へブル2章 救いの創始者(2:1-18)
背景
① 御子の卓越性から救いの働きへ
へブル1章では、イエス・キリストが御使いたちにまさる神の御子であることが語られました。
2章では、その偉大な御子がなぜ人となり、苦しみを受けられたのかが説明されます。
② 信仰から離れかけていた人々
読者たちは迫害や困難の中で、福音から離れる危険に直面していました。
そのため著者は、この偉大な救いを軽んじてはならないと警告します。
③ 人となられたキリスト
へブル2章の中心は、神の御子が私たちと同じ人間となり、苦しみを経験されたことです。
④ 本章の中心テーマ
へブル2章の主題は、
「キリストは人となり、苦しみを通して救いを完成された」
ということです。
1. 偉大な救いを軽んじてはならない(2:1-4)
① 聞いたことに注意する
著者は福音から流されないよう警告します。
② 御使いを通して与えられた律法
旧約の律法でさえ軽視できないものでした。
③ さらに偉大な救い
まして主ご自身によって語られた福音はなおさらです。
④ 福音の証明
神はしるしや奇跡、聖霊の賜物によって福音を証しされました。
⑤ 応答の責任
大きな救いには真剣な応答が求められます。
福音は聞くだけでなく、信仰によって受け取るべきものです。
2. 人となった救い主(2:5-9)
① 来たるべき世界
神は将来の世界を御使いではなく人に委ねるご計画を持っておられます。
② 人間の本来の使命
著者は詩篇8篇を引用し、人が神の創造の支配を委ねられていたことを示します。
③ 現在の現実
しかし罪のために、その支配は完全には実現していません。
④ イエスを見る
そこで著者は、
「ただ、私たちはイエスを見ています」
と語ります。
⑤ 一時的に御使いより低くなられたお方
キリストは受肉によって人となられました。
⑥ 死の苦しみ
すべての人のために死を味わってくださいました。
⑦ 栄光と誉れの冠
苦難の後に栄光を受けられました。
キリストは失われた人間の使命を回復される第二のアダムです。
3. 救いの創始者としてのキリスト(2:10-13)
① 多くの子らを栄光へ導く
神は多くの人々を救いへ導こうとしておられます。
② 苦しみによる完成
キリストは苦しみを通して救いの創始者となられました。
③ 聖める者と聖められる者
キリストと信徒は同じ家族とされています。
④ 兄弟と呼ばれる
キリストは私たちを兄弟姉妹と呼ばれることを恥とされません。
⑤ 連帯する救い主
キリストは私たちと深く結び付いておられます。
救いは遠くから与えられたものではなく、共に歩まれたお方による救いです。
4. 死に勝利された大祭司(2:14-18)
① 血肉を共有された
キリストは完全な人間となられました。
② 悪魔の滅び
死によって死の力を持つ悪魔を滅ぼされました。
③ 死の恐れからの解放
人々を奴隷状態から解放してくださいました。
④ アブラハムの子孫を助ける
キリストの救いは信じる者に向けられています。
⑤ 憐れみ深い大祭司
主は私たちの弱さを理解しておられます。
⑥ 罪のためのなだめ
十字架によって罪の問題を解決してくださいました。
⑦ 試みを受けたお方
ご自身が苦しみを経験されたので、苦しむ者を助けることがおできます。
キリストは遠い救い主ではなく、私たちの苦しみを知る救い主です。
神学的意味
① キリストは完全な神であり完全な人です
御子は神でありながら、人となってくださいました。
② 救いはキリストの受肉によって実現しました
神は人を救うために人の世界へ入って来られました。
③ 十字架は勝利です
死そのものを通して死と悪魔に勝利されました。
④ キリストは救いの創始者です
救いの道を最初に切り開かれたお方です。
⑤ キリストは憐れみ深い大祭司です
信徒の弱さや苦しみを理解しておられます。
⑥ 苦難は無意味ではありません
キリストご自身も苦しみを経験されました。
⑦ キリストとの関係
キリストは、
- 救いの創始者
- 第二のアダム
- 憐れみ深い大祭司
- 死に勝利された主
です。
へブル2章は、神の御子が人となり、苦しみと死を通して完全な救いを成し遂げられたことを教えています。
この箇所が私たちに語ること
① 救いを軽く考えない
私たちは福音を聞き慣れると、その価値を見失うことがあります。
しかしへブル書は、この救いが計り知れない価値を持つことを思い起こさせます。
② 苦しみの中でもイエスを見る
著者は「私たちはイエスを見ています」と語ります。
状況ではなく主を見ることが、信仰を保つ力になります。
③ キリストは私たちを理解しておられる
主は人間の痛みや悲しみを知らないお方ではありません。
試練や誘惑を経験されたので、私たちを深く理解してくださいます。
④ 死への恐れから自由にされる
多くの人が死への恐れを抱いています。
しかしキリストは死に打ち勝たれました。
信徒は復活の希望を持って生きることができます。
⑤ 主は兄弟として受け入れてくださる
キリストは私たちを兄弟姉妹と呼ばれることを恥とされません。
この事実は神の家族としての大きな慰めを与えます。
⑥ 苦難の先には栄光がある
キリストは苦難を通って栄光へ入られました。
私たちも苦難だけで終わるのではなく、神が備えておられる希望へ向かっています。
⑦ 助けを求めることができる
試みに遭う時、私たちは一人ではありません。
主は苦しむ者を助けることがおできになるからです。
この章の中心メッセージ
神の御子イエス・キリストは人となり、苦しみと死を通して救いを完成されました。
そして今も憐れみ深い大祭司として、苦しみの中にある信徒を助けてくださいます。
へブル2章は、救いの創始者であるキリストを見上げ、この偉大な救いに堅く立つよう教えています。
「キリストは、多くの子たちを栄光に導くために、苦しみを通して彼らの救いの創始者を完成させるのにふさわしかったのです。」(へブル2:10)

