詩篇 91篇 いと高き方の守り(91:1-16)
詩篇91篇の背景
① 荒野時代との関連
- 詩篇90篇がモーセの祈りである
- 91篇もその流れの中で読まれてきた
- 荒野での危険と神の守りを思わせる
② 巡礼者の信仰
- 戦争
- 疫病
- 野獣
- 旅の危険
に囲まれた時代の信仰告白でもある。
③ メシア的な意味
- 新約聖書で引用される
- 神の守りを受ける義人の姿を描く
- 究極的にはメシアにも適用される
1. 神のもとに住む者の安全(91:1-2)
① いと高き方の隠れ場
- いと高き方の隠れ場に住む者
- 全能者の陰に宿る者
- 神の守りの中に生きる者
信仰者の安全は環境ではなく、神との関係にある。
② 個人的な信仰告白
- 「主は私の避け所」
- 「私の砦」
- 「私の神」
神を信頼する決意が表明される。
③ 守りの源
- 人間の力ではない
- 富や権力でもない
- 神ご自身が守りである
④ 詩篇90篇とのつながり
- 90篇は人生のはかなさを語る
- 91篇はその中での神の守りを語る
- 永遠の神への信頼が続いている
補足:
詩篇90篇が「人生の短さ」を見つめる詩であるなら、91篇は「その人生を支える神の守り」を歌う詩である。
2. 危険からの救出:神の保護(91:3-8)
① 狩人の罠から
- 神は罠から救い出される
- 隠れた危険から守られる
- 敵の策略から助けられる
② 恐ろしい疫病から
- 破滅をもたらす疫病
- 命を脅かす災害
- 神はその中でも守られる
③ 鳥の親のような守り
- 羽で覆われる
- 翼の下に避難する
- 神の真実が盾となる
神の守りは力強いだけでなく愛に満ちている。
④ 昼夜の恐れからの解放
- 夜の恐怖
- 昼の矢
- 暗闇の疫病
- 真昼の滅び
すべてを神が支配しておられる。
⑤ 動じない信仰
- 千人が倒れても
- 一万人が倒れても
- 神の守りは揺るがない
補足:
この詩は「信仰者には何も起こらない」と教えているのではない。どのような危険の中でも、神の支配が及んでいることを教えている。
3. 主を避け所とする者への約束(91:9-13)
① 避け所の選択
- 主を避け所とする
- 神を住まいとする
- 意識的に神を信頼する
② 災いからの守り
- 災害が近づかない
- 守りが約束される
- 神が共におられる
③ 御使いたちの奉仕
- 御使いに命じられる
- 道のすべてで守られる
- 手で支えられる
④ 石につまずかない守り
- 足が守られる
- 神の導きが与えられる
- 危険から保護される
⑤ 敵への勝利
- 獅子を踏む
- コブラを踏む
- 若獅子と蛇を踏みつける
悪の力への勝利が象徴的に描かれている。
補足:
91:11-12は、マタイ4:6でサタンがイエスを誘惑する際に引用した箇所。
しかしイエスは、この約束を神を試すために用いることを拒まれた。
4. 神ご自身の宣言:主を愛する者への報い(91:14-16)
① 愛する者への救い
- 神を愛する者を助け出される
- 神の名を知る者を高く上げられる
- 神との親しい関係が強調される
② 苦難の中の同在
- 苦難がなくなるとは言われていない
- 苦難の中で共におられる
- 神の臨在が約束される
③ 祈りへの応答
- 呼び求める時に答えられる
- 神は耳を傾けられる
- 助けを与えられる
④ 栄誉と救い
- 神が栄誉を与えられる
- 救いを見せられる
- 神の勝利を体験する
⑤ 満ち足りた人生
- 長いいのちで満ち足らせる
- 神の救いを見せる
- 神との交わりの完成へ導かれる
補足:
この最後の部分では、詩人ではなく神ご自身が語っておられる。
信頼する者への神の約束が直接宣言されている。
まとめ
- 主は信頼する者の避け所であり砦である。
- 神は見える危険にも見えない危険にも勝っておられる。
- 神の翼の下に安全がある。
- 御使いたちは神の命令によって守りの奉仕を行う。
- 神を愛する者は神によって守られ、導かれる。
- 苦難の中にも神は共におられる。
- 神は祈りに応え、最終的な救いを示される。
- この詩篇は、**「人生が危険と不確実さに満ちていても、いと高き神を避け所とする者は神の支配と守りの中に生きることができる」**という神学的教訓を示している。

