創世記6章 神とともに歩んだノア

神の子ら

世界はどんどん悪い方向に向かっていきます。

創世記 6:2 神の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、それぞれ自分が選んだ者を妻とした。

この辺りの言葉をどう理解するかということも、とても意見が分かれるところだと思います。
「神の子ら」というのを、「天使」という風に理解する人たちもいます。
僕は、神さまに従っていた人たちと受け取っています。
問題なのは、彼らが「自分が選んだ者を妻とした」というところでしょう。
娘たちの美しさに惑わされて、人は神さまよりも自分の願望を満たすことを大切にするようになっていったのです。

そして、このころに人間の寿命は120年に定められたという話しになっていきます。

創世記 6:3 そこで、【主】は言われた。「わたしの霊は、人のうちに永久にとどまることはない。人は肉にすぎないからだ。だから、人の齢は百二十年にしよう。」

ところが、この後出てくる人たちも、これ以前の人たちよりは短いものの、何百年も生きています。

「ここから人間の寿命が短くなっていきますよ」
ということかもしれませんが、もともとこの言葉は、

「これから120年後に世界を滅ぼそう」
という意味の言葉にも理解することがでるようです。

いずれにしても、言葉の意味をあまり断定し過ぎないで読んでいった方がよさそうですね。

さて、この時「神の子ら」と「美しい娘たち」の間に生まれた子供たちはネフィリムと呼ばれています。
「巨人」とも訳されていて、ダビデ王の時代くらいまで、時々出てきます。
子ども時代のダビデが倒したことで有名なゴリアテも、ネフィリムの子孫とされていますね。

考古学的には、「ホモ・ギガンテス」と呼ばれる種がいたと言われています。
その辺りの関係性の真偽はわかりませんが、ロマンを掻き立てられますね。

洪水はなぜ起こったのか

さて、話しは世界規模の洪水に入っていきます。
神による裁きとしてこの洪水は描かれていますが、神さまはどうして裁きを与えようとしたのでしょうか?

創世記 6:5 【主】は、地上に人の悪が増大し、その心に図ることがみな、いつも悪に傾くのをご覧になった。
6:6 それで【主】は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められた。
6:7 そして【主】は言われた。「わたしが創造した人を地の面から消し去ろう。人をはじめ、家畜や這うもの、空の鳥に至るまで。わたしは、これらを造ったことを悔やむ。

「人の悪が増大し、その心に図ることがみな、いつも悪に傾く」というのは、よほどの状況ですね。
神さまから離れた人というものは、どうしてもこのような状態になってしまうのです。

このようにも書かれています。

創世記 6:11 地は神の前に堕落し、地は暴虐で満ちていた。
6:12 神が地をご覧になると、見よ、それは堕落していた。すべての肉なるものが、地上で自分の道を乱していたからである。

神さまは、世界を一からやり直すしか方法がありませんでした。
その中で、唯一神さまの心にかなっていたのが、ノアだったのです。
「主の心になかっていた」というのは、「どんなに善い人間だったんだろう」とは考えない方がいいかもしれません。
善悪は人の中にはなく、神さまのものだからです。

それよりも大切なのは、ノアは神さまへの信仰を持っていた人だったということだと思います。
この時、神さまを信仰して、関係を持っていたのは、世界でノアひとりだけだったのです。

神さまは、ノアとその家族、そして動物を救うため、箱舟を作るよう、ノアに命じます。
これが、世界の救いとして描かれる、ノアの箱舟ですね。

ノアの箱舟

創世記 6:14 あなたは自分のために、ゴフェルの木で箱舟を造りなさい。箱舟に部屋を作り、内と外にタールを塗りなさい。
6:15 それを次のようにして造りなさい。箱舟の長さは三百キュビト。幅は五十キュビト。高さは三十キュビト。
6:16 箱舟に天窓を作り、上部から一キュビト以内に天窓を仕上げなさい。また、箱舟の戸口をその側面に設け、箱舟を一階と二階と三階に分けなさい。

箱舟の構造のことについて、おもしろい話があります。

人類の文明とともに造船技術が発達していきましたが、20世紀になって人類は石油の輸送のために、巨大で荷物をたくさん積載することができる船を発明する必要ができました。

そんな中で発明されたのが、写真にある石油タンカーです。
おもしろいのは、石油タンカーの縦横長さの比率です。
石油タンカーは、巨大な船として機能し、しかも最大の積載量を運ぶことができるものとして作られる必要があったのですが、その時参考にされたのが、ノアの箱舟の比率です。

30:5:3という比率が、水の上に浮かび、方向転換も問題なくすることができ、丈夫であり、しかも最大の制裁量を運ぶことができる最高の比率であることが、20世紀になって証明されたのです。

これは、それ以前の船とはまったく違う構造であり、比率でした。
これまでの船は、操作性と木造船としての強度などを考えると、違う形でなければうまく浮かばなかったのです。
ところが、20世紀になって鉄の船を浮かばせようと考えられたとき、箱舟の比率が最適だということがわかったのです。

これまでは、材料の強度の問題もあって、そんな大きさの船は作られなかったということもあるかもしれません。
しかし、何千年も前に聖書に書かれていた船のサイズが、現代の技術によって正しいことが証明されたというのは、とてもおもしろい話だと思いませんか?