使徒15:35-41 『 使徒㉒~神の愛は失敗を覆う 』 2013/02/03 松田健太郎牧師

使徒15:35~41
15:35 パウロとバルナバはアンテオケにとどまって、ほかの多くの人々とともに、主のみことばを教え、宣べ伝えた。
15:36 幾日かたって後、パウロはバルナバにこう言った。「先に主のことばを伝えたすべての町々の兄弟たちのところに、またたずねて行って、どうしているか見て来ようではありませんか。」
15:37 ところが、バルナバは、マルコとも呼ばれるヨハネもいっしょに連れて行くつもりであった。
15:38 しかしパウロは、パンフリヤで一行から離れてしまい、仕事のために同行しなかったような者はいっしょに連れて行かないほうがよいと考えた。
15:39 そして激しい反目となり、その結果、互いに別行動をとることになって、バルナバはマルコを連れて、船でキプロスに渡って行った。
15:40 パウロはシラスを選び、兄弟たちから主の恵みにゆだねられて出発した。
15:41 そして、シリヤおよびキリキヤを通り、諸教会を力づけた。

さて、エルサレム会議によって、救いは律法の行いによってではなく、神様からの恵みであり、異邦人は割礼を受けなくても良いという事が決まりました。
その決定事項が各教会に伝えられ、パウロは中断していた伝道旅行を再開する事に決めました。
今日から、第2回の伝道旅行へと話題が突入します。
第2回の伝道旅行の目的の一つは、これまで回って福音を伝えてきた町に戻って、様子を見、必要なアドバイスをするという事でした。
しかし旅立ちに先だって、前回の伝道旅行で共に働きをしたパウロとバルナバとの間で、問題が起ってしまったのです。

① 罪・堕落・失敗
さて、先週お話ししましたが、聖書からの適用を発見するポイントの一つは、そこにある罪、堕落、失敗に焦点を当てて自分と照らし合わせてみるという事です。
ここでは、何が問題だったのでしょう?
それは、マルコの扱いに関して、パウロとバルナバとの間で意見が合わなかったという事です。

さて、このマルコという人を覚えているでしょうか?
このマルコは、福音書を描いたマルコなのですが、数週間前のメッセージにもこの名前が出てきました。
もっともその時は、本来の名前であるヨハネという名前で登場しています。

使徒 13:5 サラミスに着くと、ユダヤ人の諸会堂で神のことばを宣べ始めた。彼らはヨハネを助手として連れていた。

使徒 13:13 パウロの一行は、パポスから船出して、パンフリヤのペルガに渡った。ここでヨハネは一行から離れて、エルサレムに帰った。

マルコは、第一回伝道旅行の時にもパウロとバルナバに同行しましたが、途中でエルサレムに帰ってしまったのです。
彼がなぜ帰ってしまったのか、その理由は聖書には書かれていません。

バルナバは、この若者にもう一度チャンスを与えたいと思っていました。
マルコは、確かに一度神様の使命から離れ、挫折してしまった。
でも、これもまた成長のチャンスだと考えていたのかもしれません。
バルナバは、“慰めの子”というその名前の意味が表すように、人に慰めを与え、励まし、立ち上がらせる賜物がありました。
迫害者として警戒されていたパウロも、そのバルナバの助けによってミニストリーに入って行ったのです。

しかし一方で、パウロはマルコがもう一度彼らに同行する事に反対でした。

15:38 しかしパウロは、パンフリヤで一行から離れてしまい、仕事のために同行しなかったような者はいっしょに連れて行かないほうがよいと考えた。

パウロは厳格で、激しい性格の人です。
そこにどのような理由があったとしても、神様の働きを途中で放棄してしまうような者は、伝道者として失格だとパウロは感じたのです。
イエス様もこう言っていました。
マタイ 10:38 自分の十字架を負ってわたしについて来ない者は、わたしにふさわしい者ではありません。

イエス様は自分より両親を優先する者は弟子として相応しくないと言っていましたし、自分の親を墓に葬る事さえもさせなかった事もありました。
パウロの言う事も、あながち間違っているわけではありません。

問題なのは、二人の間に争いが起ってしまったという事です。

15:39 そして激しい反目となり、その結果、互いに別行動をとることになって、バルナバはマルコを連れて、船でキプロスに渡って行った。
15:40 パウロはシラスを選び、兄弟たちから主の恵みにゆだねられて出発した。
バルナバはマルコを連れて出て行き、パウロもシラスという人と共に別々に出発してしまいました。

