ルカ21:5-24『 ルカ99 それはいつ起こるのですか?』 2017/03/12 松田健太郎牧師

ルカの福音書21:5~24
21:5 宮がすばらしい石や奉納物で飾ってあると話していた人々があった。するとイエスはこう言われた。
21:6 「あなたがたの見ているこれらの物について言えば、石がくずされずに積まれたまま残ることのない日がやって来ます。」
21:7 彼らは、イエスに質問して言った。「先生。それでは、これらのことは、いつ起こるのでしょう。これらのことが起こるときは、どんな前兆があるのでしょう。」
21:8 イエスは言われた。「惑わされないように気をつけなさい。わたしの名を名のる者が大ぜい現れ、『私がそれだ』とか『時は近づいた』とか言います。そんな人々のあとについて行ってはなりません。
21:9 戦争や暴動のことを聞いても、こわがってはいけません。それは、初めに必ず起こることです。だが、終わりは、すぐには来ません。」
21:10 それから、イエスは彼らに言われた。「民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、
21:11 大地震があり、方々に疫病やききんが起こり、恐ろしいことや天からのすさまじい前兆が現れます。
21:12 しかし、これらのすべてのことの前に、人々はあなたがたを捕らえて迫害し、会堂や牢に引き渡し、わたしの名のために、あなたがたを王たちや総督たちの前に引き出すでしょう。
21:13 それはあなたがたのあかしをする機会となります。
21:14 それで、どう弁明するかは、あらかじめ考えないことに、心を定めておきなさい。
21:15 どんな反対者も、反論もできず、反証もできないようなことばと知恵を、わたしがあなたがたに与えます。
21:16 しかしあなたがたは、両親、兄弟、親族、友人たちにまで裏切られます。中には殺される者もあり、
21:17 わたしの名のために、みなの者に憎まれます。
21:18 しかし、あなたがたの髪の毛一筋も失われることはありません。
21:19 あなたがたは、忍耐によって、自分のいのちを勝ち取ることができます。
21:20 しかし、エルサレムが軍隊に囲まれるのを見たら、そのときには、その滅亡が近づいたことを悟りなさい。
21:21 そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。都の中にいる人々は、そこから立ちのきなさい。いなかにいる者たちは、都に入ってはいけません。
21:22 これは、書かれているすべてのことが成就する報復の日だからです。
21:23 その日、哀れなのは身重の女と乳飲み子を持つ女です。この地に大きな苦難が臨み、この民に御怒りが臨むからです。
21:24 人々は、剣の刃に倒れ、捕虜となってあらゆる国に連れて行かれ、異邦人の時の終わるまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされます。
神殿に近づいてきた時、そこにはその神殿の美しさを賞賛する人たちがいました。
以前にも少しお話ししましたが、この時代の神殿は第2神殿と呼ばれるものです。
旧約聖書に記されているソロモンが建造した神殿は、バビロン捕囚の時に壊されてしまいました。
80年後彼らが帰還した時、エズラを中心にして建てられたのが第2神殿ですね。
しかしそれは、ソロモンが建てた第一神殿に比べるとあまりにも見すぼらしいものでした。

エドム人ヘロデ大王がユダヤの王になると、彼は自分がユダヤの王にふさわしい事を世に知らしめるために、この第2神殿を数十年かけて大幅に改修したんです。
そのため、この時代に神殿はヘロデ神殿とも呼ばれています。
ヘロデ大王はソロモンの神殿にも勝るものにしようとして、かなり大きく、豪勢な神殿を作ったと言われています。
それを賞賛する人々対してイエス様が話したのが、今日と来週お話しする長い個所なのです。

① 壊れるものではなく
さて、神殿の素晴らしさをたたえる人たちに、イエス様はこの様に言いました。

21:6 「あなたがたの見ているこれらの物について言えば、石がくずされずに積まれたまま残ることのない日がやって来ます。」

たくさんの巨石を使って築かれた、頑丈で豪勢な神殿が崩される時が来るなどと、この時一体誰が想像できたでしょうか?
しかし、イエス様のこの言葉は、紀元70年に文字通りに現実の事となります。
ローマ帝国によってユダヤが滅ぼされ、エルサレムが陥落した時、神殿には火が放たれました。
すると、土台として使われていた木の部分はすべて燃やされ、壁は崩れてしまいました。
神殿には金を初めたくさんの装飾品が使われていましたが、業火によって溶けてしまい、床の石の間に入って固まりました。
略奪者がそれを集めるために床までも全部はがし、神殿の石は何一つ元のままではない状態にされてしまったのです。

神殿は、神様がイスラエルと共にあるという事の象徴でした。
ユダヤ人たちはその事に安心を得て、自分たちの誇りとしていました。
神殿がある限り、神様は我々と共にいると思っていたのです。

私達にも、そのような心の拠り所となっているものがないでしょうか?
それは自分の仕事、学歴や地位、名誉かもしれません。
もしかすると、教会やミニストリーかもしれません。
しかし、形あるもの、人が作ったものはやがて崩れ、無くなっていく事を、私たちは忘れてはいけません。
それは、神様が「作りなさい」と命じた神殿でも同じです。
どれほど素晴らしいものであったとしても、それはやがて壊れてしまうものであり、私たちの拠り所とはならないのです。

