第二コリント 2章 悔い改めた者への赦しとキリストの勝利(2:1-17)
背景
① 「悲しみの訪問」の後
第二コリント1章で触れられたように、パウロはコリント教会との間に深い緊張関係を経験していた。
その中で、
- パウロへの反抗
- 教会内の対立
- 指導者への批判
などの問題が生じていた。
2章では、その問題への具体的な対応が語られる。
② 教会の戒規が実施された
第一コリント5章では、不品行の罪を犯した者に対する教会戒規が命じられていた。
2章では、その人物、あるいはパウロに公然と反抗した人物が悔い改めた後の対応が問題となっている。
③ 厳しさと愛のバランス
教会は罪を放置してはならない。
しかし、悔い改めた人を受け入れないこともまた誤りである。
パウロは、
- 真理
- 愛
- 回復
の三つを同時に守ろうとしている。
④ 勝利の行進という比喩
章の後半では、ローマ帝国の凱旋行進を背景に、キリストの勝利の中に生きる信徒の姿が描かれる。
2章は「戒める教会」と「赦す教会」の両方を教えている。
教会の目的は処罰ではなく回復である。
1. 悲しみを与えたくなかったパウロ(2:1-4)
① 再び悲しみを与えない決意
パウロは、
「悲しみを抱かせる訪問を再びしない」
と決心した。
それは厳しい対立を避けるためであった。
② 教会への愛
彼の目的は、教会を打ちのめすことではなく、喜びを共にすることであった。
③ 涙の手紙
パウロは、
「多くの涙の中で」
手紙を書いたと語る。
これは通常「涙の手紙」と呼ばれる。
④ 愛から出た戒め
その手紙は怒りからではなかった。
深い愛から出たものであった。
⑤ 牧会者の苦悩
パウロは、真理を守りながら愛する者たちを傷つけたくないという葛藤を抱えていた。
真の牧会は、単に厳しくすることでも、ただ優しくすることでもない。
愛のゆえに語るべきことを語る働きである。
2. 悔い改めた者を赦しなさい(2:5-11)
① 懲戒の目的は達成された
問題を起こした人物は、教会の戒めによって悔い改めたようである。
② それ以上苦しめてはならない
パウロは、今度は赦しと慰めを与えるよう勧める。
③ 過度の悲しみの危険
悔い改めた者が、過度の悲しみに飲み込まれることを心配している。
④ 愛を確認する
教会は、その人への愛を実際に示すべきであった。
⑤ サタンに機会を与えない
赦しを拒み続けるなら、サタンがその状況を利用する可能性がある。
教会の一致を守るためにも、赦しが必要である。
教会戒規の最終目標は除名ではなく回復である。
悔い改めがあるなら、赦しと受け入れが続かなければならない。
3. テトスを待ち続けたパウロ(2:12-13)
① トロアスで開かれた門
パウロはトロアスで、福音宣教の大きな機会を与えられていた。
② 心の重荷
しかし彼の心には不安があった。
③ テトスが見つからない
コリント教会の状況を知るために遣わしたテトスが、まだ帰ってきていなかったのである。
④ 教会への愛
宣教の機会が開かれていても、コリント教会への心配が消えなかった。
⑤ マケドニアへ向かう
そこで彼はトロアスを離れ、マケドニアへ向かった。
パウロは偉大な使徒でありながら、教会のことを心配し涙する牧会者でもあった。
4. キリストの勝利の凱旋行進(2:14-17)
① 神への感謝
突然パウロは賛美へと転じる。
「神に感謝します。」
② 勝利の行列
神は信徒たちを、キリストの勝利の行列に加えておられる。
ローマの凱旋式が背景にある表現である。
③ キリストの香り
信徒は、キリストを世に示す香りのような存在である。
④ 二つの反応
その香りは、
- 救われる者には命の香り
- 滅びる者には死の香り
となる。
福音への反応が人によって異なるのである。
⑤ 誠実な奉仕
パウロは、神の言葉を商売のように扱う者たちと自分を区別する。
彼は神の前で誠実に福音を語っていた。
福音宣教の成功は、人の反応によって決まるのではない。
大切なのは神の前で忠実に香りを放つことである。
神学的意味
① 教会戒規の目的は回復である
- 破壊ではなく
- 排除ではなく
- 悔い改めと回復である
② 赦しは福音の実践である
- 裁くだけでは不十分
- 戒めだけでも不十分
- 赦しによって回復が完成する
③ 愛は真理と共に働く
- 真理なき愛は放任になる
- 愛なき真理は冷酷になる
- 福音は両方を必要とする
④ キリストは勝利された主である
- 十字架によって勝利し
- 復活によって勝利を確証し
- 教会を導いておられる
⑤ 信徒はキリストの香りである
- 行動によって
- 言葉によって
- 生き方によって
キリストを証しする。
⑥ 福音は分岐点となる
- 受け入れる者には命
- 拒む者には裁き
となる。
⑦ キリストとの関係
キリストは、
- 悔い改める者を赦される主
- 教会を導かれる牧者
- 勝利の王
- 世界に香りを放たれる救い主
である。
教会はキリストにならい、悔い改める者を受け入れながら、キリストの香りを世に現すよう召されている。
まとめ
- 第二コリント2章は赦しと回復を中心に語る章である。
- パウロは涙をもって教会を愛した。
- 教会の戒めは悔い改めへ導くために与えられる。
- 悔い改めた者は赦しと慰めを受けるべきである。
- 赦しを拒み続けることも危険である。
- パウロは教会のために深く心を痛めていた。
- 信徒はキリストの勝利の行列に加えられている。
- 教会は世に対してキリストの香りとなる。
- 福音は人々に異なる反応をもたらす。
「キリストによって赦された者たちは、悔い改める者を受け入れ、回復へ導きながら、勝利されたキリストの香りを世に現して歩むべきである」

