エズラ5:1-5 『 エズラ3 主にある大逆転 』 2014/09/14 松田健太郎牧師

エズラ5:1~5
5:1 さて、預言者ハガイとイドの子ゼカリヤの、ふたりの預言者は、ユダとエルサレムにいるユダヤ人に、彼らとともにおられるイスラエルの神の名によって預言した。
5:2 そこで、シェアルティエルの子ゼルバベルと、エホツァダクの子ヨアシュは立ち上がり、エルサレムにある神の宮を建て始めた。神の預言者たちも彼らといっしょにいて、彼らを助けた。
5:3 そのとき、川向こうの総督タテナイと、シェタル・ボズナイと、その同僚とがやって来て、こう言った。「だれがあなたがたに命令を下して、この宮を建て、この城壁を修復させようとしたのか。」
5:4 そしてまた、「この建物を建てている者たちの名は何というのか」と尋ねた。
5:5 しかし、ユダヤ人の長老たちの上には神の目が注がれていたので、このことがダリヨスに報告され、ついで、このことについての書状が来るまで、この者たちは働きをやめさせることができなかった。

エズラ記から三回目のメッセージです。
バビロン捕囚によって、ユダ王国の人々はバビロン帝国内の各地に散らされてしまっていました。
しかし捕囚から70年、バビロン帝国はペルシャ帝国によって滅ぼされてしまいました。
そしてペルシャ帝国のクロス王によって、ユダの人々は解放されることになったのです。
それはまさに、エレミヤによって預言されていた通りの出来事でした。

紀元前538年、クロス王はユダの人々にエルサレム神殿の再建を命じました。
ユダの王族ゼルバベルは5万人のユダヤ人を引き連れ、神殿再建のために第一回目の帰還を果たしました。

神殿の建設を始めた彼らの元に現れたのは、かつて北イスラエルがあった地に住むサマリヤ人でした。
サマリヤ人は神殿の建築を手伝う事を申し出ましたが、それは彼らの企みだったのです。
サマリヤ人たちの狙いは、神殿建築の現場に入り込み、彼らを利用する事にありました。
ユダのゼルバベルとヨシュアが企みに気づいて、サマリヤ人たちの申し出を断ると、サマリヤ人たちは作戦を変え、あらゆる手を使って妨害を始めました。
クロス王に変わりその子アハシュエロスの治世になると、サマリヤ人たちは王に手紙を書き、神殿の再建を禁じさせてしまったのです。
こうして、せっかく解放されたユダの人々は、エルサレムに帰還しながらも、神殿を建築する事ができなくなってしまったのです。
ここまでが、前回のお話でしたね。
何年もの間、土台だけで放置状態となってしまった神殿を、ユダヤ人たちは再建する事ができるのでしょうか?

① ハガイとゼカリヤ
このような時、意気消沈するユダの人々を励ましたのは、この時代に活躍したふたりの預言者、ハガイとゼカリヤでした。

エズラ 5:1 さて、預言者ハガイとイドの子ゼカリヤの、ふたりの預言者は、ユダとエルサレムにいるユダヤ人に、彼らとともにおられるイスラエルの神の名によって預言した。

ハガイ書を見ると、このような預言がされているのを見る事ができます。

ハガイ1:7 万軍の主はこう仰せられる。あなたがたの現状をよく考えよ。
1:8 山に登り、木を運んで来て、宮を建てよ。そうすれば、わたしはそれを喜び、わたしの栄光を現そう。主は仰せられる。

その言葉によって、ユダの人々の心は揺さぶられ、奮い立ちました。
さらにその一か月後、ハガイによって新たな預言が与えられます。

ハガイ2:4 しかし、ゼルバベルよ。今、強くあれ。―主の御告げ―エホツァダクの子、大祭司ヨシュアよ。強くあれ。この国のすべての民よ。強くあれ。―主の御告げ―仕事に取りかかれ。わたしがあなたがたとともにいるからだ。―万軍の主の御告げ―
2:5 あなたがたがエジプトから出て来たとき、わたしがあなたがたと結んだ約束により、わたしの霊があなたがたの間で働いている。恐れるな。

このような預言者たちの言葉によって励まされ、ユダの人々は再び神殿の建造を再開したのです。
サマリヤ人たちの妨害により建築が中断してから、実に18年目の事でした。

エズラ 5:2 そこで、シェアルティエルの子ゼルバベルと、エホツァダクの子ヨアシュは立ち上がり、エルサレムにある神の宮を建て始めた。神の預言者たちも彼らといっしょにいて、彼らを助けた。

素晴らしいのは、ハガイとゼカリヤはただ預言して「神殿を建てなさい。」と言っただけでなく、彼らも一緒に作業をしたという事です。
この二人の預言者、最初に帰還した人々に寄り添い、励まし続けてきました。
でも彼らは、言葉だけで「あーしろ、こーしろ」と指示するのではなく、自分たちも働きをしながら、一緒に進もうとした人たちだったのです。

② タテナイとシェタル・ボズナイ
しかし、神殿の再建に取り掛かるや否や、作業の邪魔をする圧力がすぐにかかります。

エズラ 5:3 そのとき、川向こうの総督タテナイと、シェタル・ボズナイと、その同僚とがやって来て、こう言った。「だれがあなたがたに命令を下して、この宮を建て、この城壁を修復させようとしたのか。」
5:4 そしてまた、「この建物を建てている者たちの名は何というのか」と尋ねた。

