毒を吐き出す
娘が2才のころ、お腹がすくと“eat、eat”と言って騒ぎ出したものだった 。
母親がアメリカ人だということもあって、そのころは英語で話していたんだよね。
ある日、僕は娘とふたりで留守番していた。
娘は大好きなリトル・マーメイドを観ていて、僕はお皿を洗っていた。
しばらくすると、後ろで“eat、eat”が始まり出した。
「Daddyは今忙しいから、ちょっと待っててね。 」と後ろ手に声をかけると、しばらく騒いでいたけどいつの間にか静かになった。
今日はずいぶん聞き分けがいいなと思いつつ、その時は洗い物を一気に片付けたんだよね。
さて、いい子だったので、何かおやつでもあげようと思って僕は振り返った。
すると、娘は何か白いものを持って、すでに食べている・・・。
なんだ、パンでも見つけたのかな、どおりで静かなわけだと思ったけど、よく考えるとパンはカウンターの上なので子供には手が届かないはず。
あれ、なんだろう?
慌てて手にしているものを取り上げると、何とそれは、保育園でもらってきた粘土だった。
娘は口いっぱいに粘土をほお張りながら、「おいしね~。」と言いながらニコニコしている。
「Noooooooooooooooo!!!!」
と、慌てて取りあげたんだけど、時はすでに遅く、粘土の3分の2はお腹の中だった・・・。
粘土とは言っても、口に入れても大丈夫なように、小麦粉を練ったものだったんだけど、汚い机の上や床に転がされて練りこまれた小麦粉粘土は、ばい菌でいっぱいだった。
その晩、娘はお腹をこわしてしまったことは言うまでもない・・・。
まったく、2歳児は目が離せないもので、油断すると大変な事になってしまう。
粘土なんてまだ序の口で、この間なんて乾燥剤を口に入れてしまった。
まぁ、毒でも何でもないものではあったんだけど、その時にはさすがに慌てて、トイレに連れて行き、逆さまにして、口に指を突っ込んで吐き出させた。
娘は怖かっただろうね。
悲しかったよね。
大好きなパパがなんでこんなことをするのかと、大声でぎゃーと泣いた。
「どうしてあたしに、こんなことするの?!」
それはね、パパがキミを愛してるからだよ。(^-^)
天のお父さんも、時としてこれと同じことを僕たちにする。
僕たちが罪という毒を口にしてしまう時、天のお父さんは僕たちを命の泉に連れて行き、全ての毒を吐き出させる。
そして、僕たちの口の汚れを清めてくれるんだ。
僕たちが口に放り込むのは、不品行、不正、偏見、敵意、妬み、恨み、貪欲・・・。
そして神さまは、
「そんなものより、もっといいものがあるんだよ。」
って言う。
確かに神さまは、今のままでも僕たちを愛してくれている。
僕たちがよりよい人間になったら、もっと愛してくださるというのではないよね。
僕たちの信仰がさらに深まれば、神さまは僕たちをもっと愛してくれるというのでもない。
もしそう思っているなら、それは誤解だよ。
僕たちが今のままであろうと、さらに罪を重ねようと、それでも神さまは僕たちを愛し続けてくれるだろう。
でも、僕たちはそれに甘えすぎてしまう。
「粘土だって、乾燥剤だって、食べようと思えば食べられなくはないよ。」
確かにそうなのかもしれない。
でもね、神さまはもっと素晴らしいものを僕たちのために用意してくれているんだ。
食べたらお腹をこわしたり、命を落としてしまうようなものではなく、心にも魂にもおいしい命のパンを、僕達たち与えようとしてくれている。
僕たちが罪から離れ、イエスさまのようになっていくことを、天のお父さんは喜んでくれるんだよ。