創世記 14:18-24 (14-15章)創世記16『神が人と契約するとき』2024/09/01 けんたろ
創世記 14:18-24 (14-15章)
14:18 また、サレムの王メルキゼデクは、パンとぶどう酒を持って来た。彼はいと高き神の祭司であった。
14:19 彼はアブラムを祝福して言った。「アブラムに祝福あれ。いと高き神、天と地を造られた方より。
14:20 いと高き神に誉れあれ。あなたの敵をあなたの手に渡された方に。」アブラムはすべての物の十分の一を彼に与えた。
14:21 ソドムの王はアブラムに言った。「人々は私に返し、財産はあなたが取ってください。」
14:22 アブラムはソドムの王に言った。「私は、いと高き神、天と地を造られた方、【主】に誓う。
14:23 糸一本、履き物のひも一本さえ、私はあなたの所有物から何一つ取らない。それは、『アブラムを富ませたのは、この私だ』とあなたが言わないようにするためだ。
14:24 ただ、若い者たちが食べた物と、私と一緒に行動した人たちの取り分は別だ。アネルとエシュコルとマムレには、彼らの取り分を取らせるように。」
前回から創世記に戻り、アブラムの話しが始まりました。
多神教の国で生まれ育ったアブラムは、あるとき神さまの語り掛けを受け取り、神さまに従って生まれ故郷を後にして、約束の地へと旅立ちました。
途中失敗もありましたが、アブラムは神さまからの特別や祝福を受け、子孫が砂の数ほども多くなるという約束をされたのです。
今日はその続きとなります。
① メルキデゼク
甥のロトと別れたアブラムですが、少し経って心配になるようなニュースが飛び込んできます。
戦争が起こり、ロトが向かったソドムとゴモラで戦争が起こったという話です。
これは、いくつかの都市国家を巻き込む大きな規模の戦いとなり、ロトも財産を奪われてしまいました。
そこでアブラムは訓練されたもの318人を引き連れて略奪者を追い、ケドルラオメルと彼に味方する王たちを打ち破ってしまいました。
アブラムとしては奪われたものを取り戻せればよかったのですが、思っていた以上の活躍をしてしまったわけです。
それを歓迎しアブラムに会いに来た人たちが二組いました。
一方はソドムの王、もう一方はサレㇺの王メルキデゼクでした。
サレㇺはこの当時は都市国家でしたが、ここは後にエルサレムですね。
そしてサレムの王メルキデゼクは、王でありいと高き神の祭司でした。
つまり、アブラムと同じ真の神に仕える人だったのです。
このメルキデゼクは突然現れた謎の人なのですが、救い主の伏線となっている人物です。
王であり、祭司であるというのはまさにイエスさまです。
イエスさま本人ではないとしても、象徴的な存在として聖書には描かれています。
アブラムはメルキデゼクとは食事まで一緒にし、持っているものの十分の一を捧げましたが、一方でケドルラオメルに略奪されていた財産をそのまま与えようとするソドムの王からは何も受け取ろうとしません。
ここにアブラムの姿勢が明らかにされているのです。
私たちは、誰とともに過ごすことを喜ぶでしょうか?
誰から何を受け取り、誰に何を捧げるでしょうか?
ソドムの王から受け取ることができた富をアブラムは拒み、真の神さまに仕えるメルキデゼクにむしろ捧げものをしたアブラムに、私たちも習いたいものですね。
② 3回目の約束
さて、アブラムのこの出来事が起こり、アブラムがどうするかを待っていたかのように。神さまがアブラムの元に再び現れ、3回目の約束をします。
1回目は、生まれ故郷を離れて示した地に行けば大いなる国民とするという約束。
2回目は、子孫をちりの数ほどに増やすという約束でした。
しかしアブラムは、心の内にあった疑いと心配を神さまに訴えるのです。
創世記 15:1 これらの出来事の後、【主】のことばが幻のうちにアブラムに臨んだ。「アブラムよ、恐れるな。わたしはあなたの盾である。あなたへの報いは非常に大きい。」
15:2 アブラムは言った。「【神】、主よ、あなたは私に何を下さるのですか。私は子がないままで死のうとしています。私の家の相続人は、ダマスコのエリエゼルなのでしょうか。」
15:3 さらに、アブラムは言った。「ご覧ください。あなたが子孫を私に下さらなかったので、私の家のしもべが私の跡取りになるでしょう。」
15:4 すると見よ、【主】のことばが彼に臨んだ。「その者があなたの跡を継いではならない。ただ、あなた自身から生まれ出てくる者が、あなたの跡を継がなければならない。」
15:5 そして主は、彼を外に連れ出して言われた。「さあ、天を見上げなさい。星を数えられるなら数えなさい。」さらに言われた。「あなたの子孫は、このようになる。」
15:6 アブラムは【主】を信じた。それで、それが彼の義と認められた。
神さまは、私の子孫がちりの数のようになると約束してくださったけれど、私にはまだ一人も子どもがいない。
このままでは、私たちの習慣に従ってしもべのエリエゼルが財産を受け継ぐこととなるでしょう。
あなたが約束なさったのは、エリエゼルが私の子孫として繁栄していくということでしょうか?
神さまはそうではない、あなた自身の子どもたちから子孫が増え、星の数のほどにもなるだろうと約束したのです。
③ 神さまとの契約
しかし、なかなか信じることができないアブラムのために、神さまはアブラムと契約を結びます。
それは、この当時の商人たちが重大な契約を結ぶときにとった方法でした。
創世記 15:9 すると主は彼に言われた。「わたしのところに、三歳の雌牛と、三歳の雌やぎと、三歳の雄羊と、山鳩と、鳩のひなを持って来なさい。」
15:10 彼はそれらすべてを持って来て、真っ二つに切り裂き、その半分を互いに向かい合わせにした。ただし、鳥は切り裂かなかった。
こうして真っ二つに裂いた動物たちの間を、契約を結ぶ二人が通るのです。
そして、契約を破った者はこの動物たちのように二つに裂かれるという契約を結ぶのが常でした。
ゆびきりげんまんを千倍物騒にしたような約束方法ですね。
しかし、ここで結ばれた契約は普通とは少し違いました。
創世記 15:17 日が沈んで暗くなったとき、見よ、煙の立つかまどと、燃えているたいまつが、切り裂かれた物の間を通り過ぎた。
普通なら契約を結ぶ神さまとアブラムが通るところですが、神さまだけがそこを通ったのです。
つまりこの契約は、神さまが結んだ一方的な契約です。
アブラムの側がそれを破っても引き裂かれないが、神さまはそれを破れば引き裂かれる。
人と神さまとの契約は、このように結ばれているのです。
神さまの側が約束をたがえたり、契約を破ることはありません。
しかし、私たちは神さまとの約束を破ってしまう。
それは、私たちが罪人だからです。
だから神さまは、私たちの身代わりとなってこの契約を果たし、人間としてこの地上に生まれ、私たちの代わりに十字架の上で血まみれになってくださったのです。
私たちは、罰を恐れるから神さまに従い、契約をまもるのではありません。
このような神さまだからこそ、神さまに従いたいと思うのです。
こんな神さまに、私たちも心の全てを委ね、心を尽くして従おうではありませんか。