「一体、誰の許可を得て、ここで建築作業をしているのか。」と言うのです。
やくざか、はたまたお役所かという感じですが、彼らはまさにお役所の人たちでした。

ここで少し、この時代の背景についてお話ししておきたいと思います。
最初に「神殿の再建をせよ」と命じたのは、ペルシャのクロス王でしたね。
その後、18年間建築が中断し、再開したのはダリヨス王の時代です。

ダリヨス王というのは、私たちが歴史で習う、ダレイオス1世という王様ですね。
ダレイオス1世が何で有名だったかというと、彼はペルシャ戦争として知られるギリシャとの戦争をし、最後はマラトンの戦いで敗れた王様ですね。

ダリヨス王による統治が始まった時、彼がまず取り掛かったのは、後代になったペルシャを統治するため、サトラップと呼ばれる知事を任命し、各地を支配させたという事です。
さらに「王の目」「王の耳」と呼ばれる監察官を建て、国中を巡回させて反乱の芽を摘みました。
これは聖書には載っていませんが、高校生の世界史の教科書に載っている知識です。

ハッキリとした事はわかりませんが、ここに出てくる総督タテナイと、シェタル・ボズナイは、まさにこの監察官だったのではないかと思います。
彼らは国中を巡り歩いて、反乱分子を摘発しているのですが、エルサレムで神殿を建てているユダヤ人たちを見つけ、目を付けたのです。
ユダヤ人のリーダー、ゼルバベルとヨシュアは、自分たちが怪しい者ではなく、クロス王の指示によってエルサレムの神殿を再建しているのだと説明します。
タテナイたちは、早速王に報告書を送って、これが本当かどうかを調べてもらうよう依頼しました。
報告書の最後はこう締めくくられています。

エズラ5:17 ですから今、王さま、もしもよろしければ、あのバビロンにある王の宝物倉を捜させて、エルサレムにあるこの神の宮を建てるためにクロス王からの命令が下されたどうかをお調べください。そして、このことについての王のご意見を私たちにお伝えください。」

ダリヨス王がその報告を受け、調べさせると、確かにクロス王による勅令が出ていて、ゼルバベルたちはその命令を受けて神殿を建造している事が分かったのです。

③ 第二神殿の完成
そこから、状況の大逆転が始まります。
彼らは妨害され、虐げられ、18年もの間神殿の建築を進める事ができませんでしたが、神様に従って動き始めた時、変化が起こり始めたのです。
それは初め、さらに状況が悪くなったかのように見えましたが、そうではありませんでした。
ダリヨス王によって、クロス王による勅令が確認されると、彼らはダリヨス王の後ろ盾によって作業を再開する事ができるようになったのです。
事態はそればかりではありません。
ダリヨス王は神殿建造の保証に加え、タテナイたちにこのような指示を与えます。

エズラ6:8 私は、さらに、この神の宮を建てるために、あなたがたがこれらユダヤ人の長老たちにどうすべきか、命令を下す。王の収益としての川向こうの地のみつぎの中から、その費用をまちがいなくそれらの者たちに支払って、滞らぬようにせよ。
6:9 また、その必要とする物、すなわち、天の神にささげる全焼のいけにえのための子牛、雄羊、子羊、また、小麦、塩、ぶどう酒、油を、エルサレムにいる祭司たちの求めに応じて、毎日怠りなく彼らに与えよ。

ダリヨス王は何と、建築費用を出す事を保障し、礼拝のために必要な生贄の動物や祭司のための食料までも与えるように命じたのです。
こうして神殿の再建は進められ、工事の再開から4年目、ダリヨスの治世第6年に新しい神殿が完成しました。

この時代に建てられた神殿を、第二神殿と呼びます。
第二神殿は、ソロモンが建造した第一神殿に比べてずっと質素でシンプルなものでした。
何よりもそこには、神様が共におられることを表す契約の箱がありません。
だからもちろん、そこには神様の臨在の表れである輝きも失われていました。

建造されてから、ローマ帝国によってふたたび破壊されるまでの数百年の間、第二神殿はユダヤ人にとって、政治的、宗教的にお大きな意味を持つ建造物となりました。
でもそこに、あるべきはずの契約の箱がなく、主の臨在がない事は、イスラエル人たちに大きな不安と悲しみを与えたことでしょう。
しかし、それもまた神様のご計画の中にあることだったのです。

主の臨在と栄光の輝きがなくなってしまった神殿の存在は、もう一度主の臨在と栄光を求めるユダヤ人たちの祈りへと変わっていったからです。
その祈りが天に満ち、第二神殿が建てられてから500年以上過ぎたある時、ユダヤにもう一度、神様の臨在が戻りました。
主の臨在。
インマヌエル。
イエス様の誕生です。

ヨハネの福音書にはこのように記されています。

ヨハネ1:14 ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちておられた。
ヨハネ1:16 私たちはみな、この方の満ち満ちた豊かさの中から、恵みの上にさらに恵みを受けたのである。
1:17 というのは、律法はモーセによって与えられ、恵みとまことはイエス・キリストによって実現したからである。

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