詩篇121:1-8 『緊急事態に備えて』 2011/03/20 松田健太郎牧師

詩編121:1~8
121:1 私は山に向かって目を上げる。私の助けは、どこから来るのだろうか。
121:2 私の助けは、天地を造られた主から来る。
121:3 主はあなたの足をよろけさせず、あなたを守る方は、まどろむこともない。
121:4 見よ。イスラエルを守る方は、まどろむこともなく、眠ることもない。
121:5 主は、あなたを守る方。主は、あなたの右の手をおおう陰。
121:6 昼も、日が、あなたを打つことがなく、夜も、月が、あなたを打つことはない。
121:7 主は、すべてのわざわいから、あなたを守り、あなたのいのちを守られる。
121:8 主は、あなたを、行くにも帰るにも、今よりとこしえまでも守られる。

このような事態の中で、今日皆さんとお会いする事ができたのは感謝です。
被災地の方は当面の間避難生活を強いられ、苦しい状況に置かれています。
わたし達ができる事の最善を尽くしていきたいと思います。

今回の事で僕自身が苦しんだ最大の事は、地震のダメージでも放射能でも何でもなく、内側の問題です。
こういう緊急事態で一番大変なのはパニックだという事を痛感しています。
この緊急事態にも、日本は本当によくやっているなぁと心から思います。
不安や心配はありますが、それほど大きなパニックになっていないのは本当に幸いな事です。
それでも買い占めが起ったり、風評被害によって必要な所に物資が届かなかったりという問題も起っています。
この雰囲気に呑まれて体調を崩している方もいると思います。

しかし今回僕が実感したのは、現場のパニック以上に外側で起っているパニックです。
実は、日本国外でもパニックが起っていて、それが国内でもパニックを起こしているのです。
特に、日本国内に家族がいる人達がパニックを起こし、その影響を受けて日本にいる外国人達が慌てているのが現状です。
僕達も、海外で大きな事故や災害があった時に、ニュースでまず耳にするのは日本人の被害があったかどうかという心配ですよね。
そして、僕たちの家族がその現場にいたら、とにかくそこから退避できるように力を尽くすだろうと思います。

地震もさることながら、これほど大規模な原発の事故は世界が体験する初めての体験である事は確かですから、国内にいて十分な情報を受けていないご家族の心配はとても大きなものだろうと思います。

うちも、それに巻き込まれました。
パニックによって情報を信用できなくなったり、間違えた読みとり方をしたりで不安がますます高まり、もっと大きなパニックになります。
そしてそれを見た周りの人々もパニックに巻きこんでしまうのです。

海外にご家族がいらっしゃる方は、可能であればご家族を安心させてあげるためにもムリせず戻られたら良いと思います。
ただ、そんなに慌てる必要はありませんので、みんなが帰国するからといって焦る必要はないだろうと思います。
わたし達も大人であればそれほど心配しなくても大丈夫そうですが、妊娠されている方や小さなお子さんがいらっしゃる場合には、なるべく遠くまで避難した方がいいのかもしれませんね。

さて、こんな中でつくづく考えさせられるのは、僕たちは何を信じてどうしたらいいのかという事ではないかと思います。
この様な緊急事態だからこそ、その緊張がなくならない内に、次の緊急事態に備えて考えておく必要があるのと思うのです。

① 知識
さて、緊急事態の中で大変だったのは、情報の錯綜です。
この地震の直後から、いろいろな情報が飛び交いました。
千葉のエネルギー施設の爆発によって有害物質が飛んでいるので皮膚は覆った方がいいという話や、放射能汚染から身を守るためにうがい薬を飲めば大丈夫という話などがありましたね。
色んな情報があるわけですが、全ての情報を信じる事ができるわけではないのです。

こういった情報が行きかう中で起ってしまいがちなのは、より多くの情報を得ようとする事です。
しかし、ただやみくもに多くの情報を得た所で、その情報が間違っていたら何の意味もありません。
それどころか、間違った情報はさらなる混乱を生みだし、パニックを拡大し、さらに大きな被害を生みだすことにもなり得ます。
僕たちに必要なのは、ただ情報を得る事ではなく、正しい知識なんです。

千葉県の施設で爆発したものはLPガスであって無害だという事がわかれば、それほど心配する必要はないわけですね。
うがい薬を飲む事はむしろ体に害を与えるという知識によって、不必要な被害を食い止める事ができるわけです。
現在空中に飛散している放射線物質がどれくらいの量なのかという事がわかり、正しい安全性の知識を受ける事ができれば、どの程度備えておいたらいいのかがわかるわけです。
また、放射線物質に対してどのように対処するべきかという知識があれば、被害も最低限のところで食い止める事ができるわけです。

わたし達に必要なのは、ただの情報と、正しい知識を見分ける目だと思います。
その情報源はどこなのか、その根拠はどこにあるのかという事を調べる事がポイントになるでしょう。
そしてわたし達が正しい知識を得る事ができれば、緊急事態にもどのようにして対応したらいいのかという事が判断できるようになるわけです。

② 信頼
わたし達が2番目に必要なのは、信頼です。
今回のように、誰も想像できなかったような事態が発生した時、わたし達は最初から正しい知識を持っているわけではありませんから、情報を見分ける必要性が必ず出てきますね。
そして緊急事態であればなおさら、その情報がどれだけ正しい知識に基づいているのかという事を判断するのは難しくなります。
その情報源などを確認できないような緊急事態で判断材料になるのは、誰がそれを言っているかという事だと思うのです。

