目次

福音を伝えるとは?

―復習しましょう―
これまでの学びで、最も印象に残っているのはどんな事ですか?
自分の言葉で説明してみて下さい。

マタイ 28:19 それゆえ、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。そして、父、子、聖霊の御名によってバプテスマを授け、
28:20 また、わたしがあなたがたに命じておいたすべてのことを守るように、彼らを教えなさい。見よ。わたしは、世の終わりまで、いつも、あなたがたとともにいます。」

福音を伝える事は、私たちの大きな務めです。
最後のセッションは、どのように福音を伝えるかという事について学びましょう。

―考えてみましょうー
① 福音とは何ですか? なるべく具体的に、しかしシンプルに説明してください。
―考えてみましょうー
② 人が福音を受け入れた方が良い理由は何ですか?
どうしてキリストを、救い主として信じるべきなのだと思いますか?
―考えてみましょうー
③ あなたはなぜ信じたのですか? そして、どのようにして信じたのですか? 
―考えてみましょうー
④ 信じた結果、どのような変化がありましたか?
―考えてみましょうー
⑤ あなたが信じた時と同じような経緯で信じる人が、他にもいると思いますか?
いるとしたら、そのような人たちはどこにいて、どのようにして出会う事ができるでしょうか?
―考えてみましょうー
⑥ あなたなら、どのようなきっかけで福音について聞かされたら、受け入れやすいと思いますか?

 何を伝えればいいか

多くのクリスチャンは、福音を天国に行くための手段として伝える傾向があります。
確かに、死後の事についての答えを与える事は宗教の命題であり、死への恐怖は誰もが持つ悩みですから、それに答える事も福音を伝えるために有効な手段です。

しかし、「天国に行く」という事だけが福音を信じる目的になる事には問題があります。
それなら死ぬ間際に信じればいいという話になってしまいますし、たとえ信仰を持ったとしても、彼らは天国に行くためのチケットを手に入れたら、それで満足してしまうからです。

半数のクリスチャンが洗礼を受けてから3年後には教会から離れてしまうと統計がありますが、天国に行くためのチケットを手に入れる事だけが目的なら、それは当然の結果と言えるでしょう。
しかし、死んだ後に天国に行けるかどうかという事は、福音の最大の目的ではありません。

福音とは、神様との愛の関係の回復であり、それに伴う“神様に創造されたままの自分”の回復です。(「救いとは?」の章を参照。)

私たちが福音を伝える時、「信じれば天国に行ける」という事が最大の目的ではなく、神様との回復によって人生が変わっていく事に焦点を当てるようにしましょう。
神様との関係が回復するとき、そこには生きる意味と目的が与えられ、愛し愛されることの喜びが生まれ、人生はもっと楽しくなっていく事になるのです。
そしてその喜びは死によって途絶えるのではなく、永遠に続くものだという事にこそ、福音の醍醐味はあるのです。

誰に伝えるべきか

私たちは、すべての人に福音を伝える必要があります。
まずは家族や友人に伝えたいというのが私たちの心情だと思いますが、それだけで十分ではありません。
実は、家族や親しい友人への伝道は難しいですから、そこだけに力を注いでしまうと、あなたの周りでは長い間誰も救われていないという状態が続いてしまいます。

私たちが今、誰に伝えるべきかという事も、神様に尋ねてみましょう。

福音を伝える時に、もっとも効果的に伝える事ができる相手は、信仰を持つ前のあなたと同じような性格や、同じような悩み、同じような人生経験を持っている人です。
あなたがどうやって信仰を持ったかという事を考えると、その人たちがどうすれば信じる事ができるのか、簡単にわかります。
あなたと似ている人たちは、あなたにとって友人にもなりやすい人だと思いますから、アプローチも難しくありません。
どうすればそのような人たちと、出会う事ができるか、また皆さんの周りにそのような人がすでにいないか、改めて考えてみることは有益です。

どうやって伝えればいいか

私たちが福音を伝えるべき相手が、いつも自分と似たタイプの人とは限りません。
神様が「その人に福音を伝えなさい」と命じるなら、それが誰であっても伝える必要があります。
そんな時、どのように福音を伝えればいいのでしょうか?

