出エジプト14:10-30 『主が戦われるー出エジプトの奇蹟』 2018/08/05 小西孝蔵

出エジプト14章10~30節
14:10パロが近寄った時、イスラエルの人々は目を上げてエジプトびとが彼らのあとに進んできているのを見て、非常に恐れた。そしてイスラエルの人々は主にむかって叫び、 14:11かつモーセに言った、「エジプトに墓がないので、荒野で死なせるために、わたしたちを携え出したのですか。なぜわたしたちをエジプトから導き出して、こんなにするのですか。 14:12わたしたちがエジプトであなたに告げて、『わたしたちを捨てておいて、エジプトびとに仕えさせてください』と言ったのは、このことではありませんか。荒野で死ぬよりもエジプトびとに仕える方が、わたしたちにはよかったのです」。 14:13モーセは民に言った、「あなたがたは恐れてはならない。かたく立って、主がきょう、あなたがたのためになされる救を見なさい。きょう、あなたがたはエジプトびとを見るが、もはや永久に、二度と彼らを見ないであろう。 14:14主があなたがたのために戦われるから、あなたがたは黙していなさい」。 14:15主はモーセに言われた、「あなたは、なぜわたしにむかって叫ぶのか。イスラエルの人々に語って彼らを進み行かせなさい。 14:16あなたはつえを上げ、手を海の上にさし伸べてそれを分け、イスラエルの人々に海の中のかわいた地を行かせなさい。 14:17わたしがエジプトびとの心をかたくなにするから、彼らはそのあとを追ってはいるであろう。こうしてわたしはパロとそのすべての軍勢および戦車と騎兵とを打ち破って誉を得よう。 14:18わたしがパロとその戦車とその騎兵とを打ち破って誉を得るとき、エジプトびとはわたしが主であることを知るであろう」。
14:19このとき、イスラエルの部隊の前に行く神の使は移って彼らのうしろに行った。雲の柱も彼らの前から移って彼らのうしろに立ち、 14:20エジプトびとの部隊とイスラエルびとの部隊との間にきたので、そこに雲とやみがあり夜もすがら、かれとこれと近づくことなく、夜がすぎた。
14:21モーセが手を海の上にさし伸べたので、主は夜もすがら強い東風をもって海を退かせ、海を陸地とされ、水は分かれた。 14:22イスラエルの人々は海の中のかわいた地を行ったが、水は彼らの右と左に、かきとなった。 14:23エジプトびとは追ってきて、パロのすべての馬と戦車と騎兵とは、彼らのあとについて海の中にはいった。 14:24暁の更に、主は火と雲の柱のうちからエジプトびとの軍勢を見おろして、エジプトびとの軍勢を乱し、 14:25その戦車の輪をきしらせて、進むのに重くされたので、エジプトびとは言った、「われわれはイスラエルを離れて逃げよう。主が彼らのためにエジプトびとと戦う」。
14:26そのとき主はモーセに言われた、「あなたの手を海の上にさし伸べて、水をエジプトびとと、その戦車と騎兵との上に流れ返らせなさい」。 14:27モーセが手を海の上にさし伸べると、夜明けになって海はいつもの流れに返り、エジプトびとはこれにむかって逃げたが、主はエジプトびとを海の中に投げ込まれた。 14:28水は流れ返り、イスラエルのあとを追って海にはいった戦車と騎兵およびパロのすべての軍勢をおおい、ひとりも残らなかった。 14:29しかし、イスラエルの人々は海の中のかわいた地を行ったが、水は彼らの右と左に、かきとなった。

1.初めにーダンケルクの奇跡
・モーセの生涯5回シリーズの2回目。
・前置きとして紹介するが、ダンケルクの戦いをご存知? 今年の映画「チャーチル」、昨年の映画「ダンケルク」でも取り上げられた、第2次大戦中の英国軍による史上最大の撤退作戦。
・1940年5月ドイツ軍によってダンケルクに追い詰められた英国軍約40万人がドーバー海峡を渡って奇跡的に生還。この奇跡の脱出がなければ、英国軍の兵力は壊滅し、のちのノルマンディ作戦や第2次大戦の早期終結もなかったであろうとされる。(地図参照)
・このダンケルクの戦いをチャーチル首相の下で軍を指揮したのが、チャーチルが最も信頼を寄せたモンゴメリ―司令官。のちに、ドイツ軍の有名なロンメル将軍を破った功績でも有名。
・モンゴメリーは、牧師の息子で、敬虔なクリスチャン。彼が最も尊敬する聖書の中での
リーダーはモーセであると語っている(著書「リーダーシップの条件」)。後ほど、彼の信仰
の実践としての戦いぶりを紹介。

2.前回の振り返りーモーセの召命―
・人生の3分の2が過ぎた80歳で神から召命。エジプト王宮から追われ、エジプトの奴隷から同胞を救おうとする彼の信仰的な決断は挫折。ミディアンの地で居候の身として羊飼いに。言わば、定年退職の「終わった人」(内館牧子の小説)のような状態。
・そのモーセに、)主は、語り掛けた。「モーセよ。モーセよ」→「はい、私は、ここにおります」
「お前がパロの前からイスラエルを去らせる」→モーセ「私は一体何者でしょう?」
モーセは、自信喪失。主の前に自らの弱さをさらけ出す。
・主は、「私の名は、有って有るもの。私は、あなたと共に今もこれからも必ずいる」と答えられた。

3.モーセの疑いと神から与えられたしるし
モーセは、イスラエルの民が自分を信じない、自分はエジプト脱出のリーダーの任に堪えなしことを神にぶつけた。主は、3つのしるしを与えられた。そのうちの一つは、神の杖。もう一つは、兄アロンを通して神の言葉を語る口であった。

