創世記8:1, 9:13-16 『雲の中に虹を見上げて』 2008/05/04 松田健太郎牧師

創世記 8:1、9:13~16
8:1 神は、ノアと、箱舟の中に彼といっしょにいたすべての獣や、すべての家畜とを心に留めておられた。それで、神が地の上に風を吹き過ぎさせると、水は引き始めた。

9:13 わたしは雲の中に、わたしの虹を立てる。それはわたしと地との間の契約のしるしとなる。
9:14 わたしが地の上に雲を起こすとき、虹が雲の中に現われる。
9:15 わたしは、わたしとあなたがたとの間、およびすべて肉なる生き物との間の、わたしの契約を思い出すから、大水は、すべての肉なるものを滅ぼす大洪水とは決してならない。
9:16 虹が雲の中にあるとき、わたしはそれを見て、神と、すべての生き物、地上のすべて肉なるものとの間の永遠の契約を思い出そう。」

皆さんは、箱舟がどんな形をしていたかご存知でしょうか。
2年前にこの教会でメッセージを聞いた方は、覚えていらっしゃるかもしれませんね。
でも、まだ知らない方のためにお話したいと思います。

私たちもただ大きな船というのではなく、“箱舟”という言い方をするのですが、多くの英語の聖書では“The ark”という言葉が使われて訳されています。
これは、“箱”という意味なんですね。
船というのは、基本的に進んでどこかに行く事を目的として作られていますが、箱舟はそうではありません。
どこかに行くための帆も、舵もなく、ただ浮いているだけのために造られたものなのです。

私たちの信仰のあるべき形も、これと似ています。
“似ています”と言ったのは、この様に言うと誤解してしまいやすいからなんですね。
私たちは信仰を持ったとき、あとは神様が私たちを動かすに身を任せて、「後は神様好きにしてください。」という状態になるのかと言うと、決してそういうわけではありません。
ここで言いたいのは、そういう事ではないんです。
私たちはロボットではないからです。
私たちは自分の意思を持っていて、自分自身で決断し、行動します。

しかし、神様が導こうとするある方向に進むとき、私たちは自分の力、自分の努力によってそこに向かい、目標に達するのではありません。
私たちすべてのクリスチャンは、やがてキリストの似姿となるまで成長するように導かれていますが、私たちが肉の力によってどれだけイエス様の行動を真似ても、決して達成する事ができるものではありません。
確かに、自分で舵を取ったり、漕いだりした方が目に見えては早く進むことができるように思います。
しかし神様は、波や風によって箱舟を進ませるように、私たちを聖霊の力によって神様に近づかせて下さるものなのです。

① 私たちに心を留めておられる主
ノアが箱舟に乗ってから150日間、水は増え続けました。
半年近く増え続けた事になります。
その間、ノアたちは動物たちとともに箱舟の中に閉じ込められた状況だったわけです。
狭い中にいて、ひたすら動物たちの世話をしなければならない毎日、どれほど大変な状況だった事でしょうか。
しかも水はずっと増え続ける。
食料も、いつかは尽きてしまいます。
例えここで生き残る事ができたとしても、その後は大丈夫なのだろうか。
その状況を想像すると、おそろしく不安な状況だったのではないかと思います。

私たちも、神様に委ねれば良いとは言っても、周りの状況はどんどん大変になる中でひたすら待ち続けることは不安になる事もあるかもしれません。
私たちは、待ち続けなければならない時があるのです。

僕が信仰を持って間もない頃は、そういう気分になる事がよくありました。
自分の中で信じる思いがはっきりしてきた頃は、何だか世界がすべて変わったというような気分になったりもしたんです。
そして、イエス様の再臨はすぐに来るのではないかとか、ものすごいリバイバルが日本で起ころうとしているのではないかと思っていたんですが、なかなか起こらない。(笑)
一方で世界ではどんどんおかしな事が起こっていくだけで、希望が遠のいていくような気がしたりしました。
「本当にこれでいいのだろうか?」
「救いは本当にここにあるのだろうか?」と、不安を抱いた事が何度もありました。

少し時代は変わりますが、イエス様が弟子たちとともにガリラヤ湖を小舟で渡ったとき、彼らは突然の嵐に見舞われた事がありました。
その時、弟子たちはみんな不安に陥り、パニックになってしまいました。
イエス様はともの方で居眠りをしていたからです。
「イエス様が居眠りしている間に、舟が沈んでしまったらどうしよう。」
しかしイエス様は、何事も無かったように目を覚まし、嵐を静めてしまいました。

私たちの周りでは、未だ水が増え続け、嵐は静まる事をしらないかもしれません。
そんな中、神様は居眠りでもしているかのように、沈黙を保たれているかもしれません。
でも、私たちは忘れてはなりません。
主は、私たちと共にいて下さるのです。

聖書にはこのように書かれています。
創世記8:1a 神は、ノアと、箱舟の中に彼といっしょにいたすべての獣や、すべての家畜とを心に留めておられた。
150日間水が増え続ける間、神様はずっと、ノアたちや獣に心を留めておられました。
同じように主は、私たちにずっと心を留めておられます。
だから今は信頼して、主の時を待とうではありませんか。

