがたより先に、私を遣わしてくださったのです。
45:6 この二年の間、国中にききんがあったが、まだあと五年は耕すことも刈り入れることもないでしょう。
45:7 それで神は私をあなたがたより先にお遣わしになりました。それは、あなたがたのために残りの者をこの地に残し、また、大いなる救いによってあなたがたを生きながらえさせるためだったのです。
45:8 だから、今、私をここに遣わしたのは、あなたがたではなく、実に、神なのです。神は私をパロには父とし、その全家の主とし、またエジプト全土の統治者とされたのです。
45:9 それで、あなたがたは急いで父上のところに上って行き、言ってください。『あなたの子ヨセフがこう言いました。神は私をエジプト全土の主とされました。ためらわずに私のところに下って来てください。
45:10 あなたはゴシェンの地に住み、私の近くにいることになります。あなたも、あなたの子と孫、羊と牛、またあなたのものすべて。
45:11 ききんはあと五年続きますから、あなたも家族も、また、すべてあなたのものが、困ることのないように、私はあなたをそこで養いましょう。』と。
45:12 さあ、あなたがたも、私の弟ベニヤミンも自分の目でしかと見てください。あなたがたに話しているのは、この私の口です。
45:13 あなたがたは、エジプトでの私のすべての栄誉とあなたがたが見たいっさいのこととを私の父上に告げ、急いで私の父上をここにお連れしてください。」
45:14 それから、彼は弟ベニヤミンの首を抱いて泣いた。ベニヤミンも彼の首を抱いて泣いた。
45:15 彼はまた、すべての兄弟に口づけし、彼らを抱いて泣いた。そのあとで、兄弟たちは彼と語り合った。

今日は子供祝福式なので、例年のように特別メッセージをしようかとも思っていたのですが、今日は創世記からは最後のメッセージの予定だったので、今日を逃してしまうと尻切れトンボになってしまいます。
なので今日は予定通り、ヨセフの話を締めくくりたいと思います。

皆さん、先週までの話を思い出していただけますか?
羊飼いだったヨセフは兄弟達に売り飛ばされてエジプトの奴隷となり、その後囚人となり、牢獄でパロの夢を解き明かしてそこから一気に大臣となっていったのでした。
普通に考えれば、誰も予測できないような人生の大転回ですが、神様の御業は、私達の予測を大きく超えて働くものですね。

さて、パロの夢の中で示されていたように、エジプトは7年かの大豊作の後、これまでにない大飢饉が起こりました。
それはエジプトだけでなく世界中に及び、食料を求めて来るのはエジプトの人々だけでなく外国からも大勢の人々が押し寄せたのです。

ある時、「どうぞ食べ物を売ってください。」と平伏した人たちを見て、ヨセフは驚きました。
そこに平伏していたのは、何とヨセフの兄弟達だったのです。
ヨセフの人生は、ただ単に奇想天外で驚きに満ちたサクセス・ストーリーではありません。
ヨセフの人生に用意された神様の計画は、ここから新たな展開を見せて最終的な目的を果たしていく事になります。
彼の人生にこの時用意されていた主の計画、それは家族との和解でした。

① 兄達との再会
さて兄達の方は、自分の目の前にいるエジプトの大臣が、20年以上前、自分達が商人に売り飛ばしてしまった弟のヨセフであるとは思いもよりません。
しかし、ヨセフの方は、そこに10人のヘブル人たちが平伏すのを見たとき、それが兄たちであると、すぐに気がつきました。
そして、自分が17歳の時に見たあの夢を思い出しました。
夢の中で集めた穂の束が立ち上がり、兄達の束がヨセフの束に向かっておじぎをした事。
そして、太陽と月と11の星達がヨセフに向かって平伏す夢を見た事。
その夢が、図らずも今目の前で現実のものとなっている。
その事をヨセフは感慨深く思った事でしょう。

しかしヨセフは、自分が弟であるという事を、すぐに彼らに告げようとしませんでした。
ヨセフは兄弟達にわざと厳しく当たり、食べ物を売る代わりに兄のシメオンを人質にとって、今度来る時には一番下の弟を一緒に連れてくるようにと彼らに命じたのです。

ヨセフはどうして最初から自分の正体を明らかにしようとしなかったのか、そこには色々な説や考え方があり、確かな事はわかりません。
ただこれは僕の推測でしかありませんが、ヨセフは弟のベニヤミンを助けたかったのではないかと思うんです。
ヨセフ亡き後、父ヤコブはヨセフに向けていた愛情を、同じ母親をもつベニヤミンに向けることでしょう。
兄弟達が昔のままのいじわるな人たちであれば、ヨセフに向けられていた怒りと憎しみの矛先は、ベニヤミンに対して向けられているはずです。
だとすれば、自分と同じように苦しめられているかもしれない弟を助けなければならない。
だからこそヨセフは、兄弟達に一番下の弟であるベンヤミンを連れてくるようにと言ったのではないかと思うのです。