しかし、今は私たちひとりひとりの内に神様が住んで下さり、神殿となっています。
地上からこの神殿が無くなる事はありません。
建物としての教会や、〇〇教会という群れはやがて必ずなくなります。
しかし、キリストのからだとしての教会が、地上から無くなる事はありません。

イエス様はこの様に言います。

マタイ 7:24 だから、わたしのこれらのことばを聞いてそれを行う者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができます。
イエス様こそが神の子、救い主だと告白したペテロには、この様にも言いました。
マタイ 16:18 ではわたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てます。ハデスの門もそれには打ち勝てません。

私たちはやがて壊れ、無くなるものではなく、決して揺らぐことなく、なくならないものを拠り所とする必要がありますね。

② いつ起こるのでしょう?
イエス様の言葉を聞いた弟子たちは、想像もしなかった話に、思わずこの様に聞きました。

21:7 彼らは、イエスに質問して言った。「先生。それでは、これらのことは、いつ起こるのでしょう。これらのことが起こるときは、どんな前兆があるのでしょう。」

イエス様は、ユダヤの滅亡の前にどのような事が起こるのか、数々のしるしについて話しました。
ひとつは、偽キリストが現れて、人々を惑わそうとする事。
事実、この時代にはたくさんの偽キリストが起こりました。
使徒の働きでは、チゥダというユダヤ人が人々を先導して、反乱を起こそうとしたという事が語られています。
彼も偽キリストのひとりでしょう。
次に、戦争や暴動のうわさが流れる事。
さらに、大地震が起こり、疫病な飢饉など、様々な災害が起こります。
紀元61年には小アジアの地域で大きな地震がありました。
ポンペイの大噴火も、ちょうどこのころの出来事です。
そして大きな迫害が起こり、弟子たちは家族や友人たちからも裏切られ、殺される人たちも出ます。
しかし、それは人々に、福音を伝えるあかしの機会ともなり、彼らが救いを失う事は決してないと保証されています。

いよいよエルレサムが包囲される時が来ると、ユダヤ滅亡の時が近づいた時です。
その時には町から離れ、山へと逃げるようにと勧めています。
そしてエルサレムはローマ帝国によって滅ぼされ、人々は捕虜となり、バラバラに散らされることとなります。
そして来るべき時が来るまで、ユダヤは異邦人によって蹂躙されることになるのです。

③ 終わりの時に備えて
ところがこの話、実はエルサレムの滅亡だけの話ではありません。
ユダヤの滅亡は世界の終わりを象徴していて、終末の預言へと繋がっているのです。
そう思って読んでみると、イエス様のこの言葉は、今の世の中の事を表しているようにも見えてきます。

世界中にカルトや異端が起こり、多くの新興宗教の教祖が、自分こそ再臨のキリストだと名乗っています。
世界中で起こる戦争、災害、そして迫害。
いよいよ、終わりの時が近づいてきている事が実感できるようです。

エルサレムの滅亡について預言されていたはずの事が、これから起こる終末についての預言でもあるなどという事が、どうして起こりうるのでしょうか?
実はこれと同じことを、旧約聖書の預言の中にも見る事ができます。
例えば旧約聖書に記されている預言の中では、イエス様が地上に生まれてくることと、イエス様の再臨とが同じところに記されている事も少なくはないのです。

私たちは時間に縛られているので、それぞれの出来事を別の事として認識してしまいます。
しかし、神様は時間を超越した存在です。
私たちには別々の事としてしか認識できない出来事も、神様には関連性があり、ひとつの事として感じられているのです。
さて、だからこそ、私たちもまた、この時代の人々と同じように、偽キリストに警戒し、地震や災害に気を付け、迫害に備える必要があります。
いつでも、どんな時でも目を覚まして、決して揺らぐことのないイエス様と共に歩み続ける事が大切ですね。
そして、これからますます激しくなる戦いに備えて、私たちは神の武具を身に着けなければなりません。
エペソ人への手紙に記されているこの言葉を読んで、今日のメッセージを終わりたいと思います。

エペソ 6:10 終わりに言います。主にあって、その大能の力によって強められなさい。
6:11 悪魔の策略に対して立ち向かうことができるために、神のすべての武具を身に着けなさい。
6:12 私たちの格闘は血肉に対するものではなく、主権、力、この暗やみの世界の支配者たち、また、天にいるもろもろの悪霊に対するものです。
6:13 ですから、邪悪な日に際して対抗できるように、また、いっさいを成し遂げて、堅く立つことができるように、神のすべての武具をとりなさい。
6:14 では、しっかりと立ちなさい。腰には真理の帯を締め、胸には正義の胸当てを着け、
6:15 足には平和の福音の備えをはきなさい。
6:16 これらすべてのものの上に、信仰の大盾を取りなさい。それによって、悪い者が放つ火矢を、みな消すことができます。
6:17 救いのかぶとをかぶり、また御霊の与える剣である、神のことばを受け取りなさい。
6:18 すべての祈りと願いを用いて、どんなときにも御霊によって祈りなさい。そのためには絶えず目をさましていて、すべての聖徒のために、忍耐の限りを尽くし、また祈りなさい。

勇気を出して、祈り続けましょう。

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