ルツ記2章8~12節、ルツ3章1~13節 「贖われて神の民となる」―求めよさらば与えられんー 2019/12/1 小西孝蔵

「贖われて神の民となる」(ルツ記その2)
-求めよ、さらば、与えられんー

ルツ記2章8~12節
8.ボアズはルツに言った。「娘さん。よく聞きなさい。ほかの畑に落ち穂を拾いに行ったり、ここから出て行ったりしてはいけません。私のところの若い女たちのそばを離れないで、ここにいなさい。9.刈り取っている畑を見つけて、あとについて行きなさい。私は若者たちに、あなたのじゃまをしてはならないと、きつく命じておきました。のどが渇いたら、水がめのところへ行って、若者たちの汲んだのを飲みなさい。
10.女は顔を伏せ、地面にひれ伏して彼に言った。「私が外国人であるのを知りながら、どうして親切にしてくださるのですか。11.ボアズは答えて言った。「あなたの夫がなくなってから、あなたがしゅうとめにしたこと、それにあなたの父母や生まれた国を離れて、これまで知らなかった民のところに来たことについて、私はすっかり話を聞いています。12.主があなたのしたことに報いてくださるように。また、あなたがその翼の下に避け所を求めて来たイスラエルの神、主から、豊かな報いがあるように。

ルツ記3章1~13節
1.しゅうとめナオミは彼女に言った。「娘よ。あなたがしあわせになるために、身の落ち着く所を私が捜してあげなければならないのではないでしょうか。2.ところで、あなたが若い女たちといっしょにいた所のあのボアズは、私たちの親戚ではありませんか。ちょうど今夜、あの方は打ち場で大麦をふるい分けようとしています。3.あなたはからだを洗って、油を塗り、晴れ着をまとい、打ち場に下って行きなさい。しかし、あの方の食事が終わるまで、気づかれないようにしなさい。4.あの方が寝るとき、その寝る所を見届けてからはいって行き、その足のところをまくって、そこに寝なさい。あの方はあなたのすべきことを教えてくれましょう。5.ルツはしゅうとめに言った。「私におっしゃることはみないたします。」6.こうして、彼女は打ち場に下って行って、しゅうとめが命じたすべてのことをした。・・・・10.すると、ボアズは言った。「娘さん。主があなたを祝福されるように。あなたのあとからの真実は、先の真実にまさっています。あなたは貧しい者でも、富む者でも、若い男たちのあとを追わなかったからです。11.さあ、娘さん。恐れてはいけません。あなたの望むことはみな、してあげましょう。この町の人々はみな、あなたがしっかりした女であることを知っているからです。12.ところで、確かに私は買い戻しの権利のある親類です。しかし、私よりももっと近い買い戻しの権利のある親類がおります。13.今晩はここで過ごしなさい。朝になって、もしその人があなたに親類の役目を果たすなら、けっこうです。その人に親類の役目を果たさせなさい。しかし、もしその人があなたに親類の役目を果たすことを喜ばないなら、私があなたを買い戻します。主は生きておられる。とにかく、朝までおやすみなさい。
(祈り)
1. 初めに
途上国の子どもたちの夢は、医者、看護婦、弁護士・・・。皆さんの小さい頃、夢
とか願望がありましたか? その通り実現した人は? 私自身の場合、野球の選手(小学生)? 医者(中学生)? 弁護士(高校生)? → 夢破れ、疲れ果て、「生きる力」を神様に祈り求める。→ イエス様に出会う。求めることは、今日のテーマにも。

2. 前回のあらすじとルツとボアズとの出会い

ナオミと夫のエリメレク、二人の男の子(マフロンとキルオン)は、飢きんでベツレヘムを去り、モアブの地に避難。そこで、夫のエリメレクは死に、二人の子どもモアブの女を妻に迎え入れた。マフロンは、ルツを、キルヨンは、オルパと結婚した。ところが、二人の息子も次々に亡くなり、ナオミもルツも大黒柱を失うとともに、エリメレクの家系の断絶の危機に瀕した。(パワポの家系図参照)
ルツは、ベツレヘムの故郷に帰ろうとする姑のナオミから里に帰るようにと勧められるが、一緒に付いていくとして聞き入れない。「あなたの民は、私の民、あなたの神は私の神」(ルツ1章17節)の言葉が、キーワード。前回は、こうした試練の中で、あくまで、姑のナオミに従っていこうとするルツの従順さから、神様に従い、人に仕える生き方を学んだ。
今日のお話は、その続き。別添パワーポイント参照。①ルツとボアズとの出会い。②ナオミの求める強い姿勢、③ルツを贖った(買い戻した)ボアズの愛、そして私たちの贖い主、キリストの愛、④最後に神の選びと恵みについて、ルツ記から読み取っていきたい。

