第二コリント 3章 御霊による新しい契約(3:1-18)
背景
① 使徒職への批判への応答
2章の終わりでパウロは、自分が神の前で誠実に福音を語っていることを述べた。
しかしコリント教会には、
- パウロの権威を疑う者
- 推薦状を重視する者
- 外面的な資格を評価する者
が存在していた。
そこでパウロは、真の使徒職の証明とは何かを語り始める。
② ユダヤ主義的教師との対立
反対者たちは、
- モーセの律法
- 推薦状
- 外面的権威
を重視していた可能性が高い。
パウロは、新しい契約の奉仕者としての務めを強調する。
③ 新しい契約のテーマ
この章の中心は、エレミヤ31章で預言された「新しい契約」である。
④ モーセとの比較
パウロは、
- 石の板に刻まれた契約
- 御霊によって心に記される契約
を対比しながら、キリストによる新しい契約の栄光を説明する。
この章は新約聖書における「新しい契約神学」の最重要箇所の一つであり、ヘブル書とも深く結び付いている。
1. あなたがた自身が推薦状である(3:1-3)
① 推薦状は必要か
パウロは問いかける。
「私たちは再び自分を推薦し始めるのでしょうか。」
当時の巡回教師たちは、推薦状を持って活動することが一般的であった。
② コリント教会そのものが証明
パウロにとって、最大の推薦状はコリント教会であった。
③ 心に記された手紙
信徒たちは、パウロの働きの証しとして存在していた。
④ キリストの手紙
教会は、「キリストの手紙」である。
⑤ 御霊によって書かれた手紙
この手紙は、
- 墨によらず
- 石の板によらず
- 生ける神の御霊によって
書かれたのである。
真の福音の証明は資格や肩書きではなく、変えられた人々の存在である。
2. 新しい契約の奉仕者(3:4-6)
① 神に対する確信
パウロの確信は、自分の能力から来たものではなかった。
② 神から与えられる資格
奉仕の資格は、神によって与えられる。
③ 新しい契約の奉仕者
神はパウロたちを、新しい契約の奉仕者としてくださった。
④ 文字と御霊
ここで有名な言葉が語られる。
「文字は殺し、御霊は生かします。」(NASBからの翻訳)
⑤ 律法と御霊
律法そのものが悪いのではない。
しかし人間は律法によって義とされることはできない。
命を与えるのは御霊である。
この箇所は旧約聖書を否定しているのではない。
律法による義ではなく、御霊による救いを語っている。
3. 古い契約と新しい契約の栄光(3:7-11)
① モーセの顔の栄光
シナイ山から下りた時、モーセの顔は神の栄光によって光っていた。
② 律法の栄光
律法も神から与えられたものであり、確かに栄光を持っていた。
③ しかし一時的であった
その栄光は、やがて消えていくものであった。
④ 御霊の務めの栄光
それに対して、御霊による務めはさらに大きな栄光を持つ。
⑤ 義の務め
律法は罪を示した。
しかし新しい契約は、キリストによる義を与える。
⑥ 永続する栄光
古い契約の栄光が大きかったなら、新しい契約の栄光はなおさら偉大である。
補足:律法は人を罪へ定める働きを持つが、福音は人を義とする働きを持つ。
4. 取り除かれた覆い(3:12-16)
① 大胆な奉仕
パウロは大きな希望を持つため、大胆に語ることができる。
② モーセの覆い
モーセは顔の栄光を覆いで隠した。
③ 心の覆い
しかし今問題となっているのは、顔の覆いではなく心の覆いである。
④ 律法を読む時の覆い
キリストを拒む時、人の心は覆われたままである。
⑤ キリストによる解放
しかし、
「主に向くなら、覆いは取り除かれます。」
のである。
⑥ 福音の光
キリストが見える時、神の真理も明らかになる。
救いとは単なる情報の理解ではなく、心の覆いが取り除かれる霊的な出来事である。
5. 主の栄光に変えられていく(3:17-18)
① 主は御霊である
パウロは、御霊の働きの重要性を語る。
② 御霊のあるところに自由がある
有名な言葉が語られる。
「主の御霊のあるところには自由があります。」(NASBからの翻訳)
③ 新しい契約の自由
これは罪からの自由、律法による罪責からの自由を意味する。
④ 栄光を見る者たち
信徒は、覆いのない顔で主の栄光を見つめる。
⑤ 栄光から栄光へ
そして、キリストの姿へと変えられていく。
⑥ 聖化の働き
この変化は、人間の努力だけによるものではない。
御霊ご自身の働きによるのである。
新しい契約の目的は罪の赦しだけではない。
信徒がキリストのかたちへ変えられていくことである。
神学的意味
① 新しい契約は御霊による契約である
- 石の板ではなく
- 心に書かれ
- 内側を変える
契約である。
② 信徒はキリストの手紙である
- 福音を語るだけでなく
- 福音を生きる
- 証しとして存在する
よう召されている。
③ 義は律法ではなくキリストによる
- 行いによらず
- 恵みにより
- 信仰による
のである。
④ キリストは覆いを取り除かれる
- 真理を明らかにし
- 心を開き
- 神を知らせてくださる
方である。
⑤ 御霊は信徒を変えていかれる
- 少しずつ
- 栄光から栄光へ
- キリストの姿へ
変えてくださる。
⑥ 自由は新しい契約の祝福である
- 罪からの自由
- 罪責からの自由
- 神との交わりへの自由
が与えられている。
⑦ キリストとの関係
キリストは、
- 新しい契約の仲保者
- 律法を成就された方
- 覆いを取り除かれる主
- 信徒を栄光へ導く救い主
である。
信徒は御霊によってキリストを見つめる時、その姿に似た者へと変えられていくのである。
まとめ
- 第二コリント3章は新しい契約の栄光を教える章である。
- コリント教会そのものがパウロの推薦状であった。
- 神はパウロを新しい契約の奉仕者として召された。
- 律法は罪を示すが、御霊は命を与える。
- 新しい契約は古い契約よりさらに大きな栄光を持つ。
- キリストに向く時、心の覆いは取り除かれる。
- 主の御霊のあるところには自由がある。
- 信徒はキリストの栄光を見つめる者とされている。
- 御霊は信徒をキリストの姿へと変えていかれる。
「キリストによって始まった新しい契約において、信徒は御霊によって内側から変えられ、自由の中でキリストの栄光を反映する者へと造り変えられていく」

