創世記43章 再びエジプトへ

目次

ユダの申し出

ききんは長く、ヤコブたちの食料はまたも底をついてしまいました。
ヤコブは子どもたちに、再びエジプトに行って食料をもらってくるように言います。

驚くのは、「それまでシメオンをほったらかしかよ」っていうことですね。
本当に、ヤコブの子どもたちかわいそうです。
でも、当時の社会はこんなものだったのでしょうね。

それに対してユダが言います。

創世記 43:3 すると、ユダが父に言った。「あの方は私たちを厳しく戒めて、『おまえたちの弟と一緒でなければ、私の顔を見てはならない』と言いました。

そうですよね。
この現実から、ヤコブは目を背けて、決断を先延ばしていたのです。
待っていても、問題は勝手に解決することはありません。
いつか向き合わなければならない時が来るなら、早い方がいいですね~。

興味深いには、この時にユダが発言した申し出です。

創世記 43:9 私自身があの子の保証人となります。私が責任を負います。もしも、お父さんのもとに連れ帰らず、あなたの前にあの子を立たせなかったら、私は一生あなたの前に罪ある者となります。

この言葉がヤコブの心に残り、後に兄弟たちに祝福を与えるとき、ユダを讃えています。
失敗もたくさんあったユダでしたが、こんなことを言えるくらいに成長したことは素晴らしいですね。
「自分がベニヤミンの責任を負う」と約束したユダの中には、僕たちの罪を肩代わりして責任を負ってくださったイエスさまと重なる部分があるように思います。
実際に、このユダがイエスさまの祖先となったわけですから、やっぱりそこには神さまの計画があったんだなぁということがわかります。

ヨセフの邸宅へ

さて、兄弟たちが戻ってくるのをヨセフは見ると、彼らを自分の家に招き、食事を振る舞うように命じます。
こうして兄弟たちは、そのままヨセフの屋敷へと連れていかれました。
彼らは事情を全く知りませんから、まぁビビりますよね(笑)。
外国人がいきなりエジプトの偉い人の家に招かれるなんて、全くあり得ないことだからです。

創世記 43:18 一同はヨセフの家に連れて行かれたので、怖くなって言った。「われわれが連れて来られたのは、この前のとき、われわれの袋に戻されていた、あの銀のせいだ。われわれを陥れて襲い、奴隷としてろばとともに捕らえるためだ。」

危機を感じた兄弟たちは、早いうちに謝ってしまおうと、家の管理人に袋の中の銀について打ち明けます。
「今回私たちがやってきたのは、袋に入っていた銀を返すためだったのです」と言うわけです。

ところが、状況を心得ている管理人はこのように言います。

創世記 43:23 彼は答えた。「安心しなさい。恐れることはありません。あなたがたの神、あなたがたの父の神が、あなたがたのために袋の中に宝を入れてくださったのです。あなたがたの銀は、私が受け取りました。」それから、彼はシメオンを彼らのところに連れて来た。

そうしてヨセフが帰ってくる前の間、兄弟たちは丁重にもてなされます。
兄弟たちにとっては夢のような、狐につままれたような話ですよね。
訳が分からないまま、兄弟たちはもてなされるままにするしかありませんでした。

僕たちもまた、ありえない食卓に招かれています。
それは、創造主である神さまとの食事です。
被造物である僕たちにはありえないことですが、イエスさまが僕たちを兄弟にしてくださったことによって、僕たちもその食卓に招かれ、親しい関係を築くことができるのです。

ベニヤミンとの再会

ヨセフが帰ってくると、彼は改めてベニヤミンを見つめました。
ベニヤミンはあかちゃんだったので覚えていないでしょうが、ヨセフの中からは懐かしさがあふれてきます。

創世記 43:29 ヨセフは目を上げ、同じ母の子である弟のベニヤミンを見て言った。「これが、おまえたちが私に話した末の弟か。」そして言った。「わが子よ、神がおまえを恵まれるように。」
43:30 ヨセフは弟なつかしさに、胸が熱くなって泣きたくなり、急いで奥の部屋に入って、そこで泣いた。

それでもヨセフは、まだ自分の正体を明かしません。
それは、兄弟たちを完全には信頼しきれていなかったからです。
とにかく、兄弟たちがベニヤミンをいじめたりしていないかが気になる。
できればベニヤミンだけを引き離し、一緒に暮らしたい。
そんな思いでいたことでしょう。

しかし、兄弟たちへは少しずつ、種明かしが始まります。
ここでヨセフは「神が恵まれますように」と言っていますね。
なぜエジプトの神々ではないのか。

そして彼らは、年齢順に並べられ、ベニヤミンにだけは他の兄弟の5倍の食事が振る舞われます。
兄弟たちにはまだ訳が分かっていませんが、正体が明かされれば、「そういうことだったのか!」ということになりますね。
勘のいい人であれば、いつ気づいてもおかしくなかったかもしれません。