黙示録13:1-18 『 ⑭ニセの三位一体 』 2011/12/18 松田健太郎牧師

黙示録13:1~18
13:1 また私は見た。海から一匹の獣が上って来た。これには十本の角と七つの頭とがあった。その角には十の冠があり、その頭には神をけがす名があった。
13:2 私の見たその獣は、ひょうに似ており、足は熊の足のようで、口は獅子の口のようであった。竜はこの獣に、自分の力と位と大きな権威とを与えた。
13:3 その頭のうちの一つは打ち殺されたかと思われたが、その致命的な傷も直ってしまった。そこで、全地は驚いて、その獣に従い、
13:4 そして、竜を拝んだ。獣に権威を与えたのが竜だからである。また彼らは獣をも拝んで、「だれがこの獣に比べられよう。だれがこれと戦うことができよう」と言った。
13:5 この獣は、傲慢なことを言い、けがしごとを言う口を与えられ、四十二か月間活動する権威を与えられた。
13:6 そこで、彼はその口を開いて、神に対するけがしごとを言い始めた。すなわち、神の御名と、その幕屋、すなわち、天に住む者たちをののしった。
13:7 彼はまた聖徒たちに戦いをいどんで打ち勝つことが許され、また、あらゆる部族、民族、国語、国民を支配する権威を与えられた。
13:8 地に住む者で、ほふられた小羊のいのちの書に、世の初めからその名の書きしるされていない者はみな、彼を拝むようになる。
13:9 耳のある者は聞きなさい。
13:10 とりこになるべき者は、とりこにされて行く。剣で殺す者は、自分も剣で殺されなければならない。ここに聖徒の忍耐と信仰がある。
13:11 また、私は見た。もう一匹の獣が地から上って来た。それには小羊のような二本の角があり、竜のようにものを言った。
13:12 この獣は、最初の獣が持っているすべての権威をその獣の前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷の直った最初の獣を拝ませた。
13:13 また、人々の前で、火を天から地に降らせるような大きなしるしを行った。
13:14 また、あの獣の前で行うことを許されたしるしをもって地上に住む人々を惑わし、剣の傷を受けながらもなお生き返ったあの獣の像を造るように、地上に住む人々に命じた。
13:15 それから、その獣の像に息を吹き込んで、獣の像がもの言うことさえもできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。
13:16 また、小さい者にも、大きい者にも、富んでいる者にも、貧しい者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々にその右の手かその額かに、刻印を受けさせた。
13:17 また、その刻印、すなわち、あの獣の名、またはその名の数字を持っている者以外は、だれも、買うことも、売ることもできないようにした。
13:18 ここに知恵がある。思慮ある者はその獣の数字を数えなさい。その数字は人間をさしているからである。その数字は六百六十六である。

さて、先週はサタンとの霊的戦いについて、聖書の総集編のような形で描かれているのを見てきました。
サタンは、創造主である神様に反逆して、直接戦っても勝ち目がないものだから、神様にとっての最愛の存在であるわたし達人類を滅ぼそうとして、食べてはならない善悪の知識の実を食べさせました。
その直後から、神様による人類救済の計画が始まると、サタンはあらゆる手を尽くしてそれを阻止しようとしてきました。
しかし、ついに救い主を倒したと思ったその時、神様による救いの計画は完成したのです。

わたし達は罪びとだけれど、イエス様がその罪を贖うために十字架にかかって下さったという事を信じる信仰によって、全ての人が救いを手にする事ができます。
しかしサタンはそれでもあきらめず、少しでも多くの人々が救いを受けないように手を尽くし、救いを受けたわたし達クリスチャンの力を奪おうとしています。
そしてサタンは、とうとう大々的な実力行使に出始めたのです。

① 10角獣の出現

13:1 また私は見た。海から一匹の獣が上って来た。これには十本の角と七つの頭とがあった。その角には十の冠があり、その頭には神をけがす名があった。
13:2 私の見たその獣は、ひょうに似ており、足は熊の足のようで、口はししの口のようであった。竜はこの獣に、自分の力と位と大きな権威とを与えた。
13:3 その頭のうちの一つは打ち殺されたかと思われたが、その致命的な傷も直ってしまった。そこで、全地は驚いて、その獣に従い、
13:4 そして、竜を拝んだ。獣に権威を与えたのが竜だからである。また彼らは獣をも拝んで、「だれがこの獣に比べられよう。だれがこれと戦うことができよう。」と言った。
13:5 この獣は、傲慢なことを言い、けがしごとを言う口を与えられ、四十二か月間活動する権威を与えられた。
13:6 そこで、彼はその口を開いて、神に対するけがしごとを言い始めた。すなわち、神の御名と、その幕屋、すなわち、天に住む者たちをののしった。
13:7 彼はまた聖徒たちに戦いをいどんで打ち勝つことが許され、また、あらゆる部族、民族、国語、国民を支配する権威を与えられた。
13:8 地に住む者で、ほふられた小羊のいのちの書に、世の初めからその名の書きしるされていない者はみな、彼を拝むようになる。
13:9 耳のある者は聞きなさい。
13:10 とりこになるべき者は、とりこにされて行く。剣で殺す者は、自分も剣で殺されなければならない。ここに聖徒の忍耐と信仰がある。

