マルコ1:1 ①『神の子、イエス・キリストの福音』 2020/01/05 松田健太郎牧師

マルコ 1:1 神の子、イエス・キリストの福音のはじめ。

今日からマルコによる福音書のシリーズが始まります。
このシリーズは、なるべく初心者の方にもわかりやすいお話をしていくつもりです。
2020年という新しい年、新しい場所で始めるのにふさわしいシリーズだと思いますが、今日はその序章ですね。

さて聖書は、1000年という長い年月の間に、たくさんの人々によって記された66巻の書物によって成り立っています。
その内、「創世記」から「マラキ書」までの39巻を旧約聖書、「マタイの福音書」から「黙示録」までの27巻を新約聖書と呼びます。
簡単に言うと、旧約聖書はイエスさまが生まれてくる以前、新約聖書はイエスさま以降と言うことができます。
西暦がB.C.(Before Christ)と、A.D.(Anno Domini)で分けられるのと同じですね。
イエスさま以前か、以降かということが、人類の歴史にとってどれほど重要なことかということが表されています。

ところで、「旧約」「新約」の「やく」は、翻訳の「やく」ではなく、契約の「やく」という字を書きますよね。
この背景には、神さまは旧約の時代は律法による旧い契約をユダヤ人と結んだ。
しかし、新約の時代には恵による新しい契約が結ばれたという考え方があるようです。
でも、旧い契約と新しい契約という呼び方は、なんだか旧い契約が破棄されて新しい契約が結ばれたような印象があります。
実際に、そのように考える人たちもいるようですが、旧約の時代は終わったという考え方だと、破棄された旧約の聖書は必要ないという考え方になってしまいます。
そういう考え方の教会では、旧約聖書からメッセージがされるということはほとんどありません。
皆さんの中にも、そのような教会で育ったという方がいらっしゃるかもしれませんね。

僕は、旧約と新約という分け方はあまりよくないと考えています。
神さまの契約は、永遠の契約であり、66巻すべてが合わさって聖書だからです。

① 旧約時代
クリスマスの時にも少しお話ししましたが、すべては創世記から始まっています。
もともと人間は、神さまとの愛の関係の中にあるものとして創造されました。
最初の人間であるアダムたちにとって、神さまと対話するということは当たり前のことだったのです。
ところが人間は、神さまに背いて神さまとの愛の関係を壊してしまいました。
人間は罪人となり、善悪を自分で決めるようになってしまったのです。
罪人となった人間は、神さまが創造した素晴らしい世界を自分の欲望のために使い、自分自身の価値を低くし、互いに傷つけあうようになりました。
それが、生まれたままの私たちの状態です。

神さまが創造した私たちですから、もちろん良い部分もありますよ。
でも、本当の素晴らしい自分を活かすことができない不完全燃焼の状態が、ありのままの私たちの姿なのです。

そんな私たちに、神さまは救い主を送るという約束をしてくださいました。
神さまは人類を見捨ててはいないことを、繰り返し伝えてきたのです。
先ほど、「契約」ということばが出てきましたが、それもこの約束の内のひとつです。
旧約聖書は、数々の約束を何度も破る人間の姿と、それでも約束を結び続ける神さまの忍耐の歴史なのです。

② イエス・キリストの福音
さて、今回はマルコの福音書のシリーズとなるわけですが、「福音」とは何でしょうか?
これは、英語では「Gospel」と言ったりもするのですが、漢字の意味としては、「Good News」という意味の中国語から来たことばです。
Good Newsについて書かれている本だから、「福音書」というわけです。

では、ここにはどんなGood Newsが記されているのでしょう?
それは、人が壊してしまった神さまとの関係の回復です。
人類が罪人となって以来、神さまが約束してくださっていた救い主がついに地上に来て、その約束が実現する時が来た。

もう少し具体的な話はこのシリーズの中でお話していきますが、そのカギを握っているのはイエス・キリストです。
神の子であるイエスさまが地上に生まれ、人々を愛し、癒し、教え、導き、そして十字架にかかって罪を贖ってくださいました。
そんなGood Newsについて書かれているのが、福音書なのです。

③ マルコの福音書
聖書には4つの福音書があります。
それぞれ、著者の名前を冠して「マタイの福音書」「マルコの福音書」「ルカの福音書」「ヨハネの福音書」と呼ばれています。
今回取り上げるマルコの福音書は、その4つの中で最も早く書かれた福音書でした。
マルコの後、12使徒のひとりマタイと、異邦人でパウロと行動を共にしていたルカとが、同じくらいの時期にそれぞれの立場から、福音書を書いています。

さて、著者であるマルコは福音書の後の出来事が記されている使徒の働きに出てきますが、バルナバのいとこであり、まだ若い青年でした。
そんな彼が、イエスさまと行動を共にしていたわけでもないのに、どうやって福音書を書いたのでしょう。
伝承によれば、マルコはペテロからイエスさまのことを聞き、聞いたことを忠実に書き記したと言われています。

聞いたことをただひたすら書き記しただけなので、福音書の中でももっとも短く、シンプルなものになっています。
そういう意味では、初心者の方たちにも読みやすく、とっつきやすいのがマルコの福音書なのです。

それと同時に、福音の要素が凝縮されているのが、このマルコの福音書と言っていいかもしれません。
聖書のことをあまりよく知らない皆さんが、この学びを通してイエスさまのことを理解し、福音を知ることができるようになるとともに、ベテランの皆さんにとっても、福音の神髄を改めて確認する機会になるといいなぁと思っています。

今年もイエスさまと共に歩む一年となりますように。
祈りましょう。