エペソ6:10-18 『 エペソ15~神の武具を身に着けて』 2013/12/08 松田健太郎牧師

エペソ6:10~18
6:10 終わりに言います。主にあって、その大能の力によって強められなさい。
6:11 悪魔の策略に対して立ち向かうことができるために、神のすべての武具を身に着けなさい。
6:12 私たちの格闘は血肉に対するものではなく、主権、力、この暗やみの世界の支配者たち、また、天にいるもろもろの悪霊に対するものです。
6:13 ですから、邪悪な日に際して対抗できるように、また、いっさいを成し遂げて、堅く立つことができるように、神のすべての武具をとりなさい。
6:14 では、しっかりと立ちなさい。腰には真理の帯を締め、胸には正義の胸当てを着け、
6:15 足には平和の福音の備えをはきなさい。
6:16 これらすべてのものの上に、信仰の大盾を取りなさい。それによって、悪い者が放つ火矢を、みな消すことができます。
6:17 救いのかぶとをかぶり、また御霊の与える剣である、神のことばを受け取りなさい。
6:18 すべての祈りと願いを用いて、どんなときにも御霊によって祈りなさい。そのためには絶えず目をさましていて、すべての聖徒のために、忍耐の限りを尽くし、また祈りなさい。

さて、今日でいよいよエペソ人への手紙も最後になります。
エペソ人への手紙は、クリスチャンとは何か、教会とは何かという事に焦点を当てて書かれた手紙でした。
その最後が、悪魔との戦いで終わっているという事に、わたし達はやはり注意をしていく必要があります。
クリスチャンには戦いがあります。
教会には戦いが起こるのです。

迫害を受けていた、この当時のクリスチャンたちは、その戦いを肉体的な戦いとして認識していたかもしれません。
ローマ兵たち、ユダヤ人たちとどのように戦い、生き残っていくか?
自分たちの自由と、生きる権利を守るために、武装し、声を上げ、戦おうと思っていた人たちもいたかもしれません。
しかしそれは、肉体的な戦いや争いではなく、霊的な戦いなのです。

悪魔は、様々なことを通して、わたし達の心に囁き、誘惑し、混乱させて、神様から離そうとします。
わたし達の目を神様ではなく人に向けさせたり、聖書の言葉を極端に解釈させたり、感情を揺さぶる事によって、わたし達は簡単に神様から離れてしまいます。
そうやって悪魔は、わたし達から救いの確信を奪い、自分自身の失敗に落ち込ませ、キリストの体として働く力を奪おうとするのです。

今日は、その悪魔とどのように戦う事ができるのかという事を、ともに考えていきたいと思います。

① 神の武具
パウロは、このように書いています。

6:13 ですから、邪悪な日に際して対抗できるように、また、いっさいを成し遂げて、堅く立つことができるように、神のすべての武具をとりなさい。

神のすべての武具とは何だったでしょうか?
真理の帯、正義の胸当て、足には平和の福音の備え、信仰の大盾を取り、救いのかぶとをかぶり、御霊の与える剣である神のことばこそ、わたし達が悪魔と戦うために必要な武具です。

悪魔の最大の武器は、嘘。
だからこそ、わたし達は真理をもって戦う必要があります。
全てをまとめ上げる帯として、わたし達は真理を用いるのです。

正義は、もちろん私たちの正しさではありません。
鎧となってわたし達を守るのは、わたし達がどれだけ正しい行いをするかではなく、神様の正義なのです。
わたし達は、神様の正しさによって覆われ、守られています。

わたし達の足を守るのは、平和の福音の備えです。
反逆して離れてしまった、神様と平和をつなぐ福音。
わたし達が行動するための自由をもたらすのは、福音なのです。

悪魔は、様々な悪意を火矢として投げかけ、わたし達を火だるまにしようとします。
その火矢から身を守るのは、信仰の大盾です。
大盾というのは、体全部を覆う事ができるような大きな盾で、表面に濡れた皮が張ってあるので、火矢の火を消すことができます。
悪魔の攻撃から身を守るのは、わたし達の力なのではなく、どこまでも神様なのです。

わたし達の最も大切な頭を守るのは、救いのかぶとです。
わたし達には、永遠の命が保障されていて、この地上で肉体が滅びたとしても、わたし達は永遠の時を神様と共に過ごすことができるという約束がされています。
この約束があるからこそ、わたし達は何者をも恐れる必要がなくなるのです。

そして、神の言葉という御霊の剣が、わたし達には与えられています。
これは、悪魔を攻撃するための唯一の武器という事ができます。
神様の言葉は両刃の剣のように鋭く、すべてのものを切り裂く力を持っています。
悪魔が最も恐れ、わたし達に近づいてほしくないと思っているものが、聖書の言葉なのです。