ベツレヘムに帰ったナオミは、周りの女性に、「私をナオミと呼ばないでください。マラと呼んでください。全能者が私をひどい苦しみに会わせたのですから。」(ルツ記1章21節)神様に恨み節。ナオミは、自分の気持ちに正直なひと。
ルツは、生きていくために必死で、人の畑で落穂拾い。そこで。ナオミの親戚のボアズに出会う。ボアズは、親切な人で、ルツの誠実さに感じ入り、畑で気兼ねなく自由に落穂を拾える環境を与えてあげた。

ルツ2章「11.ボアズは答えて言った。「あなたの夫がなくなってから、あなたがしゅうとめにしたこと、それにあなたの父母や生まれた国を離れて、これまで知らなかった民のところに来たことについて、私はすっかり話を聞いています。12.主があなたのしたことに報いてくださるように。また、あなたがその翼の下に避け所を求めて来たイスラエルの神、主から、豊かな報いがあるように。」

そして、ルツは、麦の刈り入れ時期が終わるまで、落ち穂拾いを続けた。

3. 求めよ、さらば、与えられん。

ルツが落穂拾いをさせてもらっているボアズが親戚にあたると知ったナオミは、大胆な計画を思いついた。ナオミは、ルツの将来のことを思うと同時に、夫エリメレクの家系の維持のことも考えたからと思われる。

 ルツ3章1~4節「1.しゅうとめナオミは彼女に言った。「娘よ。あなたがしあわせになるために、身の落ち着く所を私が捜してあげなければならないのではないでしょうか。あなたが若い女たちといっしょにいた所のあのボアズは、私たちの親戚ではありませんか。ちょうど今夜、あの方は打ち場で大麦をふるい分けようとしています。3.あなたはからだを洗って、油を塗り、晴れ着をまとい、打ち場に下って行きなさい。しかし、あの方の食事が終わるまで、気づかれないようにしなさい。4.あの方が寝るとき、その寝る所を見届けてからはいって行き、その足のところをまくって、そこに寝なさい。あの方はあなたのすべきことを教えてくれましょう。」

ボアズは、飲み食いをしてぐっすり寝込んでいたところに、ルツが忍び込み、夜中にそれに気が付いたバズはびっくりして起き上がった。
この個所の背景には、イスラエル民族の旧約の法慣習「レビラト婚」では、一つ屋根に住んでいる兄弟が子供に恵まれず死んだ場合、残った兄弟が故人の妻をめとって彼女の産む長男に亡父の家を継がせる義務を課している。ルツ記の場合、レビラト婚の範囲を兄弟から遠戚まで広げている。

現代の婚活で母親が娘の婚活を手伝っているようなイメージ? 私たち夫婦も二人の娘を持っているので、ナオミの気持ちはよくわかる。昔と違って親が出る幕はないのだが、やきもきすることも。結婚は、ただ待つだけでは中々進まない。具体的に祈り、行動に移すことも大事。ナオミは、祈りに行動力が伴う。普通なら、ボアズに事の次第を話しして、結婚話を進めていくところが、ルツに大胆な行動を進める。
ここで、私たちが教えられることは、神様を信じて、ただ、成り行きに任せるのではなく、大胆に祈り求め、行動することも大事だということ。冒頭のお話にも触れたように、私たちの願いが叶うよう、何よりも神様の御心にかなうように、遠慮しないで、いつも祈り求めることが大事。

 マタイによる福音書7章
「7:7求めよ、そうすれば、与えられるであろう。捜せ、そうすれば、見いだすであろう。門をたたけ、そうすれば、あけてもらえるであろう。 7:8すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである。」

4. 贖われて神の民となる

ボアズは、自分が遠戚で、買い戻しの権利があることを知っていた。ボアズの父サルモンは、エリメレクの兄弟とされています。彼は、既に、ルツの献身的な姿に好意を感じていた。エビメレクの土地と同時に、亡くなった息子マフロンの妻ルツも買い取ることに同意する。
ルツ3章「10.すると、ボアズは言った。「娘さん。主があなたを祝福されるように。あなたのあとからの真実は、先の真実にまさっています。あなたは貧しい者でも、富む者でも、若い男たちのあとを追わなかったからです。11.さあ、娘さん。恐れてはいけません。あなたの望むことはみな、してあげましょう。この町の人々はみな、あなたがしっかりした女であることを知っているからです。」