② 感謝を捧げる
ノアが箱舟に乗ってから1年経った時、地面はようやく完全に乾きました。
水が引き始めてから乾ききって地上に降りる事が許されるまで、さらに半年以上の月日が経った事になります。
水が引き始めるまでに、すでに150日が経っていたのですから、箱舟に閉じ込められた生活の不自由さなどを考えると、陸地が見えるや否や飛び出して行きたいというくらいまで追い詰められていたとしても不思議はないでしょう。
しかしノアは、考えずに飛び出していくという事はありませんでした。
彼は、それまでに烏やハトの行動から、地上が乾いていることを確認していましたが、「箱舟から出なさい。」という神様の声を聞くまで留まり続けていました。
ノアは最後まで神様への信頼を失うことなく、神様に従い続けたのです。

さて、ノアが洪水から救われ、箱舟に出て真っ先にした事は何だったと思いますか。
ノアがすぐにでも考えなければならない事はたくさんありました。
これからどこに住むかという事。
着る物を調達しなければならないという事。
そして、もう尽きかけていた食料をどうやって補充するかという事。
しかし、何よりも先にノアが優先させた事は、祭壇を築いていけにえを捧げる事でした。
何にも増して、神様への感謝の礼拝を先にしたのです。

聖書の中で、祭壇について記されているのは、ここが一番最初です。
しかも律法が確立して、祭壇でいけにえを捧げるようにと命じられるよりずっと早く、ノアは自らの意思で神様を礼拝する事を選択しました。
それは、義務としてしなければならなかったからした事なのではなく、ノアが何よりも神様を第一としているというその気持ちが反映された行動でした。
そして神様は、そのいけにえを受け入れられたのです。

マタイ 6:31 そういうわけだから、何を食べるか、何を飲むか、何を着るか、などと言って心配するのはやめなさい。
6:32 こういうものはみな、異邦人が切に求めているものなのです。しかし、あなたがたの天の父は、それがみなあなたがたに必要であることを知っておられます。
6:33 だから、神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます。

私達が何にも増して神様を優先させると言う事を、神様は喜んでくださいます。
私達は主の備えを信じて、いつでも主を第一とすることができているでしょうか。
その時主は、私達に必要なものをすべて備えてくださるのです。

③ 約束の虹
ノアが心から捧げたいけにえを喜ばれた神様は、ひとつの決意をされました。

創世記 8:21b「わたしは、決して再び人のゆえに、この地をのろうことはすまい。人の心の思い計ることは、初めから悪であるからだ。わたしは、決して再び、わたしがしたように、すべての生き物を打ち滅ぼすことはすまい。
8:22 地の続くかぎり、種蒔きと刈り入れ、寒さと暑さ、夏と冬、昼と夜とは、やむことはない。」

神様は、人の思う事がすべて悪い事だけに傾くのをごらんになられた時、洪水によって地にある全てのものを滅ぼす決断をなさいました。
しかし、人の中には罪があります。
それは残されたノアの一族に関しても同じ事であって、その罪のゆえに罰を与えて滅ぼしてしまうならば、世界全体が何度滅ぼされても足りません。

神様は“地の続く限り”、この世界の終わりの時まで、この様な全世界的な裁きを下す事は二度とすまいと心に決められました。
そして滅ぼされて何もなくなってしまった地上に、もう一度生命があふれるように、地に降り立ったノアたちに祝福を与えたのです。
創世記 9:7 あなたがたは生めよ。ふえよ。地に群がり、地にふえよ。」

これは、かつて地上に誕生させられたアダムとエバに向けられたのと同じ祝福の言葉です。
一度は失敗した人類ですが、ひとりの人が洗礼を受けて、水を通って新たな人生を歩み始めるように、ノアを初めとして水を通った人々から、人類は新たな一歩を歩み始めたのです。

神様の心にかなった全き人だったノアの従順のゆえに、神様はノアの一族と契約を結んで、箱舟を通して洪水から彼らを救いました。
を契約として、ノアの前に明らかにしました。

創世記 9:9 「さあ、わたしはわたしの契約を立てよう。あなたがたと、そしてあなたがたの後の子孫と。
9:10 また、あなたがたといっしょにいるすべての生き物と。鳥、家畜、それにあなたがたといっしょにいるすべての野の獣、箱舟から出て来たすべてのもの、地のすべての生き物と。
9:11 わたしはあなたがたと契約を立てる。すべて肉なるものは、もはや大洪水の水では断ち切られない。もはや大洪水が地を滅ぼすようなことはない。」

この契約で、神様は洪水によって人類を滅ぼす事は二度としないと約束しました。

創世記8:1, 9:13-16 『雲の中に虹を見上げて』 2008/05/04 松田健太郎牧師” に対して1件のコメントがあります。

  1. 水口栄一 より:

    私は創世記9章13節のみ言葉が大好きです。ノアの箱舟のお話ですが、神さまはもう二度と洪水で地を滅ばさないと、空に虹をかけて、約束をしてくださったことを思うとほんとに胸が熱くなります。コロナ禍の今、このみ言葉をあらためて振り返ることが大切だと思います。

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