収税人(しゅうぜいにん)【用語集】
ローマ帝国の税を集める人々
収税人とは、ローマ帝国の支配下で税金を徴収していた人々のこと。
新約聖書では単なる税務職員ではなく、罪人・裏切り者・社会から嫌われた人々の代表として登場することが多い。
1. 収税人とは何をしていたのか
ローマ帝国は、属州から税金を集めるために民間人へ徴税業務を委託していた。
収税人は、
- 人頭税
- 関税
- 通行税
- 商取引税
などを徴収していた。
当時は徴収額に上乗せして利益を得る仕組みが一般的だったため、
- 不正請求
- 恐喝
- 賄賂
が頻繁に行われていた。
2. なぜ収税人は嫌われていたのか
✔ ローマ帝国に協力していた
ユダヤ人にとってローマは支配者であり、異邦人の国家だった。
そのため収税人は、
「同胞を苦しめて敵国に協力する裏切り者」
と見なされた。
✔ 不正で利益を得ていた
収税人の多くは富裕層になったが、その富は不正によるものと考えられていた。
そのため、
- 罪人
- 遊女
- 異邦人
と同列に扱われることが多かった。
3. イエスと収税人
福音書の特徴の一つは、
イエスが収税人を拒絶しなかったこと
である。
✔ レビ(マタイ)の召命
マタイは収税所にいたが、イエスは
「わたしに従いなさい」
と呼びかけた(マタイ9章)。
マタイは収税人から弟子となった。
✔ ザアカイの回心
ザアカイは裕福な収税人だったが、
イエスとの出会いによって
- 不正に得た物を返す
- 貧しい人に施す
ようになった(ルカ19章)。
✔ 「収税人と罪人の友」
宗教指導者たちは
「この人は収税人や罪人を受け入れて食事をしている」
とイエスを非難した。
しかしイエスは、
「医者を必要とするのは健康な人ではなく病人である」
と答えられた。
4. 収税人が象徴しているもの
福音書において収税人は、
単なる職業ではなく、
「神から遠ざかっていると見なされた人間」
を象徴している。
ところがイエスは、
宗教的に正しいと考えられていた人々よりも、
収税人や罪人に神の国が近づいていることを示された。
5. 一般的な公務員との違い
現代の日本で「税務署職員」と聞くと、
公的な職務を果たす人を想像する。
しかし新約時代の収税人は、
✔ 現代の税務職員
- 公務員
- 法律に基づく徴税
- 社会的信用がある
✔ 聖書時代の収税人
- ローマの代理人
- 私的利益を得る徴税請負人
- 裏切り者と見なされた
- 社会的に嫌われていた
収税人は単なる税の担当者ではなく、当時のユダヤ社会では「罪人の代表」のような存在だった。
一言でまとめると
収税人とは、ローマ帝国のために税金を徴収していた人々であり、ユダヤ社会では裏切り者や罪人と見なされていた。
しかしイエスは彼らを拒絶せず、神の愛と救いの対象として受け入れられた。
収税人の存在は、「神の恵みが最も見捨てられた人にも及ぶ」ことを示している。