しかしヨセフは、脅すために牢獄に入れた兄弟達がポツリと本音を漏らすのを耳にします。

創世記 42:21 彼らは互いに言った。「ああ、われわれは弟のことで罰を受けているのだなあ。あれがわれわれにあわれみを請うたとき、彼の心の苦しみを見ながら、われわれは聞き入れなかった。それでわれわれはこんな苦しみに会っているのだ。」
42:22 ルベンが彼らに答えて言った。「私はあの子に罪を犯すなと言ったではないか。それなのにあなたがたは聞き入れなかった。だから今、彼の血の報いを受けるのだ。」

彼らのその言葉を耳にして、ヨセフは彼らからこっそり隠れて、泣きました。
兄弟達が、ヨセフを奴隷に売ってしまったあの事件を心の中で悔やんでいる事を知ったからです。
長い年月の間に心砕かれ、変えられたのは自分だけではなかった。
あの兄達もまた成長し、かつての罪を悔やんでいたのです。
元もとの計画では、ベニヤミンだけ助けられれば良いと思っていたかもしれませんが、ヨセフの心はそれとは違う方向に動き始めていました。
しかし、確信が欲しい。
兄弟達が昔の罪を悔い改め、確かに変えられたのだという事をしかと知りたい。
ヨセフはシメオンを残した他の兄弟達を送り出すと、新たな計略を練り始めたのです。

② 和解
かくして、兄弟達は父ヤコブを説き伏せて、末の弟ベニヤミンを連れて再びヨセフの前に現れました。
元気そうなベニヤミンを前にすると、ヨセフは弟の懐かしさに胸が熱くなって、急いで奥の部屋に入って泣きました。
今すぐここで、ベニヤミンを抱きしめて再開を喜びたい。
しかし、彼にはその前にしなければならない事がありました。
兄弟達が本当に罪を悔いて、心変えられたのかどうか、確かめたかったのです。

次の日、兄弟達はヨセフから買った食糧をもって、父親が待つ自分の国に向かいました。
しかしその途中、ヨセフの家来達が彼らを追ってきたのです。
ヨセフの家来は兄弟たちを呼びとめ、大臣が大切にしている銀の杯を盗んだ罪に問いました。
「まさかそんなはずはない。」と驚く彼らの持ち物を調べると、何とベニヤミンの袋の中から、大臣の銀の杯が出てきたのです。
ヨセフは兄弟達に言い渡しました。
「何ということをしてくれたのだ! 杯を盗んだベニヤミンは私の奴隷とする。」

実を言えば、これは全て兄弟達が本当に変わったのかどうかを試すテストでした。
以前の兄弟達であったら、ヨセフを商人たちに売り渡してしまったように、保身のためにはあっさりとベニヤミンを見捨てたことでしょう。
もし彼らが、昔から変わることなくベニヤミンを見捨てるならば、それはとても悲しい事ではありますが、ベニヤミンのためにも他の兄弟達には別れを告げて、当初の予定通りベニヤミンだけを引き取ることになります。
しかし、彼らが昔の罪を本当に悔やんでいるなら、ここでベニヤミンを見捨てようとはしないはずだ!
何とかして食い下がってくるのではないか。
そうであって欲しい。
そして、他の兄弟たちとも、再会の喜びを分かち合いたい。
しかし彼らの反応は、ヨセフの想像していた以上のものだったのでした。

ヨセフの前に進み出たのは、ヨセフを売り飛ばそうと言い出した張本人のユダでした。
彼は、「もしベニヤミンを失ったら、家で待つ父がどれほど悲しむ事か・・・。
父はすでに、もうひとりの最愛の息子を失っています。ここで更にベニヤミンまで失ってしまったら、父は生きていることができないでしょう。ならば自分が身代わりになって奴隷として仕えるから、どうかベニヤミンは見逃して欲しい。」とヨセフに訴えたのでした。

ヨセフは、その言葉に心を動かされました。
そして、兄達の心が本当に変えられた事を知りました。
そしてその時、彼はとうとう自分の気持ちを抑える事ができなくなったのです。
彼は自分の事を打ち明ける決心をしました。

