ルツ記1章1~7節、14~18節 『「試練の中を御心に従って生きる」(ルツ記その1)―あなたの民は私の民、あなたの神は私の神-』 2019/09/22 小西孝蔵

「試練の中を御心に従って生きる」(ルツ記その1)
―あなたの民は私の民、あなたの神は私の神-
2019.9.22
ルツ記1章1~7節、14~18節
「1:1さばきづかさが世を治めているころ、国に飢きんがあったので、ひとりの人がその妻とふたりの男の子を連れてユダのベツレヘムを去り、モアブの地へ行ってそこに滞在した。 1:2その人の名はエリメレク、妻の名はナオミ、ふたりの男の子の名はマロンとキリオンといい、ユダのベツレヘムのエフラタびとであった。彼らはモアブの地へ行って、そこにおったが、 1:3ナオミの夫エリメレクは死んで、ナオミとふたりの男の子が残された。 1:4ふたりの男の子はそれぞれモアブの女を妻に迎えた。そのひとりの名はオルパといい、ひとりの名はルツといった。彼らはそこに十年ほど住んでいたが、 1:5マロンとキリオンのふたりもまた死んだ。こうしてナオミはふたりの子と夫とに先だたれた。
1:6その時、ナオミはモアブの地で、主がその民を顧みて、すでに食物をお与えになっていることを聞いたので、その嫁と共に立って、モアブの地からふるさとへ帰ろうとした。 1:7そこで彼女は今いる所を出立し、ユダの地へ帰ろうと、ふたりの嫁を連れて道に進んだ。・・・・・・」
「1:14彼らはまた声をあげて泣いた。そしてオルパはそのしゅうとめに口づけしたが、ルツはしゅうとめを離れなかった。
1:15そこでナオミは言った、「ごらんなさい。あなたの相嫁は自分の民と自分の神々のもとへ帰って行きました。あなたも相嫁のあとについて帰りなさい」。 1:16しかしルツは言った、「あなたを捨て、あなたを離れて帰ることをわたしに勧めないでください。わたしはあなたの行かれる所へ行き、またあなたの宿られる所に宿ります。あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です。 1:17あなたの死なれる所でわたしも死んで、そのかたわらに葬られます。もし死に別れでなく、わたしがあなたと別れるならば、主よ、どうぞわたしをいくえにも罰してください」。 1:18ナオミはルツが自分と一緒に行こうと、固く決心しているのを見たので、そのうえ言うことをやめた。 1:19それから、二人は旅しをしてベツレヘムに着いた。

(祈り)
1. 初めに
・教会の移転問題でやっと決着。移転を決断して約半年。思った以上に困難を極める。
教会、騒音等で対象外。期限が迫ってトランクルームに預けて、流浪の民?を覚悟、神様から与えられた荒野の試練。皆さんの祈りが聞かれ、あと1か月のところで、入植地が示された。主の御心を信じて歩むことの大事さと教えられた。今日のルツのお話にも通じるものがある。
・今日のメッセージは、三つの内容。①ルツに現わされた神の計画、②ナオミとルツを襲った試練の中で主の御心を信じること、③試練の中から隣人のために仕える人生を歩むこと。

2. ルツに現わされた神の計画
・ナオミと夫エリメレク、二人の男の子は、飢きんでベツレヘムを去り、モアブの地へ避難-パワポの地図参照。
・ナオミは、夫を亡くす。二人の息子は、モアブの女を妻に迎え入れた。長男のマロンの妻がルツ。―パワポの系図参照。
・ モアブ人は、かつてイスラエルの敵。バールの偶像を拝む。モーセの出エジプトの旅の途中、イスラエルの民の受け入れ拒否、モアブの女と結婚し、バールを拝む。そのために疫病で2万4千人が死亡・・・。(民数記22章~25章)
・そのモアブの中からルツが選ばれて、ダビデの曾祖母に。イスラエルの敵とされていた異民族からキリストにつながる「神の家族」に引き入れられた。神の計画の不可思議さ。神の憐みと恵みによる人間の力や地位に無関係な一方的な選び。

3. 試練の中で主の御心を信じぬくこと

・ナオミにとって、夫に先立たれ、二人の息子も次々と亡くなる。ナオミの嘆きは大変なもの。1章21節では、ヘブライ語の意味は、「楽しい、快い」、しかし、マラ(苦い)と呼んでほしい。ヨブの苦難にも近い苦しみ。ルツにとっても同じ。夫に先立たれ、夫の弟も亡くなり、大黒柱を完全に失った。姑からも里に帰るように勧められる。これも、大変な試練。

