マルコ5:1-20 ㉒ 『神の国がもたらすもの』 2020/07/26 けんたろ牧師

マルコ 5:1-20
5:1 こうして一行は、湖の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。
5:2 イエスが舟から上がられるとすぐに、汚れた霊につかれた人が、墓場から出て来てイエスを迎えた。
5:3 この人は墓場に住みついていて、もはやだれも、鎖を使ってでも、彼を縛っておくことができなかった。
5:4 彼はたびたび足かせと鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせも砕いてしまい、だれにも彼を押さえることはできなかった。
5:5 それで、夜も昼も墓場や山で叫び続け、石で自分のからだを傷つけていたのである。
5:6 彼は遠くからイエスを見つけ、走って来て拝した。
5:7 そして大声で叫んで言った。「いと高き神の子イエスよ、私とあなたに何の関係があるのですか。神によってお願いします。私を苦しめないでください。」
5:8 イエスが、「汚れた霊よ、この人から出て行け」と言われたからである。
5:9 イエスが「おまえの名は何か」とお尋ねになると、彼は「私の名はレギオンです。私たちは大勢ですから」と言った。
5:10 そして、自分たちをこの地方から追い出さないでください、と懇願した。
5:11 ところで、そこの山腹では、おびただしい豚の群れが飼われていた。
5:12 彼らはイエスに懇願して言った。「私たちが豚に入れるように、豚の中に送ってください。」
5:13 イエスはそれを許された。そこで、汚れた霊どもは出て行って豚に入った。すると、二千匹ほどの豚の群れが崖を下って湖へなだれ込み、その湖でおぼれて死んだ。
5:14 豚を飼っていた人たちは逃げ出して、町や里でこのことを伝えた。人々は、何が起こったのかを見ようとやって来た。
5:15 そしてイエスのところに来ると、悪霊につかれていた人、すなわち、レギオンを宿していた人が服を着て、正気に返って座っているのを見て、恐ろしくなった。
5:16 見ていた人たちは、悪霊につかれていた人に起こったことや豚のことを、人々に詳しく話して聞かせた。
5:17 すると人々はイエスに、この地方から出て行ってほしいと懇願した。
5:18 イエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人がお供させてほしいとイエスに願った。
5:19 しかし、イエスはお許しにならず、彼にこう言われた。「あなたの家、あなたの家族のところに帰りなさい。そして、主があなたに、どんなに大きなことをしてくださったか、どんなにあわれんでくださったかを知らせなさい。」
5:20 それで彼は立ち去り、イエスが自分にどれほど大きなことをしてくださったかを、デカポリス地方で言い広め始めた。人々はみな驚いた。

イエスさまはゲラサ地方に来て、悪霊に取りつかれた人と会った。
神の国は、人々を縛り付けるのではなく、本当の自由を与える。
人々は解放されることによって人生が変わる。

目次

① 悪霊の反応

墓場で繋がれていたこの男性の中にいたのは、レギオンと名乗るたくさんの悪霊だった。
レギオンはイエスさまを恐れ、滅ぼさないでくれと懇願する。
この男から離れて豚の中に入ることを許して欲しいと願い、それは許可された。

すると、2000匹もの豚が湖に飛び込み、おぼれて死んでしまった。
忘れてはならないのは、豚を殺したのはイエスさまではなく、悪霊だということ。
イエスさまは、その優しさによって悪霊が別のところに移ることを許したが、悪霊はそれによって別の破壊をもたらした。
悪霊は悔い改めることがないし、良いものをもたらすことはない。
悪霊が2000匹の豚を殺したことは、ついには町の人々の心を操り、イエスさまから引き離すことになっていく。

② 町の人々の反応

鎖でつながれ、人や自分を傷つけていた人が解放され、正気に戻ったことは喜ぶべき、素晴らしいことだったはず。
しかし、2000匹の豚という損失に目を奪われた人々は、そこに起こった素晴らしい祝福を喜ぶことができなかった。
人々はそれを見て驚き、恐れを抱いて、イエスさまに出て行って欲しいと願ったのである。

誰かがイエスさまと出会い、人生が変えられていくとき、そこで何か犠牲が伴ったり、失われることもある。
それを喜ぶことができない人たちもいる。
しかし、ひとりの魂が救われることよりも重要なことはない。

③ 墓場の男の反応

墓場の男は、悪霊が追い出されたことを喜び、イエスさまの弟子としてこれからも一緒について行きたいと願った。
しかし、イエスさまの答えは、ここに留まって、自分の身に起こったことを人々に伝えるという使命だった。

5:19 しかし、イエスはお許しにならず、彼にこう言われた。「あなたの家、あなたの家族のところに帰りなさい。そして、主があなたに、どんなに大きなことをしてくださったか、どんなにあわれんでくださったかを知らせなさい。」

彼の存在は、悪霊を追い出された後も、この町の中では疎まれた。
しかし、町から離れたもっと大きな地域であるデカポリス地方で、彼のことばは多くの人々に驚きをもたらした。

5:20 それで彼は立ち去り、イエスが自分にどれほど大きなことをしてくださったかを、デカポリス地方で言い広め始めた。人々はみな驚いた。

マタイの福音書では、このような記述もある。

マタイ 4:25 こうして大勢の群衆が、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ、およびヨルダンの川向こうから来て、イエスに従った。

イエスさまが訪れていないデカポリスの人々がこうしてイエスさまに従ったのは、恐らくこの墓場の男が福音を伝えた結果だろう。
私たちは、聖書のことをよく知らない自分には、福音を伝えることができないと思いがち。
でも、元々異邦人だったこの男は、聖書のことなど何も知らなかった。
大切なのは、「知識」ではなく、私たちが神の国に生きているかどうか。
私たちが悪魔の支配から離れ、神の支配の中に入るとき、そこには福音を伝える力も与えられている。
神の国に生き、喜びをもって福音を伝えていこう。