出エジプト4章10~17節
4:10モーセは主に言った、「ああ主よ、わたしは以前にも、またあなたが、しもべに語られてから後も、言葉の人ではありません。わたしは口も重く、舌も重いのです」。 ・・・・・・・ 4:13モーセは言った、「ああ、主よ、どうか、ほかの適当な人をおつかわしください」。 4:14そこで、主はモーセにむかって怒りを発して言われた、「あなたの兄弟レビびとアロンがいるではないか。わたしは彼が言葉にすぐれているのを知っている。見よ、彼はあなたに会おうとして出てきている。彼はあなたを見て心に喜ぶであろう。 4:15あなたは彼に語って言葉をその口に授けなさい。わたしはあなたの口と共にあり、彼の口と共にあって、あなたがたのなすべきことを教え、 4:16彼はあなたに代って民に語るであろう。彼はあなたの口となり、あなたは彼のために、神に代るであろう。 4:17あなたはそのつえを手に執り、それをもって、しるしを行いなさい」

・モーセに親近感を感じる。わたしも小さいころから無口で話すのが苦手。大人になって仕事の上でも公の場での答絵に詰まってしまうのではという、トラウマ。

・モーセは、この神の杖と神の口とをもって、パロの前に立ち、10のしるしを示した。10個目のしるしは、エジプト中の初子が殺されるが、傷のない子羊の血を玄関の鴨居と柱に塗ったイスラエルの民の家には、死の災いは、通り過ぎていくというもの。このあと,過ぎ越しの祭りとして、このことを再現し、記念として守りなさいと神から命じられる。

・パロの息子も殺されたこのしるしによって、イスラエルの民は、エジプトから脱出、紅海を渡ることになる。男子だけで60万人、女性や子供も入れると200万人を超えるといわれる。ダンケルクからドーバーを渡った英国軍30数万人をはるかに上回る「史上最大の神の脱出作戦」が進行した。

・ところで、紅海のどこを渡ったかについては、まだ完全な証拠が見つかっていない。主流説は、ナイルの河口付近の紅海、スエズ運河の近辺。少数説であるが、近年注目されているのが、シナイ山がアラビア半島の北端に位置し、その手前にあるアカバ湾を渡ったとする説。海の底にローマ軍の残した戦車の遺物が沈んでいる様子が画像で配信されている。(地図参照)。

4.民の動揺と主の戦い

・パロは、心変わりして、イスラエルの民を追って、ついに紅海の手前で追い詰めた。民は、非常に恐れて、主に向かって叫び、訴えかけた。モーセは、神との間に立って毅然として民を導く。

「14:11 なぜわたしたちをエジプトから導き出して、こんなにするのですか。 14:12わたしたちがエジプトであなたに告げて、『わたしたちを捨てておいて、エジプトびとに仕えさせてください』と言ったのは、このことではありませんか。荒野で死ぬよりもエジプトびとに仕える方が、わたしたちにはよかったのです」。
14:13モーセは民に言った、「あなたがたは恐れてはならない。かたく立って、主がきょう、あなたがたのためになされる救を見なさい。きょう、あなたがたはエジプトびとを見るが、もはや永久に、二度と彼らを見ないであろう。 14:14主があなたがたのために戦われるから、あなたがたは黙していなさい」。

・主は、雲の柱、火の柱をもってエジプト軍を食い止められた。
・主は、モーセに杖を挙げ、手を差し伸べて海を分けるように命じられた。杖は、自然も支配される神の絶対的な力の象徴である。民が紅海を渡り終え、エジプト軍が渡っていったとき、再び、t手を差し伸べて、海がもとに戻り、エジプト軍は、海の底に沈んだ。
・のちにアマレク人との戦いにおいても、モーセが手を差し伸べて主の力により頼んだ。

出エジプト17章15節、16節
17:15モーセは一つの祭壇を築いてその名を「主はわが旗」と呼んだ。 17:16そしてモーセは言った、「主の旗にむかって手を上げる、主は世々アマレクと戦われる」。

英国軍のモンゴメリー将軍もこの「主の御旗」を掲げて戦ったと記されている。

5.私たちが学ぶこと

1)絶体絶命のピンチには、主が戦われる。
私たちは、仕事、病気、事故、人間関係などにおいて、絶対絶命のピンチに追い込まれることがある。自分には、戦う力がない。しかし、主が戦われる。リーダーとして、モーセのように、神に信頼して、疑わない。→私も、何回か、そうした経験をしたが、不思議と主は、助け手を与え、克服する道を示された(3兆円の借金地獄からの解放)。

2)最大の戦いは、罪の奴隷からの解放。
過越しの子羊は、キリストの血。これによって、私たちの罪に対する裁きが目の前を通過する、すなわち罪の負債から贖われ,罪から潔められる。

ローマ人への手紙第6章17節、18節
「6:17 神に感謝すべきことには,あなたがたは、もとは、罪の奴隷でしたが伝えられた教えの基準に心から服従し、6:18罪から解放されて、義の奴隷となったのです。」

最後に、戦いの相手は罪に落としいれるサタンの勢力。防御で頼るべきは、神の武具。

エペソ6章10~13節
「6:10最後に言う。主にあって、その偉大な力によって、強くなりなさい。 6:11悪魔の策略に対抗して立ちうるために、神の武具で身を固めなさい。 6:12わたしたちの戦いは、血肉に対するものではなく、もろもろの支配と、権威と、やみの世の主権者、また天上にいる悪の霊に対する戦いである。 6:13それだから、悪しき日にあたって、よく抵抗し、完全に勝ち抜いて、堅く立ちうるために、神の武具を身につけなさい。」