キリスト教ってどんな宗教なの?

多くの日本人にとって、キリスト教はあまりよくわからない宗教のようです。絵画やクラシック音楽、結婚式などでおなじみではあっても、いったい何を信じている、どんな宗教なのでしょうか?

宗教ではない!?

実は、「キリスト教ってどんな宗教なのか?」という質問に答えることは簡単ではありません。第一にキリスト教にはいろいろなグループがあり、それぞれに雰囲気や考え方が全然違うからです。これについては、少しだけですが次回書いてみようと思っています。

キリスト教がどんな宗教なのかという質問に答えることが難しい第二の理由は、イエス・キリストが私たちに教えたことが宗教だと、僕が考えていないからです(笑)。もっとも、宗教の定義にもいろいろありますから、まずはそれをはっきりさせておく必要がありますよね。

この場合の宗教とは、特定の教義に即した宗教的な儀式や礼典、規律や戒律などの行いのことです。キリスト教の中には、確かにそのような宗教的な要素もあるのですが、それはイエスさまが教えていることではなくて、それほど重要なことではありません。それでは本当に大切なのは何なのかというと、「神さまとの関係の回復」です。

神さまとの関係の回復

聖書は、私たちがみんな神さまから離れてしまった状態にあると教えています。そしてその状態のことを「罪人(つみびと)」と呼んでいます。神さまから離れてしまった私たちは、それぞれが自分を善の基準にするようになったため、秩序が壊れてしまったという話を前回の記事「アダムが食べた木の実とは?」で書いていますので、よかったら読んでみてくださいね。

私たちが罪人になったことは、他にも様々な問題をこの世界にもたらしました。私たちは神さまの祝福に背を向けてしまったので、この世界は問題だらけで生きづらい場所となり、病気や災害というものも起こるようになりました。そして、いのちの源である神さまから離れてしまった私たちの体は、やがて「死ぬ」存在となってしまったのです。

でも神さまは、そんな私たちを見捨ててしまうことなく、「救い」の道を拓きました。神さまご自身が今から2,000年ほど前にベツレヘムという町で人として生まれ、十字架の上でいのちを投げ出したのです。それによって、神さまとの関係を回復する道を作って下さったのです。

イエスさまが十字架で死んだことと、神さまとの関係の回復にどういうつながりがあるのか、これだけではよくわかりませんよね。これに関しては別の機会に改めてお話しすることにします。ここでは、「救いとは神さまとの関係の回復だ」ということと、「十字架は関係の回復のためだったんだ」ということだけ覚えておいてくださいね。そして、それこそが聖書全体の中心となる話だということです。

神さまと仲良くなって、何かトクがあるの?

さて、神さまとの関係の回復のことを、キリスト教では「救い」と呼んでいます。この「救い」ということばは、「天国に行けるチケットが手に入った」ということを意味したり、「キリスト教という宗教に入信した」ということを意味することもあるので、少し注意が必要です。

でも「神さまとの関係の回復」が、このことばが意味している本当に大切な部分です。神さまとの関係が築かれているから、天国で神さまと永遠のときを過ごすということに喜びがあるわけですしね。

「天国に行ける」ということ以外に、神さまとの関係を回復するメリットは私たちにあるでしょうか? 大アリです!(笑)

まぁ、「天国に行ける」というだけでも大きな価値があると思いますが、「それなら、死ぬ直前に救われればいいんじゃね?」という話になってしまいます。僕は、長い間キリスト教が「信じれば天国に行ける」ということがすべてであるかのように伝えてきたことは大きな間違いだったと思っています。多くのクリスチャンが、「天国に行ける」チケットを手にしたことに満足して、成長しようとしなくなってしまったからです。

神さまとの関係が回復するということは、私たちがもう独りで生きるのではないということです。人生の中で迷ったとき、神さまは進むべき道を指し示してくださり、悩み苦しむときには励ましてくださり、倒れたときには立ち上がらせて下さる。この人生の中で、決して見捨てることのない神さまがともにいてくださるということは、私たちにとって大きな喜びです。

神さまとの関係が回復するということは、神さまが創造した本当の私たち自身に近づくことができるということです。神さまが創造した本来の私たちは、全知全能の神さまの計画の中にある完璧な人間です。私たちが短所だと思っていたことが神さまの目に長所として活かされ、自分の個性が最大限に発揮される生き方がそこにあるのです。

神さまとの関係が回復するということは、同じように神さまと繋がった人たちとひとつの家族になるということです。世代も、個性も、職業も超えて家族が増えるということは大きな喜びです。そして他にもさまざまな喜びが、神さまとともに生きる人生にはあります。

神さまはあなたともつながりたい

神さまとの関係を回復するために、僕たちがするべきことはとてもシンプルです。まず「自分は神さまとの関係を回復する必要がある罪人」だということを自覚すること。神さまご自身(イエス・キリスト)が自らのいのちをかけてそのための道を拓いてくださったことを信じること。そして、神さまとの関係を回復したいとこころから願うことです。

神さまは、あなたとの関係も回復したいと願っています。そして、あなたもそのために招かれているのです。聖書の中にこのようなことばが書かれているんですよ。

見よ、わたしは戸の外に立ってたたいている。だれでも、わたしの声を聞いて戸を開けるなら、わたしはその人のところに入って彼とともに食事をし、彼もわたしとともに食事をする。黙示録3:20

ライター 松田健太郎