ただし、ボアズは、自分よりもエリメレクに近い親戚の意思を確かめて、ルツとの結婚の関門をクリアする必要があった。
ルツ3章「12.ところで、確かに私は買い戻しの権利のある親類です。しかし、私よりももっと近い買い戻しの権利のある親類がおります。13.今晩はここで過ごしなさい。朝になって、もしその人があなたに親類の役目を果たすなら、けっこうです。その人に親類の役目を果たさせなさい。しかし、もしその人があなたに親類の役目を果たすことを喜ばないなら、私があなたを買い戻します。主は生きておられる。とにかく、朝までおやすみなさい」。
ボアズは、エリメレクにより近い親戚にルツを贖う(買い戻す)意思がないことを確認して、晴れてルツを妻に迎えることとした。(ルツ4章)

ここで、贖いについて、もう少し掘り下げて考えてみよう。
買戻し(贖い)は、英語でredeem、贖い主は、redeemer。ヘブライ語では、「ゴエル」といって、近親者を保護する人を指すという。さらに、この意味は、イスラエルの民を奴隷の身分から贖い出されたヤーベの神にも当てはめられる。ボアズのルツを買い戻したことは、文字通り金銭によって買い戻したわけだが、そこには、もっと深い意味も込められている。すなわち、イスラエル全体の贖い主を暗示している。
イザヤ書43章
43:1ヤコブよ、あなたを創造された主はこう言われる。イスラエルよ、あなたを造られた主はいまこう言われる、「恐れるな、わたしはあなたをあがなった。わたしはあなたの名を呼んだ、あなたはわたしのものだ。」

そして、旧約のイスラエル民族の贖い主は、新約では、異邦人である私たちの贖い主として地上に来られたイエス様です。イエス様は、罪の奴隷状態の中から、私たちの罪の身代わりとして、十字架の死という貴い対価を払って、買い戻してくださった。
私が、学生時代に、人生に疲れ、放浪していた時に、示された言葉もこのイザヤ書の贖い主による慰めでしたし、また、ロマ書3章の次の言葉でした。
ローマ人への手紙3章
3:23すなわち、すべての人は罪を犯したため、神の栄光を受けられなくなっており、 3:24彼らは、価なしに、神の恵みにより、キリスト・イエスによるあがないによって義とされるのである。
私は、悩み多き若き日に、これらの言葉によって、救われました。そこに神様の限りない深い愛を感じました。心の平安と生きる希望を取り戻しました。

5. 神の選びと一方的な恵み
ボアズは、買い戻しを実行し、ルツは、ボアズの妻となった。これによって、エリメレクの家系は、存続し、ボアズとルツの間に生まれた男の子は、オベデと名付けられ、オベデは、ダビデの父のエッサイの父となった。ダビデは、ルツのひ孫となった。ダビデの家系からイエスキリストが生まれました。(ルツ記4章16節)
ルツは、全く予想もしていなかった展開で、イスラエルの敵ともいえる異教の民モアブから、ボアズの贖いによって、イスラエルの民、神の民に加えられた。ナオミは、夫エリメレクと二人の息子の死によって家系が途絶える危機から、ルツのボアズとの結婚により、ユダ族の家系に回復された。
ナオミもルツも神の御心に委ねて、ボアズとの結婚のために最善を尽くした。その結果、神様は、二人をユダ族に引き入れ、あるいは引き戻し、ダビデとイエスにつながる神の民に選ばれた。それは、一方的な恵みによる救いであった。

今日は、前半では、具体的に、大胆に祈り求めることの大切さを最初に学んだ。私たちは、自分の意志で救いを求め、イエス様を信じるようになる。でもそれは、半面の真理で、実は、贖い主である神様は、一方的な恵みにより、私たちを選んでいただいていたという不思議な体験をする。そこに、不可思議な深い神様の愛を感じる。
最後に、ヨハネによる福音書15章を読んで終わります。

ヨハネによる福音書15章
「15:16あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだのである。そして、あなたがたを立てた。それは、あなたがたが行って実をむすび、その実がいつまでも残るためであり、また、あなたがたがわたしの名によって父に求めるものはなんでも、父が与えて下さるためである。15:17これらのことを命じるのは、あなたがたが互に愛し合うためである。」
(祈り)