・我々は、しばしば試練に直面する。教会の移転も然り。若い人たちの置かれた状況も然り。現代の日本は、ストレス社会。受験、就職試験、転職活動、・・・・・・厳しい戦いの試練に晒されて、どう乗り切ればいいのか悩む? 真君も若いこの時期に、洗礼を受けて、キリストを信じ、「神の家族」に加えられたことは、素晴らしい。将来どんな試練も乗り越える希望と力が与えられる。私自身にとっても学生時代に信仰が与えれたことが人生の最高のプレゼント。
・試練こそ、主の訓練と受け取る、愛されている証拠。
へブル人への手紙12章
12:6主は愛する者を訓練し、受けいれるすべての子を、むち打たれるのである」。12:7あなたがたは訓練として耐え忍びなさい。神はあなたがたを、子として取り扱っておられるのである。いったい、父に訓練されない子があるだろうか。 ・・・・・・・・・12:11すべての訓練は、当座は、喜ばしいものとは思われず、むしろ悲しいものと思われる。しかし後になれば、それによって鍛えられる者に、平安な義の実を結ばせるようになる。」

4. 主に従い、隣人に仕えること

ルツ記1章16-18節「あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です。 1:17あなたの死なれる所でわたしも死んで、そのかたわらに葬られます。もし死に別れでなく、わたしがあなたと別れるならば、主よ、どうぞわたしをいくえにも罰してください」

・ルツは、モアブの生まれ育ちではあるが、おそらくは、ナオミと夫マロンの影響で、イスラエルのヤーベの神を深く信じるようになったと考えられる。愛する老いた母を見捨てて、故郷に帰れない、失意の母に最期まで寄り添うことが神の御心と示された。よきサマリア人の隣人愛に近いものがある。
(ルツは、女性の鑑? 夫と姑に仕えるお嫁さんの鑑? うちの娘に聞かせたいが・・・。 嫁と姑の関係にとどまらない。→ 私たちに、試練の中で神の御心を信じ、人に仕える生き方を示してくれる。)

・木原肖子さんが山田火砂子監督の映画「一粒の麦」の主人公として紹介してくださった日本での女医の先駆者、荻野吟子。彼女の生涯は、ルツの生き方とも通じるものがあるので、簡単に紹介したい。→詳しくは、10月下旬からの上映に。
・荻野吟子は、明治初期に、離縁、婦人病を移され、当時男社会であった医者の中で、初めて女性患者を診る女医を志し、差別と偏見と闘って、医師国家試験に女性の道を開いた。海老名弾正牧師から洗礼を受け、伝道者志方之善と結婚し、女性患者だけでなく、濃尾地震で孤児になった子どもたちを引き取って面倒を見る。この孤児たちの生活と学びの場は、クリスチャンの友人、石井亮一により、のちの滝野川学園に引き継がれる。北海道に文字通り開拓伝道に入った夫に従って、北海道「せたな町」に移住して開業。14年後、夫と死別してのち、帰京して開業。

・この夏に、白内障の手術で順天堂病院に1週間入院、貴重な体験。早朝から夜遅くまで、患者の手術に従事する献身的なお医者さん、患者に寄り添い、ナースコールの度にそのリクエストに逐一答えてあげる看護師さん(白衣の天使)→荻野吟子の生き方に余計に共鳴。
・荻野吟子の愛唱聖句は、ヨハネによる福音書15章。
「15:12わたしのいましめは、これである。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互に愛し合いなさい。 15:13人がその友のために自分の命を捨てること、これよりも大きな愛はない。」

・ルツは、試練の中に有って、姑のナオミを深く愛し、ヤーベの神を愛していたからこそ、ナオミにどこまでも仕えていこうとした。「あなたの民は私の民、あなたの神は、私の神」(ルツ1:16)の通り。その姿は、イエス様と私たちの関係に重なる。キリストは、人に仕えるために、この世に来られ、罪の贖いのために十字架で死なれた。その絶対的な愛の力によって、私たちは、隣人を愛し、隣人に仕えることが出来る。

・神と人とに仕えること、地の塩、世の光として、生きること。それが、本当の仕事(つかえること)。神様を信じていながら、上司や同僚に敬う気持ちを持たないで悪口や不満をぶつけているだけではいい仕事はできない。

5.結論
・本日は、ルツの生き方を通じて、①取るに足りないものを用いて下さる神様の不思議な御計画、②試練の中に有って神様の御心を信じて歩むこと、③キリストが私たちを愛し、仕えて下さったように、私たちに隣人を愛し、ひとに仕えることを教えていただいた。最後に、ピリピ人への手紙2章3~8節を読んで終わります。

「2:3何事も党派心や虚栄からするのでなく、へりくだった心をもって互に人を自分よりすぐれた者としなさい。 2:4おのおの、自分のことばかりでなく、他人のことも考えなさい。 2:5キリスト・イエスにあっていだいているのと同じ思いを、あなたがたの間でも互に生かしなさい。 2:6キリストは、神のかたちであられたが、神と等しくあることを固守すべき事とは思わず、 2:7かえって、おのれをむなしうして僕のかたちをとり、人間の姿になられた。その有様は人と異ならず、 2:8おのれを低くして、死に至るまで、しかも十字架の死に至るまで従順であられた。」

・次回は、ボアズとの出会いから結婚に至るまでの、ルツのドラマチックな人生と神の御業の奥深さについて学んでみたい。
(祈り)