まずは、その人のために祈る事です。以下の事を祈りましょう。

  1. 神様が、その方に福音を伝える機会を開いてくださるように。
  2. 神様が、その人のを開いてくださるように。
  3. 神様が、福音を伝える私たちの口を開いてくださるように。

伝える前に、以下の事を考えてみると良いでしょう。

  1. その人が人生で何を求めているのかを考えてみる。
  2. 表面的なニーズだけではなく、その人が本当に必要としているニーズが何なのかを考える。
  3. 相手が抱えているニーズに、聖書はどのような答えを与えているか考える。

そして、伝える時には次の事に気を付けながら伝えましょう。

  1. 相手に、「“なぜ”自分には福音が必要なのか」を感じられるように伝える。
  2. 福音そのものよりも、福音によって起こる変化を中心に伝える。
  3. その後で、信仰に踏み出すための障害となる誤解を解いたり、疑問に答えていく

誰が伝えるか

多くの人たちにとって福音を受け入れるかどうかの決め手となるのは、何をどうやって伝えられたかと言うこと以上に、『誰が伝えるか』という所にあります。

「人間見た目じゃない」とは言え、私たちの受け取り方は、外側からのイメージに大きく左右されます。
私たちも、見るからに怪しく、いやらしい感じの人からどんなに素晴らしい話をされても、下心があるようにしか聞こえないのではないでしょうか?

私たちが福音を効果的に伝えたいと思うなら、私たち自身が、まず福音によって変えられている必要があります。
でもそれは、完璧で罪を犯さないような聖人として福音を伝えるという事ではありません。
そんな完璧な人に福音を伝えられたら、今度は完璧な人間にしかクリスチャンにはなれないと思われてしまうでしょう。

大切なのは、

  1. 嘘のない誠実な姿勢である事。
  2. 神様に信頼する事で生まれる楽観性と、明るさを持っている事。
  3. そして何よりも、がある事です。

これは全て、福音によって変えられていった私たちの姿です。
福音は、私たちを魅力的な人間にします。
それによって、人々の心は動かされるのです。

みことばの種を蒔き続ける

福音を伝えるために、私たちは最善を尽くすべきではありますが、結局人は、私たちの力によって信仰をもつわけではありません。
福音を受け入れて信仰を持つかどうかは、その人が神様の呼びかけに答えるかどうかによるのです。
相手が福音を受け入れかったとしても、がっかりしないでください。
全てはその人の自由意志による選択だし、今はその時ではないだけかもしれません。
その人のために祈り続け、機会があれば福音を伝え続けましょう。

イエス様は全ての種が実るわけではない事を教えています。(マタイ13:3~8)

マタイ 13:3 イエスは多くのことを、彼らにたとえで話して聞かされた。「種を蒔く人が種蒔きに出かけた。
13:4 蒔いているとき、道ばたに落ちた種があった。すると鳥が来て食べてしまった。
13:5 また、別の種が土の薄い岩地に落ちた。土が深くなかったので、すぐに芽を出した。
13:6 しかし、日が上ると、焼けて、根がないために枯れてしまった。
13:7 また、別の種はいばらの中に落ちたが、いばらが伸びて、ふさいでしまった。
13:8 別の種は良い地に落ちて、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍の実を結んだ。

イエス様が伝えても信じなかった人達がいるのですから、私たちが伝えてうまくいかないのは当然です。
そしてパウロは、弟子であるテモテにこのようにアドバイスしています。

Ⅱテモテ 4:2 みことばを宣べ伝えなさい。時が良くても悪くてもしっかりやりなさい。寛容を尽くし、絶えず教えながら、責め、戒め、また勧めなさい。