マルコ13:14-23 58『荒らす忌まわしいもの』 2021/06/06 けんたろ牧師

マルコ 13:14-23
13:14 『荒らす忌まわしいもの』が、立ってはならない所に立っているのを見たら──読者はよく理解せよ──ユダヤにいる人たちは山へ逃げなさい。
13:15 屋上にいる人は、家から何かを持ち出そうと、下に降りたり、中に入ったりしてはいけません。
13:16 畑にいる人は、上着を取りに戻ってはいけません。
13:17 それらの日、身重の女たちと乳飲み子を持つ女たちは哀れです。
13:18 このことが冬に起こらないように祈りなさい。
13:19 それらの日には、神が創造された被造世界のはじめから今に至るまでなかったような、また、今後も決してないような苦難が起こるからです。
13:20 もし主が、その日数を少なくしてくださらなかったら、一人も救われないでしょう。しかし、主は、ご自分が選んだ人たちのために、その日数を少なくしてくださいました。
13:21 そのときに、だれかが、『ご覧なさい。ここにキリストがいる』とか、『あそこにいる』とか言っても、信じてはいけません。
13:22 偽キリストたち、偽預言者たちが現れて、できれば選ばれた者たちを惑わそうと、しるしや不思議を行います。
13:23 あなたがたは、気をつけていなさい。わたしは、すべてのことを前もって話しました。

ヘロデによって作られていた神殿を見ながら、イエスさまはそれがすぐに壊されてしまうことを預言した。
弟子たちは、それがいつ起こるのか、イエスさまに密かに尋ねる。
イエスさまが話したことは、そこから数十年の間に起こる出来事だったが、それは同時に、この世界の終わりの時についての預言でもあった。

① 荒らす忌まわしいもの
ここでイエスさまは、「荒らす忌まわしいもの」について話している。
これは、初めて目にする人にとっては少しゾッとするような奇妙な言葉だが、旧約聖書で預言され、イエスさまの時代にはすでに実現した出来事からの話である。

それは、ダニエル書の中で記されていた。

ダニエル 11:31 彼の軍隊は立ち上がり、砦である聖所を冒し、常供のささげ物を取り払い、荒らす忌まわしいものを据える。

この預言が直接的に表していたのは、ダニエルの預言から400年くらい後、ユダヤがセレウコス朝シリアに支配されていた時代に出てきたアンティオコス4世・エピファネスのことだった。
アンティオコスはユダヤ人たちが自分たちの神を礼拝することを禁止し、ゼウスの像を神殿に据えて、ユダヤ人たちには汚れた肉であった豚肉を捧げさせたと言われている。

ユダヤ戦争の時には、偶像は立てられなかったが、神殿が破壊され、至聖所が人々に荒らされることとなった。
それこそがこの時代のサインである。

② 逃げなさい
イエスさまは、このサイン――神殿が壊されて、至聖所に人々が立っているのを見たら、一目散に避難するようにとイエスさまは言っている。

13:14 『荒らす忌まわしいもの』が、立ってはならない所に立っているのを見たら──読者はよく理解せよ──ユダヤにいる人たちは山へ逃げなさい。
13:15 屋上にいる人は、家から何かを持ち出そうと、下に降りたり、中に入ったりしてはいけません。
13:16 畑にいる人は、上着を取りに戻ってはいけません。
13:17 それらの日、身重の女たちと乳飲み子を持つ女たちは哀れです。
13:18 このことが冬に起こらないように祈りなさい。
13:19 それらの日には、神が創造された被造世界のはじめから今に至るまでなかったような、また、今後も決してないような苦難が起こるからです。
13:20 もし主が、その日数を少なくしてくださらなかったら、一人も救われないでしょう。

神殿が破壊された時、そこでは多くの人々が殺された。
そしてそれは、大きな痛みをユダヤ人たちの中に残すこととなった。
この出来事が起こった数年後、AD70年エルサレムはついに陥落し、国家としてのユダヤは滅ぼされることとなってしまった。

13:20 もし主が、その日数を少なくしてくださらなかったら、一人も救われないでしょう。しかし、主は、ご自分が選んだ人たちのために、その日数を少なくしてくださいました。

ユダヤは国として亡びることになったが、憐みによってユダヤ人が全て滅ぼされることはなかった。
そしてその後1500年以上の間、ユダヤは国を失ったまま暮らしていくこととなるのである。

③ 信じてはいけないこと
その時には、キリストの偽物が現れて人々を惑わそうとすると預言されている。

13:21 そのときに、だれかが、『ご覧なさい。ここにキリストがいる』とか、『あそこにいる』とか言っても、信じてはいけません。
13:22 偽キリストたち、偽預言者たちが現れて、できれば選ばれた者たちを惑わそうと、しるしや不思議を行います。
13:23 あなたがたは、気をつけていなさい。わたしは、すべてのことを前もって話しました。

実際に、使徒の働きには、悪霊の働きによって魔術師のような人々が活動していた様子が描かれている。
ヨハネも手紙の中で、「反キリスト」がたくさん現れていることを記している。

さて、先週も話したように、この出来事は過去のことについてだけ書かれているのではない。
現代にもたくさんのニセキリストが現れていて、不思議な力を見せつけつつ、多くの人々を惑わせている。

韓国には、知られているだけで50人は再臨のキリストがいると言われている。
そのような異端やカルト、新興宗教が多くの人々を惑わせている今の状況は、聖書に預言されていた状況と酷似している。
つまり、終わりの時は近いということだ。

神殿がなくなった現在、今度はどのようにして「荒らす忌まわしいもの」が立つことになるのかはなぞである。
しかし、それが起こった時には多くの人々がこの言葉を思い出し、ついに終わりの時が来たことを知ることになるだろう。

いつそれが起こるかは、誰にもわからない。
それこそ、「今年だ」とか「来年だ」とまことしやかに言う人々が出てくるが、私たちはそれに耳を貸して惑わされてはならない。
大切なのは、イエスさまが言っているように、「いつも目を覚まして心の準備をしておくことなのである」

マタイ 24:42 ですから、目を覚ましていなさい。あなたがたの主が来られるのがいつの日なのか、あなたがたは知らないのですから。