マルコ13:1-13 『崩される宮、崩されない宮』 2021/05/30 けんたろ牧師

マルコ 13:1-13
13:1 イエスが宮から出て行かれるとき、弟子の一人がイエスに言った。「先生、ご覧ください。なんとすばらしい石、なんとすばらしい建物でしょう。」
13:2 すると、イエスは彼に言われた。「この大きな建物を見ているのですか。ここで、どの石も崩されずに、ほかの石の上に残ることは決してありません。」
13:3 イエスがオリーブ山で宮に向かって座っておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにイエスに尋ねた。
13:4 「お話しください。いつ、そのようなことが起こるのですか。また、それらがすべて終わりに近づくときのしるしは、どのようなものですか。」
13:5 それで、イエスは彼らに話し始められた。「人に惑わされないように気をつけなさい。
13:6 わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『私こそ、その者だ』と言って、多くの人を惑わします。
13:7 また、戦争や戦争のうわさを聞いても、うろたえてはいけません。そういうことは必ず起こりますが、まだ終わりではありません。
13:8 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、あちこちで地震があり、飢饉も起こるからです。これらのことは産みの苦しみの始まりです。
13:9 あなたがたは用心していなさい。人々はあなたがたを地方法院に引き渡します。あなたがたは、会堂で打ちたたかれ、わたしのために、総督たちや王たちの前に立たされます。そのようにして彼らに証しするのです。
13:10 まず福音が、すべての民族に宣べ伝えられなければなりません。
13:11 人々があなたがたを捕らえて引き渡すとき、何を話そうかと、前もって心配するのはやめなさい。ただ、そのときあなたがたに与えられることを話しなさい。話すのはあなたがたではなく、聖霊です。
13:12 また、兄弟は兄弟を、父は子を死に渡し、子どもたちは両親に逆らって立ち、死に至らせます。
13:13 また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれます。しかし、最後まで耐え忍ぶ人は救われます。

エルサレムではヘロデ大王の命令によって神殿の工事がされていた。
それはとても立派な神殿で、素晴らしい装飾がされていた。
ソロモンの時代に作られた第1神殿にも匹敵すると評価される神殿。
その神殿の壮大さに目を奪われた弟子たちは、思わずその感想をイエスさまに伝える。

しかしイエスさまの目に見えていたのは、この神殿が完成してから、わずか数年で破壊される姿であった。

① 第2神殿
この神殿はソロモンが建てたものではなく、400年ほど前ユダヤ人たちが捕囚から帰還した直後、ゼルバベルの導きによって建て直された第2神殿である。
しかし、その頃完成した第2神殿はとてもみすぼらしい状態だった。

自分たちの神殿を手に入れた喜びに浸る若い人々のとなりでは、ソロモンの第1神殿を知る老人たちが、あまりのみすぼらしさに嘆きの涙を流したと記されている。

その第2神殿を、ヘロデ大王が再建させた。
ヘロデ大王は、この頃王となっていたヘロデ・アンティパスの父である。
イエスさまが産まれたとき、東の賢者たちから「新しい王が産まれた」と聞いて、ベツレヘムの赤子を殺させたのがヘロデ大王だった。

ヘロデ大王は、イドマヤ人(エドム人)でありながらユダヤの王となった人物である。
策略によってそれを実現させたものの、ヘロデ大王には「自分がユダヤ人ではない」というコンプレックスがあった。
正統なユダヤ人の王の一族ではないので、民衆からの支持も薄く、少しでも人気を得たかった。
彼自身は大して信仰も持っていなかった神の神殿を作ったのはそのためである。
事実、それによって彼はユダヤ人から大きな評価を得た。

この工事はヘロデ大王の死後も続き、ひ孫となるアグリッパ2世の代まで続いた。
80年もかけて建造されたことになる。

② 神殿崩壊の預言
しかし、そんな神殿が壊されると聞き、弟子たちはそれがいつどのように起こるのか、密かに尋ねた。

13:5 それで、イエスは彼らに話し始められた。「人に惑わされないように気をつけなさい。
13:6 わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『私こそ、その者だ』と言って、多くの人を惑わします。
13:7 また、戦争や戦争のうわさを聞いても、うろたえてはいけません。そういうことは必ず起こりますが、まだ終わりではありません。
13:8 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、あちこちで地震があり、飢饉も起こるからです。これらのことは産みの苦しみの始まりです。
13:9 あなたがたは用心していなさい。人々はあなたがたを地方法院に引き渡します。あなたがたは、会堂で打ちたたかれ、わたしのために、総督たちや王たちの前に立たされます。そのようにして彼らに証しするのです。

事実、イエスさまの死後も「キリスト」を名乗る者たちが幾度となく現れた。
戦争、地震、飢饉などさまざまな出来事がユダヤに起こった。
それはユダヤの終わりの時を示すしるしだが、すべては産みの苦しみの始まりでしかないとイエスさまは言う。

そして、ネロが皇帝となるころにはクリスチャンたちが大きな迫害を受けるようになった。
そのような中、紀元64年に、第2神殿はついに完成。
しかし紀元66年にはついにユダヤ人の反乱によってローマ帝国との戦争が起こり、紀元70年、第2神殿は完成してからわずか6年にして完全に破壊されてしまった。
そしてそれからさらに3年後、ユダヤは完全に滅ぼされることになったのである。

③ この預言は、終末の型
これは、イエスさまは40年後に起こることを言い当ててスゴイと言うだけの話ではない。
この預言は確かに紀元70年に成就したが、これはユダヤの終わりを告げるだけではなく、世の終わりを示す2重の預言となっているのだ。

こうして、すぐに来る出来事と、数百年後に起こる出来事を重ね合わせて預言するのは、聖書の中では定番でもある。
旧約聖書では、これから生まれてくる新しい王に対する預言とともに、救い主の誕生について預言されていた言葉がいくつもある。
そして、救い主の誕生と、再臨を重ね合わせて預言している個所もある。
聖書の預言は何重構造にもなっている。

私たちの生きているこの時代、この世界もやがて終わるということを、私たちは知っておく必要がある。
そしてその時は、次第に近づいているのである。
私たちクリスチャンにとって、世の終わりは決して恐いものではない。
イエスさまがもう一度地上に来てくださり、全ての罪が清算されるときだから。

それを考えた時、私たちはどんなものに目を留め、関心を払っているか、もう一度考えてみたい。
80年かけて建築されたヘロデ神殿は確かに見事な建造物だったかもしれない。
しかしそれは、わずか数年の内に粉々にされてしまった。

私たちは、見かけは壮大で素晴らしくても、すぐに壊されてしまうものではなく、永遠に続く宮を建て上げていきたい。
永遠の宮とはどんなものだろう?

Ⅰコリント 6:19 あなたがたは知らないのですか。あなたがたのからだは、あなたがたのうちにおられる、神から受けた聖霊の宮であり、あなたがたはもはや自分自身のものではありません。

永遠に続く宮とは、私たち自身である。
それも、やがて土に還っていく肉体ではなく、私たちの心であり、魂である。
ヘロデ神殿に比べればみすぼらしく見えるかもしれないが、この宮は決して壊され、失われることはない。

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