皆さんは先週のメッセージを覚えているでしょうか?
エルサレム会議で決定された事がらには、意見の違う者同士が歩み寄る素晴らしい姿勢も見る事ができました。
ところがその直後に、使徒たちの中心人物にもなり始めていたパウロとバルナバがケンカ別れしてしまったのです。
これはまさしく、お互いの間のこだわりと、賜物のぶつかりあいですね。
歩み寄る事の美しさ、素晴らしさがわかっていても、こういう感情を抑える事は難しい事なのです。

② 神様の贖い
さて、今日皆さんにお話ししたいのは、聖書からの適用を発見するためのコツ、パートⅡです。
わたし達は、聖書の個所からそこにある罪、堕落、失敗を見つけました。
次に考えるポイントは、その罪、堕落、失敗を、神様がどのように助け、導き、補ったかという事です。
それを通してわたし達は、神様がわたし達にどのようにして愛を注いで下さるかを知る事ができます。

さて、パウロとバルナバの間に起った反目そのものは、決して喜ばしいものではありませんでした。
でもその事に対して、神様が何をして、どのように働いて下さったのかという事を考えてみるのです。
パウロとバルナバの失敗を、神様はどのようにして補って下さってでしょうか?

まず第一に、宣教の働きが2つになったという事です。
本来ひとつであるはずだった働きが、パウロとバルナバが別行動をする事によって二つの働きとなりました。
この二人が別れる事によって働きがバラバラになって台無しになる事も考えられましたが、それぞれの内に神様が働いて下さる事によって倍の働きとなったのです。
第二に、パウロとバルナバどちらの選択に関しても、神様は益をもたらして下さったという事です。
バルナバの働きを通してマルコは成長し、後には良い働き人となる事ができました。
パウロはバルナバ達と別れた事によってシラス、テモテという素晴らしい働き人たちと出会い、パウロの働きはますます祝福されたものとなりました。
この第2回の伝道旅行は大変な事もたくさん起った時でもあり、ある意味ではパウロの選択によってマルコは厳しい状況から守られたという事も出来ます。
第三には、彼らは最終的に悔い改めへと導かれ、和解する事ができたという事です。
先日も話しましたが、パウロは後に手紙の中で、バルナバとマルコを良い同労者として紹介しています。
その後どのような経緯で和解する事になったのかはわかりませんが、神様はそこに回復をもたらし、愛の業が起る事になったのです。

③ 全てが益とされるために
この話を、わたし達はどのように受け取ったらいいのでしょう?
失敗したって神様は助けて下さるのだから、わたし達は自分の思う事を好きなようにしていればいいという事でしょうか?
確かに神様は、わたし達が神様に逆らっている時にさえただひたすら恵みによって益をもたらしてその愛を表して下さる事もあります。
特に、わたし達がイエス様と出会い、信仰を持つ前にはそのような奇跡を起こして、わたし達にその存在を気付かせて下さる事があります。
でも、それではわたし達は、欲望に任せて神様からどんどん離れて行く事になってしまうでしょう。
わたし達が神様に従おうとしないで、神様が助けだけ与えて下さるとは期待しない方が良いのではないかと思います。
神様が助けの手を伸ばしても、わたし達が従わないなら何の意味もないのですから。
それでは、どうすれば神様は、この様にして助けて下さるのでしょうか?

パウロはローマの教会への手紙の中で、神様がどのような時にわたし達の不足を補い、益をもたらして下さるかを書き残しています。

ローマ 8:28 神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。
つまり、わたし達が神様を愛し、神様の計画に従う時、神様は全ての事を益として働かせて下さるのだという事です。

パウロとバルナバは、どちらも神様を愛し、その御心を必死に求めていました。
だからこそ、お互いの違いを乗る超える事も難しくてぶつかりあってしまったのですが、そのままで終わる事はなく、神様が導いて全てを益としていって下さったのです。
パウロもバルナバも、語られる神様の導きを少しずつ受け取っていった事でしょう。
そうして彼らの歩む道は守られ、祝福を受け、困難もありましたが乗り越える事ができ、悔い改めへとも導いて行かれたのです。

わたし達は、どれほど気をつけていても、必ず失敗をする事があります。
神様に従っているつもりでも、その道がずれてしまう事もあるでしょう。
特に人間関係は本当に難しいものです。
パウロやバルナバのような人達でさえぶつかり合い、反目し合うような時があったのなら、わたし達の内に起る事も当たり前の事ではないでしょうか?

それでも、わたし達が神様の御心を第一として歩み続けるなら、神様は失敗や間違いからも益となるものを起こして下さいます。
その愛の大きさを信じて、神様に従う道を進もうではありませんか?
わたし達の想像を遥かに超えた神様の祝福は、必ずそこにあるはずです。

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