② 全てが与えられたもの
こうして神の武具を並べてみて思うのは、これはすべて自分の中にはないものだという事です。
当たり前ですね。
だから「神の武具をとりなさい。」と言われているのですから。
でもわたし達は、時として悪魔と自分の力だけで戦おうとしてしまうのです。
自分の中に起こされる不安や、心配、疑い、絶望・・・。
そういうものを払しょくするために、自分自身を鼓舞し、もっと祈り、もっと勉強し、一生懸命に頑張る事で、悪魔からの攻撃に対抗しようとしてしまってはいないでしょうか。
でも、自分の力だけでは、太刀打ちすることなんてできません。

悪魔と戦うために必要な真理、正義、福音の備え、信仰、救い、み言葉。
それはどれも、もともと自分の中にあるものではなく、神様に与えられたものです。

「そんな罪を犯してきて、許されるはずがないだろう。」という悪魔の囁きがあります。
それに対してわたし達は、神様が赦し、救いを与えて下さっているという事実を見て、自分を守るのです。
どれだけ耳をふさいでも無駄だし、囁く声と議論をしたり、罪に対する償いをする事によって悪魔と戦う事はできません。
それどころか、そういう手段で戦おうとすれば、悪魔の思う壺です。
悪魔はさらにうそを重ね、議論に巻き込み、罪悪感を煽って、神様からわたし達を引き離そうとするでしょう。

イエス様が、荒野で悪魔の誘惑を受けた時の事を思い出してください。
「この石がパンになるように命じなさい。」と悪魔が言った時、イエス様はどうして自分が石をパンに変えたくないかという理由を探したり、それが良いか悪いかという事を論じたりはしませんでした。
ただ、「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる。』と書いてある。」と聖書の言葉を引用しただけです。
聖書は何と書いてあるか、神様は何と言っているか?
真実は自分の思いの中にあるのではなくて、神様と共にあり、悪魔は決してそれに勝つことができないのです。

③ すでに与えられている
それでは、どうやってその武具を手に入れたらいいのでしょうか?
実は、わたし達がイエス様を救い主として信じ、自分の主として受け入れているなら、すべてのものがもう与えられているのです。
与えられてると言うと、まるで真理や正義が自分のものになってしまったかのようですが、そういう事ではありません。
真理、正義、平和の福音の備え、信仰、救い、みことばの源である神様が、いつでもわたし達と共にいて下さって、わたし達はそれを用いることができるという事なのです。

大切なのは、それが悪魔と戦うための武具となる事を、わたし達が知らなければならないという事です。
そしてわたし達は、悪魔と戦い、攻撃から身を守るために、これを使う必要があるのです。
わたし達は、真理の帯、正義の胸当て、福音の備えの靴、信仰の大盾、救いのかぶと、みことばの剣を、手に取って使っているでしょうか。
わたし達は、神様が戦って下さるからと言って、黙って待っていては、これらの武具をもっていながらにして、悪魔にタコ殴りにされてしまうという事もあるでしょう。
それこそ、宝の持ち腐れというものです。

わたし達が、疑いや、恐れや、混乱という攻撃を受けるとき、神様の真理、正義、救いやみ言葉を思い返してください。
神様が何と言っているか?
神様が何と約束しているか?
神様が何と保証しているか?
わたし達が、悪魔の攻撃に対して神様の武具によって受け止め、戦う時、わたし達は悪魔を打ち破ることができるのです。


さて、最後にもう一つの事をパウロは書いています。
それは、祈る事です。
6:18 すべての祈りと願いを用いて、どんなときにも御霊によって祈りなさい。そのためには絶えず目をさましていて、すべての聖徒のために、忍耐の限りを尽くし、また祈りなさい。

これは、クリスチャンと教会の事に関して書き綴ったパウロが、その最後に悪魔との戦いについて書いた、さらにその最後を締めくくる薦めの言葉です。
すべての祈りと願いを用いて、どんなときにも御霊によって祈る事。
”願い”という言葉が出てくるので、個人的なことを求める祈りのように思うかも知れませんが、この祈りはすべての兄弟姉妹たちのために、忍耐を尽くして祈られる祈りです。
つまり、お互いのために祈られる、とりなしの祈りなのです。

そのような祈りによって、わたし達の心はひとつとなり、一致していきます。
バラバラな個性を与えられているわたし達が一つに結びついて行く事は難しいですから、互いのために祈る祈りは不可欠なのです。

ここしばらくの間、わたし達は教会の未来と財政のために祈ってきました。
その中でも、互いのために祈る機会もたくさん与えられたのではないでしょうか?
わたし達が悪魔と戦うためにも、一人の力では戦い抜くことが難しいですから、共に祈り合う家族が必要です。
そして心を一つにして祈る時、わたし達は悪魔の邪魔にも負けない、キリストの体としてしっかりと機能していくことができるようになるのです。

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