さて、海から一匹の獣が上がってきたというビジョンをヨハネは見ます。
これこそ、わたし達がアンチ・キリストとか666の数字でよく耳にする終末に現れてくるという“ザ・ビースト”です。
見えない神様が受肉して、イエス様として地上に来たのと同じように、見えない存在であるサタンの映し身のような人物として、この“獣”は地上に現れるのです。
獣は地上で大きな権力をもち、ひと時の間世界を支配します。
救いを受けない人達は、全てこの獣を神として崇めるようになると聖書には書かれています。
そして、この獣が支配する間、わたし達は決してこの存在に打ち勝つ事はできないのです。

古来、この獣とは誰を指しているのかという事を色々な人が解読しようと挑戦してきました。
ヒントになる言葉が、この章の18節に出てきます。

黙示録 13:18 ここに知恵がある。思慮ある者はその獣の数字を数えなさい。その数字は人間をさしているからである。その数字は六百六十六である。

アラビア数字が一般的になる前の時代は、アルファベットが数の意味を持っていて、それを数字として使っていました。
ローマ数字の時計などを持っている人は、Iが1であったり、Vが5だという事をしっていますよね。
ローマ帝国では、このようにして人の名前に数字を当てはめて、その人を数字で表す事がはやっていました。
実際に、火山によって滅んだポンペイの遺跡から、「私は545の女性を愛する」という言葉が見つかっているそうです。
このようにして数字で表すと、分る人にしかわからない暗号になるのです。

多くの人達が、この666という数字もそのような暗号であるに違いないと、解読を試みて来たわけです。
ネロ皇帝であるという説もあれば、ヒトラーだという人もいたり、ローマ法王だという人もいたり、マルティン・ルターだという人もいたり、ジョン・F・ケネディだという人もいました。
しかし、ある解釈ではラテン語だったり、別のものはヘブライ語だったり、ギリシア語や英語の物まで、どれも結局のところこじつけにしか思えず、誰の事なのかはわからないのが実際の所です。
要するに、みんな自分達の敵こそがアンチ・キリストに違いないと、その人達が666になる方法をそれぞれに考え出しただけの事なのです。

何度も言っている事ですが、わたし達は聖書を無視して、自分の知っているものや今あるものに黙示録を当てはめて理解しようとすると、とんでもない答えを導き出してしまったりします。
黙示録の理解の原則は、“答えは聖書の中にある”という事です。

実は、“獣”というものに関して、旧約聖書のダニエルがヨハネと同じようなビジョンを見ているのです。(長いのでわざわざ開いて読む事はしませんが、興味のある方はダニエル書の7章を後で読んでみて下さい。)
その中でダニエルは、海から出てくる4つの獣を見ました。
ひとつの獣は獅子のようで、二番目の獣は熊に似ていて、みっつめは豹のようで、最後の獣は10本のつのがありました。
ヨハネが見た獣とよく似ていますね。
ダニエルの夢に出て来たこの獣は、それぞれこれから出てくる国と国王を指している事が、解説されています。(バビロン、ペルシャ、ギリシャ、ローマ帝国を指していると言われています。)
そう考えてみると、ヨハネが見たこの獣も、誰か個人の事を指しているのではなく、国や政治的な組織を指しているという事が分って来るんです。
そしてこの獣は、ダニエルが見た4つの国の特徴をすべて持っている、恐ろしい国なのだという事がわかるのです。

