神さまが苦しみを与える?

はじめに

身近なところで、こんな言葉を聞くことがあります。

「最近つらいことが続く。これは神さまが私に試練を与えているんだと思う。」 「病気になったのは、神さまが何かを教えようとしているからだよ。」

クリスチャンの間では、こうした言い方は珍しくありません。 確かに、苦しみの中で神さまが働かれることはあります。 しかし同時に、どこか違和感を覚えることもあります。

「じゃあ、病気や不幸そのものを神さまが与えているの?」
「神さまは人を苦しめることで成長させる方なの?」
「私が悪いことをしたから罰を与えられたの?」

この問いは、信仰生活の中で誰もが一度はぶつかるテーマです。 ここでは、聖書全体の流れを通して、 “世界に起こる苦しみはどこから来るのか” を整理してみたいと思います。

1. 世界の苦しみはどこから来るのか

① 本来の世界は「非常に良かった」

創世記1章で描かれる世界は、

  • 病気も

  • 不幸も

  • 災害も

  • 暴力も 存在しない、完全な世界でした。

神さまは人を苦しめるために世界を造ったのではありません。

② 世界の破れは「人間の罪」から始まった

創世記3章で、人間が神との関係を断ったとき、 世界全体に“破れ”が入り込みました。

  • 神との関係の破れ

  • 人間同士の関係の破れ

  • 自然界の破れ

  • 人間の体の破れ

この破れの結果として、 病気・死・不幸・災害・暴力・不条理 が世界に入り込んだのです。

つまり、 世界の苦しみの原因は「神」ではなく「堕落した世界」です。

③ 悪の存在

新約聖書は、悪の存在を現実として描きます。

  • サタン

  • 悪霊

  • 霊的な欺き

  • 破壊しようとする力

悪は神の計画ではなく、 神に反する勢力の働きです。

④ 人間の自由意志

暴力、虐待、裏切り、搾取、戦争—— これらは神の意志ではなく、 人間の自由意志の誤用によって起こります。

⑤ 自然の破れ

私たちは知っています。被造物のすべては、今に至るまで、ともにうめき、ともに産みの苦しみをしています。

ローマ8:22

自然災害、病気、老化などは、 世界そのものが壊れている結果です。

2. 「苦しみ=神の罰」という理解は聖書的ではない

ここは誤解が非常に多い部分です。

❌ 「悪いことをしたから罰が当たった」

これは、

  • 迷信

  • 因果応報

  • 宗教的恐れ の混合であり、聖書的ではありません。

✔️ イエスはこの考えを否定した

ヨハネ9章で、盲人を見た弟子たちはこう尋ねました。

弟子たちはイエスに尋ねた。「先生。この人が盲目で生まれたのは、だれが罪を犯したからですか。この人ですか。両親ですか。」(ヨハネ9:2)

イエスの答えは明確です。

イエスは答えられた。「この人が罪を犯したのでもなく、両親でもありません。この人に神のわざが現れるためです。(ヨハネ9:3)

つまり、 苦しみ=罰ではない。

3. では「試練」とは何か?

ここが誤解されやすいポイントです。

❌ 試練=神が不幸を与える

ではありません。

✔️ 試練=神が“状況を用いて”私たちを成長させる

です。

つまり、 状況そのものの原因は神ではないが、 その状況の中で神は働かれる。

例えば、

  • 病気そのものは堕落の結果

  • しかし病気の中で神は「信仰・忍耐・希望」を育てる

  • 不幸そのものは悪や人間の罪の結果

  • しかし不幸の中で神は「慰め・導き・回復」を与える

神は「悪を用いて善を生み出す」ことができるお方です。

神を愛する人たち、すなわち、神のご計画にしたがって召された人たちのためには、すべてのことがともに働いて益となることを、私たちは知っています。

ローマ8:28

4. 神は苦しみを“与える方”ではなく、“苦しみの中で共におられる方”

聖書の一貫したメッセージはこれです。

  • 「わたしはあなたと共にいる」(イザヤ43:2)

  • 「死の陰の谷を歩むとも、あなたが共におられる」(詩篇23:4)

  • 「苦しみにあるとき、主は近くにおられる」(詩篇34:18)

  • 「わたしはあなたを見捨てない」(ヘブル13:5)

神は苦しみを作るのではなく、 苦しみの中で最も近くにおられるお方です。

「神が試練を与えた」という考え方は、以下の誤解を生みます。

  • 神が病気を与える

  • 神が不幸を起こす

  • 神が災害を起こす

  • 神が人を痛めつける

これは聖書の神の姿とは異なります。

神は「悪を造る方」ではなく、 悪を打ち破る方なのです。

5. 聖書的な考え方の整理:苦しみの原因と神の働きは別物

項目  原因 神の働き
病気  堕落・自然の破れ  癒し・慰め・共におられる
不幸 人間の罪・悪の働き 導き・回復・成長
災害 世界の破れ 助け・希望・支え
試練 状況の中での神の働き 成長・信仰・忍耐

 6. まとめ:神は不幸の原因ではなく、不幸の中での希望

  • 世界の苦しみの原因は「堕落した世界」

  • 神は苦しみを作らない

  • 神は苦しみの中で働かれる

  • 試練とは「状況を用いて成長させること」

  • 神は常に「共におられる方」

つまり、 神は不幸の原因ではなく、不幸の中での希望です。

皆さんは今、大変な状況の中にいますか?
皆さんが、主と共にいるという希望を掴むことができますように。