出エジプト 4:21-23(4:21-6:1)出エジプト 4『問題が悪化したとき』2025/02/22 けんたろ
出エジプト 4:21-23(4:21-6:1)
4:21 【主】はモーセに言われた。「あなたがエジプトに帰ったら、わたしがあなたの手に授けたすべての不思議を心に留め、それをファラオの前で行え。しかし、わたしが彼の心を頑なにするので、彼は民を去らせない。
4:22 そのとき、あなたはファラオに言わなければならない。【主】はこう言われる。『イスラエルはわたしの子、わたしの長子である。
4:23 わたしはあなたに言う。わたしの子を去らせて、彼らがわたしに仕えるようにせよ。もし去らせるのを拒むなら、見よ、わたしはあなたの子、あなたの長子を殺す。』」
奴隷になったイスラエルを解放するように、モーセは命じられました。
モーセは「自分には無理です」と言い訳をして、最終的にファラオとは、兄のアロンが話すことになったのでしたね。
① 民を去らせないファラオ
その際、神さまはモーセに少し不可解なことを言います。
4:21 【主】はモーセに言われた。「あなたがエジプトに帰ったら、わたしがあなたの手に授けたすべての不思議を心に留め、それをファラオの前で行え。しかし、わたしが彼の心を頑なにするので、彼は民を去らせない。
神さまがファラオをかたくなにすると言うのです。
これは、誤解を生みやすく多くの人がつまずく部分でもありますので先に解説しておきますね。
「神さまがファラオを頑なにしたのに、それによってファラオが裁かれるというのはおかしいじゃないか」と思われる方がいらっしゃるのです。
この話は「ファラオは素直でいい人だったのに、神さまがファラオを頑なにしたのでイスラエルは解放されなかった」ということではありません。
イスラエルを解放させようとしなかったのはファラオ自身であり、彼自身のかたくなさの問題なのです。
ここでのポイントは、「神さまがイスラエルを解放させるためにモーセたちを送り出すけれど、彼らはすぐに解放されない」ということです。
必要であれば問題がスムーズに解決することもできたでしょうが、神さまはファラオが憤って頑なになるままにしました。
その気になればエジプト人だけをその場で殺してしまうことだってできたでしょう。
しかし、この後に起こる様々な出来事は、イスラエルにとって大切な体験だったので、問題はすぐには解決されなかったのです。
② 頑なになるファラオ
モーセとアロンは合流し、ファラオのもとに行って神さまに命じられたように、「イスラエルを解放しなさい」と言いますが、ファラオはそれを素直に聞いたりはしませんでした。
それはそうですよね。
エジプトにとってイスラエルは何十万人もいる労働者です。
そんな数の労働力が一気になくなったらエジプトは大変なことになってしまいます。
ファラオは威厳を持ってそのことばを退け、むしろ労働を苛酷にして、イスラエルの民に思い知らせようとしました。
出エジプト 5:7 「おまえたちは、れんがを作るために、もはやこれまでのように民に藁を与えてはならない。彼らが行って、自分で藁を集めるようにさせよ。
5:8 しかも、これまでどおりの量のれんがを作らせるのだ。減らしてはならない。彼らは怠け者だ。だから、『私たちの神に、いけにえを献げに行かせてください』などと言って叫んでいるのだ。
これは、イスラエルが逆らったことに対しての罰という部分もありますが、忙しくなれば背こうだなんて余計なことを考えることもなくなるだろうという部分もあります。
現代でも使われる支配のための手法ですね。
カルト宗教でも起こりますし、ブラック企業でも、そして国の政治としても行われたりしますね。
問題は、そうされたときに民が怒る矛先は、ファラオ・エジプトではなくモーセに対してだということです。
出エジプト 5:21 彼らは二人に言った。「【主】があなたがたを見て、さばかれますように。あなたがたは、ファラオとその家臣たちの目に私たちを嫌わせ、私たちを殺すため、彼らの手に剣を渡してしまったのです。」
まるで支配するエジプトではなく、モーセたちや神さまが問題であるかのように思ってしまっています。
これは、支配されていることが当たり前になっていたからです。
イスラエルは長年の間に、心まで奴隷となってしまっていたのです。
③ 問題が解決しないときでも
こうして民から責められるとモーセも悪いのは自分や神さまだったのではないかと思うようになってしまいます。
仲間から責められるのはつらいですよね。
出エジプト 5:22 それでモーセは【主】のもとに戻り、そして言った。「主よ、なぜ、あなたはこの民をひどい目にあわせられるのですか。いったい、なぜあなたは私を遣わされたのですか。
5:23 私がファラオのところに行って、あなたの御名によって語って以来、彼はこの民を虐げています。それなのに、あなたは、あなたの民を一向に救い出そうとはなさいません。」
でも、神さまは最初に言っていましたよね。
「わたしが彼の心を頑なにするので、彼は民を去らせない」って。
しかしモーセはそのことを忘れ、不安になってしまい、それどころか民と一緒になって神さまのせいにし始めてしまったのです。
そんなモーセには、神さまはこのように答えてくださいました。
出エジプト 6:1 【主】はモーセに言われた。「あなたには、わたしがファラオにしようとしていることが今に分かる。彼は強いられてこの民を去らせ、強いられてこの民を自分の国から追い出すからだ。」
「そのうち分かるから、今は待っていなさい」ということですね。
私たちも、問題がすぐに解決しないとき、それどころか神さまに従ったはずなのに問題がさらに悪化するように感じるときがあるのではないでしょうか?
そんな時に、この時のモーセと同じように感じることがあるかもしれません。
しかし、大丈夫。それは、神さまの想定内のことです。
神さまにはちゃんと計画があり、理由があり、目的があります。
神さまに信頼して、待つことも必要なことなのです。