ヨハネ10:22-30 『ハヌカ(2025クリスマス)』2025/12/21 けんたろ

ヨハネ10:22-30
10:22 そのころ、エルサレムで宮きよめの祭りがあった。時は冬であった。
10:23 イエスは宮の中で、ソロモンの回廊を歩いておられた。
10:24 ユダヤ人たちは、イエスを取り囲んで言った。「あなたは、いつまで私たちに気をもませるのですか。あなたがキリストなら、はっきりと言ってください。」
10:25 イエスは彼らに答えられた。「わたしは話したのに、あなたがたは信じません。わたしが父の名によって行うわざが、わたしについて証ししているのに、
10:26 あなたがたは信じません。あなたがたがわたしの羊の群れに属していないからです。
10:27 わたしの羊たちはわたしの声を聞き分けます。わたしもその羊たちを知っており、彼らはわたしについて来ます。
10:28 わたしは彼らに永遠のいのちを与えます。彼らは永遠に、決して滅びることがなく、また、だれも彼らをわたしの手から奪い去りはしません。
10:29 わたしの父がわたしに与えてくださった者は、すべてにまさって大切です。だれも彼らを、父の手から奪い去ることはできません。
10:30 わたしと父とは一つです。」

クリスマスはキリスト教で、キリストの誕生を祝う日として知られています。
これはクリスチャンが少ないと言われる日本でもよく知られていることですね。
でも今回は、ユダヤ教がこの時期に祝うハヌカを中心にお話をしていきたいと思います。
今年はイスラエルのお祭りを中心にお話ししてきているからです。

日本ではあまりなじみのないハヌカですが、つい先日オーストラリアでハヌカを祝っていたユダヤ人たちに対する銃撃事件が起こり、ニュースでもその名を耳にするようになりましたね。
ハヌカとはどんなお祭りで、それは私たちクリスチャンには関わりのあるものなのでしょうか?

① ハヌカはイスラエルの独立を祝う祭り

先にお話ししておくと、ハヌカの祭りは私たちの聖書には出てきません。
神さまが祝いなさいと命じられたものでもありませんから、私たちには直接は関係がないと言えるかもしれません。

では、ハヌカとは何なのかというと、イスラエルの独立を祝う祭りです。
しかも、このイスラエルは現在のイスラエルではなく、紀元前2世紀ころにあったイスラエルの話です。
つまりこれは、旧約聖書と新約聖書の間、中間時代の話ですね。
このころ、イスラエルはセレウコス朝シリアの支配下にありました。
セレウコス朝シリアというのは、アレクサンドロス大王の死後、部下たちが領地を争っていたヘレニズムと呼ばれる時代のできごとです。

セレウコス朝シリアは悪名高いアンティオコス4世エピファネスという王様が支配していました。
エピファネスは、言うことを聞かないユダヤ人たちを苦しめるため、エルサレムの神殿にギリシアの偶像であるゼウスの像を持ち込み、ユダヤ人たちにはけがれたものである豚の肉をいけにえとして捧げました。
ダニエル書で預言されていた「荒らす憎むべきもの」とは、このゼウス像のことです。
しかし、これによってユダヤ人たちの怒りが爆発し、紀元前168年にはマカバイ戦争と呼ばれる独立戦争が始まります。
30年近くの戦いの末、イスラエルはついにシリアを退け、独立を宣言します。
その際、真っ先に行われたのは汚れた神殿をきよめるために、律法に従って燭台に火を灯すことでした。

② ハヌカ

さて、このともしびについて1か月前にお話ししたのを皆さんは覚えているでしょうか?
その時に、「1か月後にまた出てくるので覚えておいてください」とお話ししていた、これがそのともしびです。
聖所の中にあるこのともしび(メノラー)は、常に灯されていなければなりませんでした。
しかも、この火は正しい火でなければなりません。
純粋なオリーブ油が使われるのですが、しかし彼らが見つけたのは1日分の油だけでした。
彼らはやむを得ず、この油を使ってともしびに火を灯したのです。
しかし、この油は一日分しかなかったにも関わらず、清い油が生成されて加えられるまでの8日間、消えることなく燃え続けました。

そのことを記念して、ユダヤ人たちはユダヤ歴の第9の月25日から8日間を祝うのです。
ユダヤ歴は現代の暦とは違うため、毎年日にちは変わりますが、第9の月は太陽暦で言う12月にあたります。
まさに、クリスマスと同じタイミングでこのハヌカが祝われるわけです。
ちなみに、2025年のハヌカは12月14日から22日までなので、今はまさにハヌカの最中というわけです。

こうして祝われるハヌカの祭りは、ともしびを灯すことから光の祭りと呼ばれたり、宮きよめの祭りと呼ばれます。
けがされた宮(神殿)をきよめるために行われたことだからですね。

③ 宮きよめの祭りの日に

さて、そこから数百年の時が経ち、イエスさまの時代にもハヌカの祭りが祝われていました。
それが、今日の聖書箇所ですね。
ここでは「宮きよめの祭り」と呼ばれています。
そしてこのハヌカの最中、ユダヤ人たちがイエスさまにこのように尋ねたとヨハネは記録しています。
「イエス様、あなたは聖書に記されている救い主なのですか? それとも違うのですか? あいまいな態度を続けるのではなく、はっきりと教えてください。」

この質問が、宮きよめの祭りと呼ばれ、ひかりの祭りでもあるハヌカのときにされたのは必然だったのだと思います。
この質問はつまり、「ハヌカの祭りに象徴されている、宮をきよめ、光であられる方はあなたなのですか? それとも違うのですか?」という意味だからです。
第一に、宮(神殿)は何を意味しているかを思い出してください。
神殿が象徴しているのは、私たちです。
けがされた私たちをきよめるのが、ハヌカの祭りに象徴されていることなわけですが、罪にけがれてしまった私たちをきよめるのは救い主なのです。
「あなたが、私たちの罪をきよめてくださる方なのですか?」という意味が、この質問の中には含まれています。

第二に、このともしびの火が何を象徴するものだったか、皆さんは1か月前のメッセージの内容を覚えているでしょうか?
そう、キリストを表しているものでした。
そしてイエスさまは、ご自身をこのように指し示しています。

ヨハネ 8:12 イエスは再び人々に語られた。「わたしは世の光です。わたしに従う者は、決して闇の中を歩むことがなく、いのちの光を持ちます。」

ユダヤ人たちの質問に対するイエスさまの答えは、少し分かりにくいものではありましたが、とてもシンプルなものでした。
簡単に言うとそれは、「あなたが私に属する者なのであれば、あなたにはそうと分かるはずです」ということです。

皆さんはどうでしょう?
皆さんはイエスさまに属する人でしょうか?
そうであれば、イエスさまが救い主であることを信じ、受け入れることができるでしょう。
もし皆さんが、現時点ではあまりピンとこなくても心配しないでください。
皆さんが受け入れる心を持っていれば、ピンと来るときはやがて来るからです。
どうか心を開いて、神さまを受け入れてみて欲しいのです。
その時、皆さんの中にあるけがれはきよめられ、イエスさまが皆さんの心の闇を照らす光となってくれるはずです。