千葉の爆発に関しても、うがい薬に関しても、また放射能レベルに関しても政府や信用を置ける期間が正しい情報を発信してくれているので、わたし達はそれを信じる事ができているわけです。
でも、わたし達がその情報を信じられなければ、情報が正しい知識となる事はありません。

今回の地震の事でも政府が逐一発表をして状況をお知らせし、メディアが解説してくれているわけですね。
でもそれが正しくないという事になったら、それこそ何が正しい事か分からなくなって来るわけです。

政府の発表にも関わらず混乱が起るのは、多くの人が政府を信頼できていないという事です。
それは、これまでの経験から来ているわけですね。
しかしそれとは逆に、「政府の事は信じられないけれど、池上彰さんがそう言っているなら安心できる。」という事もあるわけです。

誰なら信頼でき、誰の言う事は信用できないという事は多くの場合、その人の普段の発言によって左右されます。
狼少年の話じゃないですが、普段からウソか本当かわからないようなことばかり言っている人の発言は、いざという時にも信じられない事が多いでしょう。
あるいは、モラルに反する事をした人はその信頼を取り戻す事も難しいですね。

今回のパニックが起った事の中には、政府に対する不信というものもあったと思います。
特に、外国人の皆さんの中にあった日本に対する不信というものが大きかったと僕には感じられました。
普段から型にはまった事しかしない官僚主義、必要な事を内緒にして伝えない秘密主義や、本音を出さない日本人に対して、外国人の多くの方が信頼できないと感じていたのです。
これは文化の違いの部分もあるので、お互いの文化をもっと理解し合う必要もあるでしょうが、わたし達自身の責任もあります。
この機会に、いざという時、自分の言葉を信じてもらえるかどうかという事も、真剣に考えてみたいものです。

③ 福音
さて、ここまでは一般的な部分でのお話です。
ここで終わるなら、別に教会に来なくても聞ける話ですよね。
だからここで終わるわけにはいきません。
僕が本当にお話ししたい事は、この様な事は神様との関係の中でも同じことが言えるという事なのです。

テレビがわたし達を助け守ってくれるわけではありません。
政府がわたし達を守り、助けてくれるのには限界があります。
お互いが協力し助け合う必要がありますが、それもやはり限界があります。
何より人の無力さを思い知らされたのが、今回の大地震や津波だったのではないでしょうか?
もちろん人の力が必要なのは確かですが、それが全てではないのです。
緊急事態の時、わたし達が本当に頼り、信頼するべきは見上げるべきは神様です。

詩篇 121:1 私は山に向かって目を上げる。私の助けは、どこから来るのだろうか。
121:2 私の助けは、天地を造られた主から来る。
121:3 主はあなたの足をよろけさせず、あなたを守る方は、まどろむこともない。
121:4 見よ。イスラエルを守る方は、まどろむこともなく、眠ることもない。
121:5 主は、あなたを守る方。主は、あなたの右の手をおおう陰。
121:6 昼も、日が、あなたを打つことがなく、夜も、月が、あなたを打つことはない。
121:7 主は、すべてのわざわいから、あなたを守り、あなたのいのちを守られる。
121:8 主は、あなたを、行くにも帰るにも、今よりとこしえまでも守られる。

しかし、わたし達が普段から正しい神様の知識を持っていなければ、わたし達は大きな誤解を起こしてしまう可能性があります。
某都知事が「神罰」発言をして非難を浴びましたが、実はキリスト教会の中にもある国の牧師が同じような発言をしたそうです。
しかしイエス様は、シロアムの塔で起った事故に関してこの様に言っていますね。
ルカ 13:4 また、シロアムの塔が倒れ落ちて死んだあの十八人は、エルサレムに住んでいるだれよりも罪深い人たちだったとでも思うのですか。
13:5 そうではない。わたしはあなたがたに言います。あなたがたも悔い改めないなら、みな同じように滅びます。」

この大地震や津波が、日本人の罪深さの結果起ったのだというなら、世界中が同じ理由でずっと昔に滅ぼされていたでしょう。
神様への正しい知識を持っていなければ、わたし達は間違った神様のイメージのまま、愛と赦しの神様ではなく、裁きと滅びの神様の前に縮こまっていなければならないでしょう。

そして、わたし達が神様への信頼も大切な要素です。
わたし達が神様との関係を普段からちゃんと持っているのでなければ、聖書の中にあるどんな希望の言葉も、わたし達に平安を与える事はないでしょう。

緊急事態が起った時にわたし達が神様を見上げる事ができるかどうかは、緊急でない時のわたし達がどうするかという部分にかかっています。
何事もない時から、わたし達は聖書を読んで神様をちゃんと理解しているでしょうか?
何事もない時から、わたし達は神様に祈り、深い関係を築く事ができているでしょうか?
わたし達の人生にはやがて終わる時が来ますし、やがて世界の終末の時も訪れます。
その時に平安をもってイエス様を迎えられるかどうかという事は、普段のわたし達の信仰にかかっているのです。

Iコリント16:13 目を覚ましていなさい。堅く信仰に立ちなさい。男らしく、強くありなさい。
16:14 いっさいのことを愛をもって行ないなさい。

今からでも始められます。
これからの緊急事態のために、正しい知識を得、主との関係をますます深めて行きましょう。

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