45:1 ヨセフは、そばに立っているすべての人の前で、自分を制することができなくなって、「みなを、私のところから出しなさい。」と叫んだ。ヨセフが兄弟たちに自分のことを明かしたとき、彼のそばに立っている者はだれもいなかった。
45:2 しかし、ヨセフが声をあげて泣いたので、エジプト人はそれを聞き、パロの家の者もそれを聞いた。
45:3 ヨセフは兄弟たちに言った。「私はヨセフです。父上はお元気ですか。」兄弟たちはヨセフを前にして驚きのあまり、答えることができなかった。

一瞬、兄弟達の中には恐れの思いも走ったかもしれませんね。
自分達が商人に売り飛ばしてしまったヨセフは、今やエジプトの大臣となって自分達を罰する事ができる権力も持っているのですから。
しかし、ヨセフは彼らに赦しと、和解の思いを告げたのです。
さらにヨセフは、兄達が彼にした仕打ちを、それもまた神様の計画だったのだと言っています。

45:7 それで神は私をあなたがたより先にお遣わしになりました。それは、あなたがたのために残りの者をこの地に残し、また、大いなる救いによってあなたがたを生きながらえさせるためだったのです。
45:8 だから、今、私をここに遣わしたのは、あなたがたではなく、実に、神なのです。神は私をパロには父とし、その全家の主とし、またエジプト全土の統治者とされたのです。

僕は、神様が兄弟達を使って、ヨセフを奴隷の身に売り飛ばさせたとは思いません。
神様は、私たちにそのような悪をさせるようなお方ではありませんね。
ヨセフがここで言いたいのは、神様は私達の悪い心さえも知っていて、そのような悪からも素晴らしい事をもたらす事ができるという事です。
神様が全ての事を益としてくださるという聖書の言葉は、そういう事です。

皆さんは、人から裏切られたり、意地悪な事をされたり、苦しめられるような事をされた経験があるのではないでしょうか。
またいじめられたり、理不尽な事をされたり、トラウマになってしまうような経験をした事はないでしょうか。
しかし、そのような経験からさえも、神様は私たちに益をもたらす事ができるのです。
その恵を信じて、受け取っていただきたいのです。
私たちは神様を信頼する事によって、その恵を手にする事ができるからです。

③ 神への信頼
私達は不幸と思えるような出来事を経験すると、それが自分の人生そのものを台無しにしてしまうように感じる事が多いのではないでしょうか。
もし私達がその状況だけを見て、あきらめてしまうなら、確かにそうかもしれません。
しかし、私達が神様に対する信頼を失わずに神様に従い続けるなら、神様はそこから必ず益をもたらしてくださる事ができるのです。

ヨセフが奴隷にされ、囚人にまでなった時、ヨセフがその後大臣になるなんて誰に想像できたでしょう。
しかし、ヨセフは神様への信頼を失う事無く従い続けたので、彼はそのような結果を目にする事ができました。
そして、その様なコントロール不可能な状況だからこそ、私達はそこに神様の御業を経験する事ができるのです。

神様は信じているけれど、今まで神様の力を実感した事がない、御業を目にした事がないという方がいるなら、それはその方が、不可能と思える状況を前にしてあきらめて来たからではないでしょうか。
あるいは、全て自分の力だけで解決してきてしまったのではないかと思うのです。

皆さん、鉄の板は水に浮かびますか?
鉄のネジやボルトを浮かべようとしたら、水の上に浮かぶでしょうか?
しかし、鉄の板とネジとボルトで組み立てられた船が完成すれば、それは水の上に浮かぶのです。

私達の経験ひとつひとつは、それだけでは決して浮かぶ事ができない、絶望的な状況に思えるかもしれません。
しかしそこに神様の摂理が働いて、すべての事がひとつになった時には、鉄の塊が水の上に必ず浮くのです。

だからイエス様は、私たちにこの様な言葉を残したのです。

マタイ 17:20 イエスは言われた。「あなたがたの信仰が薄いからです。まことに、あなたがたに告げます。もし、からし種ほどの信仰があったら、この山に、『ここからあそこに移れ。』と言えば移るのです。どんなことでも、あなたがたにできないことはありません。

山を動かすのは私たちではありません。
私達がどれだけ強く念じたとしても、山が動く事はないでしょう。
でも、私達が神様に心から信頼するなら、必要な時には山だって、ここからあそこに動くのです。
皆さんは、その事を信じる事ができるでしょうか。
どうか、鉄の板だけを見て絶望しないでください。
ボルトだけを受け取って、そこであきらめたりしないで下さい。
私達がその先にある神様の御業を受け取る事を、神様は望んでおられるのですから。

皆さんの人生の上に、主の栄光が現されますように。

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