創世記35章 ヤコブ契約
再びベテルへ
エサウと再会したヤコブは、ベテルに住むようにと神さまに示されます。
ベテルは、ヤコブが地から天に伸びて天使が行き来するはしごを目撃した場所ですね。
ベテルというのは「神の家」という意味の言葉ですが、そこがヤコブの新しい家となっていくのです。
ヤコブはその地で初めて神さまと出会い、今そこが彼自身の家となるのです。
僕たちも、信仰の出発点と言えるようなところに戻ることが必要になるときがあります。
自分はどのようにして神さまと出会い、その愛に興奮したのか、初めの喜びを忘れてはいけないと思います。
そして、必要であれば、思い出すために力を尽くすのです。
ヤコブとの契約
ヤコブがイエスさまと格闘した時に、「イスラエル」という新しい名前を付けられましたが、ここで改めてそのことが確認されます。
これから、神さまとの間に大切な契約が結ばれるからです。
創世記 35:9 ヤコブがパダン・アラムから帰って来たとき、神は再び彼に現れ、彼を祝福された。
35:10 神は彼に仰せられた。「あなたの名はヤコブである。しかし、あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルが、あなたの名となるからだ。」こうして神は彼の名をイスラエルと呼ばれた。
神さまとイスラエル(=ヤコブ)をの間に結ばれる契約は、アブラハムやイサクとの間に交わされたのと同じ契約です。
創世記 35:11 神はまた、彼に仰せられた。「わたしは全能の神である。生めよ。増えよ。一つの国民が、国民の群れが、あなたから出る。王たちがあなたの腰から生まれ出る。
35:12 わたしは、アブラハムとイサクに与えた地を、あなたに与える。あなたの後の子孫にも、その地を与えよう。」
これによって、救い主が生まれるルーツは、アブラハムからイサク、そしてヤコブへと引き継がれていきました。
ベニヤミンの誕生
ヤコブの最愛の妻、ラケルに念願の二人目の子どもが生まれます。
しかし、それは大変な難産で、ついにラケルの命を奪ってしまいます。
生まれた赤ん坊を見て、ラケルは「ベン・オニ(苦しみの子)」と呼びました。
それを聞いたヤコブは、その子を「ベニヤミン」と名付けました。
これで、ヤコブ=イスラエルの12人の息子がそろいましたね。
出エジプトのころになると、イスラエルの12部族というのが出てくるので、覚えておいてください。
ただ、少しややこしいのは、この12人の息子たちの子孫がそのまま12部族となるわけではないところですが、それは出エジプトの時に話しましょう。
いずれにしても、ラケルを失ったことは、ヤコブにとってつらい経験だったことでしょう。
その辛い思いの中、さらに苦々しいい出来事が起こります。
創世記 35:22 イスラエルがその地にとどまっていたころ、ルベンが父の側女ビルハのところに行って、彼女と寝た。イスラエルはこのことを聞いた。ヤコブの子は十二人であった。
ビルハというのはベンとナフタリの母親ですから、ルベンは自分の兄弟の母親と寝たわけです。
ため息が出てしまうような出来事ですが、この時のヤコブは、恐らくはラケルを失った痛みのあまり、何も言いませんでした。
後にヤコブが最期を迎えるとき、ヤコブはひとりひとりの息子たちを祝福する中で、この出来事によってルベンは長男としての権利を失ったことを告げます。