詩篇 135篇 主の民よ賛美せよ (135:1-21)
背景
① ハレルヤで始まる賛美の詩篇
- 詩篇135篇は「ハレルヤ」で始まる賛美の詩篇である。
- 神の偉大さと主権を賛美し、神の民に礼拝を呼びかけている。
- 詩篇136篇の「その慈しみはとこしえまで」へと続く導入のような役割も果たしている。
② 神の歴史的御業を振り返る詩篇
この詩篇では、
- 創造
- 出エジプト
- 荒野の導き
- 約束の地の征服
が順に振り返られる。
神の偉大さは抽象的な概念ではなく、
「歴史において現された神の御業」
によって証明されている。
③ 偶像との対比
後半では、
- 生ける神
- 人の手で造られた偶像
が対比される。
真の神と偽りの神との違いが明確に示される。
④ 神殿礼拝との関係
この詩篇は、
- 祭司たち
- レビ人たち
- 神殿で仕える者たち
に向かって歌われている。
共同体礼拝の中で用いられた賛美であったと考えられる。
⑤ 詩篇の主題
「主は唯一の偉大な神であり、その御業を覚える神の民は主を賛美し続けるべきである。」
ということである。
補足:
詩篇134篇が神殿での礼拝を締めくくる詩篇であったなら、135篇は再び神の偉大さを思い起こし、礼拝へと招く詩篇となっている。
1. 主のしもべたちよ、主を賛美せよ (135:1-4)
① ハレルヤ
「ハレルヤ。」
- 主をほめたたえよ。
- 神を礼拝せよ。
- 栄光を神に帰せよ。
という招きである。
② 主の御名を賛美せよ
「主の御名をほめたたえよ。」
- 神のご性質を賛美する。
- 神の栄光を認める。
- 神を高くあがめる。
③ 神殿のしもべたち
「主の家に立つ者たちよ。」
- 祭司たち。
- レビ人たち。
- 神に仕える者たち。
への呼びかけである。
④ 主はいつくしみ深い
「主はいつくしみ深い。」
- 神は善なる方である。
- 神は愛に富む方である。
- 神は礼拝に値する方である。
⑤ 選ばれた民
「主はヤコブをご自分のために選ばれた。」
- 神の恵みによる選び。
- 契約の民。
- 神に属する民。
を指している。
補足:
申命記7章と同様に、イスラエルの選びは神の愛と恵みに基づくことが強調されている。
2. 主はすべての神々にまさる (135:5-7)
① 主の偉大さ
「主が大いなる方であることを私は知っている。」
- 神は唯一である。
- 神は偉大である。
- 神は比類なき方である。
② 諸々の神々にまさる方
「主はすべての神々にまさっておられる。」
- 偶像ではない。
- 被造物ではない。
- 真の創造主である。
③ 神の自由な主権
「主はみこころのままに行われる。」
- 誰にも支配されない。
- 誰にも制限されない。
- 神は完全な主権者である。
④ 天地を支配する神
「天でも地でも。」
- 全宇宙を支配される。
- 海も支配される。
- 深淵も支配される。
⑤ 自然界を治める神
「雲を上らせ、稲妻を放たれる。」
- 雨を与えられる。
- 天候を支配される。
- 被造世界を保たれる。
補足:
詩篇147篇や148篇でも、自然界を支配する神の主権が繰り返し賛美されている。
3. 神の救いの歴史を思い起こせ (135:8-14)
① エジプトへの裁き
「エジプトの初子を打たれた。」
- 出エジプトの出来事。
- 奴隷状態からの解放。
- 神の救いの始まり。
である。
② しるしと不思議
「しるしと不思議を送られた。」
- 十の災い。
- 神の全能性。
- 神の勝利。
を示している。
③ 王たちへの勝利
「多くの国々を打たれた。」
- 神が戦われた。
- 神が勝利を与えられた。
- 神が約束を守られた。
④ シホンとオグ
「アモリ人の王シホン。」
