ヨハネ17:1-5 ご自身の栄光のための祈り

大祭司の祈りの始まり(17:1)

ヨハネ17章はしばしば

「大祭司の祈り」

と呼ばれます。

これはイエスが十字架に向かわれる直前にささげられた祈りです。

13章から16章まで、主は弟子たちに語ってこられました。

しかしここでは人にではなく、父なる神に向かって語られます。

まずイエスは天を見上げて祈られます。

「父よ。時が来ました。」

ヨハネ福音書では繰り返し、

「わたしの時はまだ来ていない」

と語られてきました。

しかし今ついに、

  • 十字架の時
  • 救いの完成の時
  • 栄光の時

が到来したのです。


子の栄光と父の栄光(17:1)

主はまず、

「あなたの子の栄光を現してください。」

と祈られます。

しかしここで言う栄光は、この世が考える栄光ではありません。

人は栄光を、

  • 成功
  • 権力
  • 名声
  • 勝利

に結び付けます。

しかしイエスにとって栄光とは、

十字架による従順の完成

でした。

御子は十字架において父の愛と義を完全に現されます。

そしてその結果、

「子があなたの栄光を現すためです。」

と祈られます。

父と子は互いの栄光を現しておられるのです。


すべての人への権威(17:2)

続いてイエスは、

「あなたは子に、すべての人に対する権威を与えてくださいました。」

と語られます。

父は御子に全人類に対する権威を与えられました。

しかしその権威は支配のためではなく、

「永遠のいのちを与えるため」

です。

主は言われます。

「あなたが子に与えてくださったすべての者に、永遠のいのちを与えるためです。」

ヨハネ福音書を通して見られるイエスの使命は、罪人を救い、命を与えることでした。

ここでもその目的が改めて確認されています。


永遠のいのちの本質(17:3)

この祈りの中心とも言える言葉が語られます。

「永遠のいのちとは、唯一のまことの神であるあなたと、あなたが遣わされたイエス・キリストを知ることです。」

永遠のいのちは、単に長く生きることではありません。

また死後に始まるものだけでもありません。

それは、神との関係の中に生きること です。

聖書で「知る」とは、知識を得ること以上に、人格的な交わり を意味します。

つまり永遠のいのちとは、父なる神とイエス・キリストとの交わりに生きることなのです。

そしてそのいのちは、将来だけでなく、今すでに始まっています。


地上の使命を成し遂げた御子(17:4)

イエスは続けて祈られます。

「あなたがわたしに行わせるためにお与えになったわざを成し遂げて、地上であなたの栄光を現しました。」

主はまだ十字架にかかっておられません。

しかしその従順は決して揺らぐことがなかったため、あたかも完成したかのように語られます。

イエスは、

  • 父を現し
  • 真理を語り
  • しるしを行い
  • 弟子たちを訓練し

与えられた使命に忠実に歩まれました。

御子の生涯は、父への完全な従順の生涯だったのです。


世界の始まる前の栄光(17:5)

最後に主は祈られます。

「今は父よ、みそばでわたしの栄光を現してください。」

さらに、

「世界が存在する前に、ご一緒にいて持っていたあの栄光を。」

と言われます。

ここにはキリストの永遠性が示されています。

イエスはベツレヘムで始まった存在ではありません。

世界が造られる以前から、父と共におられた御子です。

ヨハネ1:1の

「初めにことばがあった。」

という宣言がここで再び響いています。

受肉によってへりくだられた御子は、

十字架と復活を経て、再び父のみもとで本来の栄光を受けようとしておられるのです。


この祈りが示すもの

この短い祈りには、ヨハネ福音書全体の主題が凝縮されています。

① 栄光

十字架は敗北ではなく、御子の栄光が現れる時である。

② 永遠のいのち

永遠のいのちとは、神とキリストを知ることである。

③ 完成された使命

御子は父から与えられた働きを完全に果たされた。

④ 永遠の御子

イエスは世界の創造以前から父と共におられた方である。


この箇所が私たちに語ること

私たちは永遠のいのちを、「将来天国へ行くこと」だけと考えがちです。

しかしイエスは、「神とキリストを知ること」こそ永遠のいのちだと語られました。

永遠のいのちは未来の約束であるだけでなく、今の私たちの現実でもあります。

また主は苦難を前にしても、自分の安全ではなく父の栄光を求められました。

私たちも人生の中心に自分の栄光ではなく、神の栄光を置くよう招かれているのです。


この箇所の中心メッセージ

イエスは十字架の直前に、ご自身の栄光と父の栄光のために祈られた。

御子は父から与えられた使命を完全に果たし、信じる者に永遠のいのちを与えられる。

その永遠のいのちとは、唯一のまことの神と、遣わされたイエス・キリストを知ることである。

そして御子は世界の始まる前から父と共におられた永遠の栄光へ帰ろうとしておられた。

「永遠のいのちとは、唯一のまことの神であるあなたと、あなたが遣わされたイエス・キリストを知ることです。」(ヨハネ17:3)