実際に、この後17章でこの獣についてもう少し詳しく説明をしていて、この獣についている10本の角は、それぞれに王を指している事がわかります。

② 2角獣の出現~偽の三位一体
ヨハネはさらに、もうひとつの獣を見ます。

13:11 また、私は見た。もう一匹の獣が地から上って来た。それには小羊のような二本の角があり、竜のようにものを言った。
13:12 この獣は、最初の獣が持っているすべての権威をその獣の前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷の直った最初の獣を拝ませた。
13:13 また、人々の前で、火を天から地に降らせるような大きなしるしを行なった。
13:14 また、あの獣の前で行なうことを許されたしるしをもって地上に住む人々を惑わし、剣の傷を受けながらもなお生き返ったあの獣の像を造るように、地上に住む人々に命じた。
13:15 それから、その獣の像に息を吹き込んで、獣の像がもの言うことさえもできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。
13:16 また、小さい者にも、大きい者にも、富んでいる者にも、貧しい者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々にその右の手かその額かに、刻印を受けさせた。
13:17 また、その刻印、すなわち、あの獣の名、またはその名の数字を持っている者以外は、だれも、買うことも、売ることもできないようにした。

こちらの獣は、小羊のような2本のつのがあり、竜のようにものを言いました。
そして、様々な奇跡を起こし、人々が最初の獣を崇めるように仕向けました。
この獣に関してはあまり詳しく書かれていないのですが、奇蹟を行ったり、最初の獣を崇めるようにしたり偶像を作ったりする事から、偽預言者として解釈されたり、宗教的な役割を果たす組織として解釈される事が多いようです。
最初の獣を政治的な組織として理解するなら、こちらの獣は宗教的な組織とするとつじつまが合うようにも思います。
何にしても、この第2の獣の役割は、奇蹟を起こして人の関心を引き付け、最初の獣を崇めさせ、人々にしるしをつけて経済的に支配する働きを担います。

ここに、赤い竜と、第一の獣、そして第二の獣による偽の三位一体が完成するのです。
サタンがここで取った反撃の方法は、徹底的な神様への模倣です。
しかも神様ではなく、自分を崇めさせようとする、冒涜的な模倣なのです。

③ 神様を模倣するサタン
終わりの時代には、この様にしてサタンは神様の模倣をしてわたし達を騙そうとします。
ここに書かれている事は、確かに終末に起る事なのだと思いますが、すでに起っているという事もできるのです。
悪魔は、神様のふりをしてわたし達に近づき、奇蹟を起こしてわたし達の気を引きます。
わたし達は、不思議な出来事がすべて神様の起こす奇跡ではない事を知っている必要があります。
イエス様は、この様に言いました。

マタイ 7:22 その日には、大ぜいの者がわたしに言うでしょう。『主よ、主よ。私たちはあなたの名によって預言をし、あなたの名によって悪霊を追い出し、あなたの名によって奇蹟をたくさん行なったではありませんか。』
7:23 しかし、その時、わたしは彼らにこう宣告します。『わたしはあなたがたを全然知らない。不法をなす者ども。わたしから離れて行け。』

また、神様のように思えるからと言って、全て信用する事はできません。
パウロもこの様に言っています。

IIコリント11:14 しかし、驚くには及びません。サタンさえ光の御使いに変装するのです。
11:15 ですから、サタンの手下どもが義のしもべに変装したとしても、格別なことはありません。彼らの最後はそのしわざにふさわしいものとなります。

何か不思議な事があるから、スゴイ奇跡が起るからと言って、何でもかんでも神様のみわざだと思ってはいけないんです。
わたし達はついつい、そのような目に見える出来事に目を奪われてしまいます。
しかしそれに騙されてしまうと、わたし達は神様を見失ってしまう事になるのです。

わたし達はどうすれば、悪魔に騙されず、神様を見失わないでいる事ができるでしょうか?
そこで、もう一度666という数字に戻ってきましょう。

黙示録 13:18 ここに知恵がある。思慮ある者はその獣の数字を数えなさい。その数字は人間をさしているからである。その数字は六百六十六である。

わたし達には知恵が必要なのです。
666という数字が表している事は、それが777ではないという事です。
7という神様を表す完全数から1足りない6という数字。
神様に似せて、そこに届こうとするけれど、決定的に違うもの。
それが、限界のあるわたし達人間の力であり、サタンのする事でもあります。

わたし達が悪魔に騙されないために必要なのは、何よりも完全な存在である神様をよく知るという事ではないでしょうか?
前にもお話しした事がありますが、偽札を見分けるGメンの人達は、どんな偽札があるかという事を研究するのではなく、徹底的に本物のお金を研究し知りつくす事によって偽札を見分けるのだそうです。

わたし達は神様を模倣するサタンの働きに気付くために、もっともっと神様との関係を密なものにして、神様の愛を肌で知り、神様のやり方をとことん体験していく事ではないかと思うのです。

神様を知らない人達は、何も知らずに騙されて、恐ろしい事がたくさん起るようになりますが、わたし達はそれを恐れる必要はありません。
わたし達の魂は、すでに救われているからです。
そして、誰もわたし達を完全な神様の愛と救いから引き離す事はできないからです。

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