「バシャンの王オグ。」
- 約束の地への障害。
- 神によって打ち倒された敵。
- 神の忠実さの証拠。
⑤ 相続地の賜物
「その地を相続の地として与えられた。」
- 神は約束を果たされる。
- 神は契約に忠実である。
- 神は民を祝福される。
⑥ 民を顧みる神
「主はご自分の民をさばかれる。」
- 見捨てない。
- 顧みられる。
- 憐れみを示される。
補足:
詩篇136篇は、この部分をさらに詳しく展開している。
4. 偶像は無力である (135:15-18)
① 偶像の正体
「異邦人の偶像は銀や金。」
- 人が造ったもの。
- 命のないもの。
- 偽りの神である。
② 語れない偶像
「口があっても語れない。」
- 真理を語れない。
- 救えない。
- 導けない。
③ 見えない偶像
「目があっても見ることができない。」
- 苦しみを見ない。
- 助けられない。
- 働けない。
④ 命のない偶像
「口には息がない。」
- 命がない。
- 力がない。
- 神ではない。
⑤ 偶像礼拝の結果
「それを造る者も、それに頼る者も同じようになる。」
- 霊的に鈍くなる。
- 真理を失う。
- 神から離れる。
補足:
詩篇115篇の偶像批判とほぼ同じ内容が繰り返されている。
5. 主を賛美せよ (135:19-21)
① イスラエルの賛美
「イスラエルの家よ、主をほめたたえよ。」
- 神の民への招き。
- 礼拝への招き。
- 感謝への招き。
である。
② 祭司たちの賛美
「アロンの家よ。」
- 神殿で仕える者たち。
- 礼拝を導く者たち。
- 神に仕える者たち。
が招かれる。
③ レビ人たちの賛美
「レビの家よ。」
- 奉仕者たち。
- 礼拝共同体。
- 神のしもべたち。
に向けられている。
④ 主を恐れる者たち
「主を恐れる者たちよ。」
- すべての信仰者。
- 神を敬う者。
- 神を愛する者。
への普遍的招きである。
⑤ シオンからの賛美
「シオンに住まわれる主。」
- 神の臨在。
- 神の都。
- 神と民との交わり。
を意味する。
⑥ ハレルヤ
「ハレルヤ。」
礼拝への招きで始まり、礼拝で終わる。
補足:
詩篇146~150篇へと続く大賛美の序章のような結びとなっている。
神学的意味
① 主だけが真の神である
- 偶像ではない。
- 唯一の創造主である。
- 全能の支配者である。
② 神は歴史の中で働かれる
- 出エジプト。
- 約束の地。
- 契約の成就。
すべて神の御業である。
③ 神はご自身の民を選び守られる
- 契約を忘れられない。
- 民を顧みられる。
- 恵みを注がれる。
④ 偶像は救うことができない
- 命がない。
- 力がない。
- 希望を与えられない。
⑤ キリストとの関係
キリストは、
- 真の神の完全な現れ
- 神のことば
- 王の王、主の主
である。
偶像が語れないのに対して、キリストは神のことばとして来られた。偶像が救えないのに対して、キリストは罪と死からの真の救いを完成された。
まとめ
- 詩篇135篇は主の偉大さを賛美するハレルヤ詩篇である。
- 神の民は主の御名を賛美するよう招かれている。
- 主はすべての神々にまさる真の神である。
- 神は天地を支配される。
- 神は出エジプトと約束の地の歴史を通してご自身の力を示された。
- 偶像は無力であり救うことができない。
- 神の民は主を恐れ、賛美するよう招かれている。
- シオンに住まわれる主は永遠に礼拝されるべきである。
- この詩篇は、**「主だけが真の神であり、創造と救いの歴史を支配される方である。神の民はその偉大な御業を覚え、絶えず主を賛美するよう招かれている」**という神学的教訓を示している。

