紀元1世紀の教会を訪れる(14)
外は真っ暗だった。
街の道路は、よほどの機会でない限りは点灯しないので、それ以外の時に道路を通行することは簡単ではない。
月が満ちて高い位置にあるなら別だろうが。
二人の奴隷たちはすぐ前にいるはずだが、声は聞こえても見ることはできず、人通りも全くないように見えた。
我々ローマ人は早起きして、明るい時間を有効に使うので、ほとんどの人はもう何時間も前に寝ているはずだ。
ランプが明滅し、煙が充満してしまう夜の部屋は、夜更かしには不向きなのだ。
「フェリクス」と、クレメンスは奴隷の一人に呼びかけた。「行けるところまでは一緒に行こう。その方が安全だ。」
もう一方の奴隷もそれに同意し、私たちが追い付くのを待っていた。
ちょうどそのとき、アリストブルスが私たちの後ろの戸口から出てきたところだった。
リュシアスがたいまつを持っている
「君たちがまだあまり遠くに行っていなければいいと願っていたよ」と、彼は言った。「リュシアスがたいまつを持っているので、一緒に行くことができれば、みんなにとって益になると思ってね。
私たちには少し遠回りになるが、大した距離ではない。それくらいなら何とでもなるからね。そうじゃないか、リュシアス?」
この申し出で、不機嫌になる人などいないだろう。
ローマの夜は、どろぼうや追いはぎで悪名が高く、おまけに野犬や野ブタまでも、野放しで走り回っているような場所なのだから。
狭い路地は見通しが悪く、昼の外出禁止令が解けて貨物を運ぶ大きな荷馬車が一気に出入りするときには身の危険を感じるほどだ。
だが、それだけではない。
今でも誰も見ていない夜に、窓から残飯のバケツやトイレの汚物を捨てている人もたくさんいるのだ。
こればかりは、どうにもならないことだった。
そして、そんな時間に外を出歩くなら、いきなり汚物をひっかけられたりしないように、ただ指をクロスして幸運を祈ることしかできない。
ただ指をクロスして幸運を祈るだけ
歩きながら、みんなでその夜の出来事について話し合った。
私も、午後に家を出てから起こったことを振り返ってみる。
思っていたのとは全く違う展開になったが、総じて楽しい夜だったと言えるだろう。
私が心を動かされたのは、そこにいた人々そのものだ。
それがひとつ。
私は、彼らがローマ人の作法や伝統を無視したことや、彼らの信念、熱狂していることに違和感を覚えたが、食事中も食事後も、彼らの交流には不思議と好感を持つことができた。
彼らの振る舞いは、紛れもなく本物であった。
もう一つは、彼らの集会が、宗教的な観点からは極めて不十分なものだったとはいえ、斬新でとても魅力的なものだったということだ。
私は、来週も招かれている、アキラとプリスカの集会の誘いに乗るべきかどうか迷っている。
どうしたものか?
はっきりと決めることはできないけれど、また行ってもいいかもしれないなと、私は思った。
(おわり)
Presented by RACネットワーク