創世記10章 ノアの系図

ノアの子孫についての系図が出てくるのが10章です。
これも、人の名前ばかりでつまらないと感じる部分ですが、ノアからさまざまな民族が生まれてきたわけで、3人の息子たちの誰からどの民族が生まれてきたかということが面白い部分です。

まず注目する必要があるのは、セム系の人たちです。
ここからアブラハムが生まれ、やがてイエス様へと繋がっていくからです。

ヤフェテの子ら

創世記 10:2 ヤフェテの子らはゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メシェク、ティラス。
10:3 ゴメルの子らはアシュケナズ、リファテ、トガルマ。
10:4 ヤワンの子らはエリシャ、タルシシュ、キティム、ドダニム。

ゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メシェク、ティラスといった人たちは、小アジア(トルコ)の地域の民族です。
ヤワンはギリシア人ですね。
タルシシュはスペインで、ヨナ記にその名前が登場しています。

ハムの子ら

創世記 10:6 ハムの子らはクシュ、ミツライム、プテ、カナン。
10:7 クシュの子らはセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカ。ラアマの子らはシェバ、デダン。

ハム系の人たちの多くは、北アフリカの人々となりました。
クシュというのはエチオピア、ミツライムはエジプトです。
プテはリビアの辺りではないかと言われます。
そして、カナンはイスラエルの地域に住んだ人々で、罪を重ねて裁きを受けることとなり、イスラエルによって滅ぼされることになります。

クシュの子らということで、その中にはソロモンの時代に登場する「シェバの女王」のシェバという国の名前が出てきます。
これも諸説あって、エチオピアの辺りか、紅海をはさんだ反対側の、今でいうサウジアラビアの辺りだったのではないかと言われています。

セムの子ら

創世記 10:21 セムにも子が生まれた。セムはエベルのすべての子孫の先祖であり、ヤフェテの兄であった。
10:22 セムの子らはエラム、アッシュル、アルパクシャデ、ルデ、アラム。
10:23 アラムの子らはウツ、フル、ゲテル、マシュ。
10:24 アルパクシャデはシェラフを生み、シェラフはエベルを生んだ。

エラムはエラム人、これはペルシャの人たちですね。
アッシュルはアッシリア人。
アラムはアラム人で、遊牧民となっていきます。
遊牧民である彼らが広く広がっていたこともあってか、彼らが使っていたアラム語が、メソポタミヤの地域ではよく使われるようになります。
聖書の一部はアラム語で記され、イエスさまもアラム語を使ったと言いますね。

そして、このリストの中での一番のポイントは、セム系のエベルになります。
このエベルは「ヘブル」の語源となっています。

聖書の中で、「ヘブル人」というのは、「イスラエル人」のことであり、「ユダヤ人」でもあります。
実際には、エベルの子どもたちがみんなイスラエル人ではないし、イスラエル人のすべてがユダヤ人というわけでもありません。

ヘブル人>イスラエル人>ユダヤ人

というのが正確なところでしょうか?

エベルの子孫には、ミディアン人、アラブ人や、エドム人なども含みます。
イスラエルは、国としてはイスラエルとユダヤに分かれていますが、民族としては同じ民族ですね。
イスラエル王国はアッシリア帝国に滅ぼされ、他の民族と血が混ざってしまっているので、実質的にはイコールということになります。

この辺りのことは、日本人である僕たちに理解するのは難しいですが、判ってくると少しだけおもしろいところでもあります。