創世記17章 アブラムからアブラハムへ

アブラムからアブラハムへ

アブラムは99歳になりました。
最初に神さまがアブラムの元に現れて、「あなたを大いなるものとする」という約束がされてから24年の月日が経っていました。
75歳の時点で、これから子どもが生まれるなんていう話しは信じがたいものがありますが、99歳になった今、もう不可能だろうと思うような状況です。

そんな折、神さまはアブラムの元に現れてこのように言いました。

創世記 17:4 「これが、あなたと結ぶわたしの契約である。あなたは多くの国民の父となる。
17:5 あなたの名は、もはや、アブラムとは呼ばれない。あなたの名はアブラハムとなる。わたしがあなたを多くの国民の父とするからである。

ついに、約束が果たされて子どもが授かる時が来ました。
そのために、アブラムはこれからアブラハムという名前に変わると言われています。
名前の意味も「高貴な父」という名前から、「多くの国民の父」という意味に変えられます。

「ハ」という言葉が名前の中に挿入されますが、「ハ」は神さまの息、聖霊を表しています。
神さまの息、命を吹き込まれて、「これからのあなたは今までと同じではない」という意味として、この名前は授けられたのでしょう。

妻のサライも、「イ」が取り去られてサラとなります。
これは、名前の意味が「私の女王」から、「女王」という名前に変わったことになります。
「私の」という個人的なことばが取り除かれて、ある意味では普遍的な意味を持つ名前になったことになります。
「多くの国民の父」となったアブラハムに相応しい妻の名前ですね。

割礼

アブラハムには、改めて3つのことが約束されました。

  1. アブラハムの子孫は増え広がり、いくつもの民族となる(6節)
  2. 契約は子孫たちにも引き継がれ、子孫たちも守る(7節)
  3. カナンの地を子孫たちの所有の土地として与える(8節)

そして、その契約のしるしとして、割礼を施すようにと命じます。

割礼と言うのは、男性器の包皮を切除するということで、つまりは包茎手術ですね。
生まれた子どもの8週間目に行われ、包皮が取り除かれているということがアブラハムの子孫であることのしるしとなりました。

じゃあ、包茎手術がされていたらアブラハムの子孫ということになるのかと言うと、もちろんそんなことはありません。
ちなみにいうなら、これはヘブル人だけに見られる習慣ではなく、これ以前からいくつかの民族で見られた習慣のようです。

この時「割礼」がしるしとして選ばれた理由の一つは、アブラハムたちにとって判りやすいことだったということはあると思います。
そして、「包皮を切り捨てる」ということは「自分の肉的な行い(神さまから離れた自己中心的な行い)」を捨てるということを象徴する儀式でもありました。
割礼をしたからどう…ということではなく、割礼をされていることを通して、アブラハムの子孫としての自分を自覚することが大切なのです。

イサク

こんな約束が与えられたアブラハムは、神さまがこんな約束をして下さるなんて、何と素晴らしいことだと思ってことでしょう。
しかし、それでもなおアブラハムは信じ切ることができていなかったようです。

創世記 17:17 アブラハムはひれ伏して、笑った。そして心の中で言った。「百歳の者に子が生まれるだろうか。サラにしても、九十歳の女が子を産めるだろうか。」

「ありがたいなぁ」と思いながらも、心の中では「でも、そんなことあるわけないじゃん」と思っていたわけです。
そして、「神さまはイシュマエルのことを仰っているのだろう」と想像し、納得しようとしていました。

創世記 17:18 そして、アブラハムは神に言った。「どうか、イシュマエルが御前で生きますように。」

僕たちも、聖書に書かれていることが信じられず、「きっとこうだろう」と自分の常識に当てはめて理解しようとしてしまう傾向があります。
「そんなわけないよね」という考え方は、時として僕たちの信仰を邪魔してしまうことがあります。
神さまを自分の常識で計り、自分の知識で理解しようとしてしまうのです。
神さまが伝えようとしていることを吟味することは大切ですが、それが不信となっていないか、気をつける必要があります。

神さまは辛抱強く、アブラハムに伝えます。

創世記 17:19 神は仰せられた。「いや、あなたの妻サラが、あなたに男の子を産むのだ。あなたはその子をイサクと名づけなさい。わたしは彼と、わたしの契約を立て、それを彼の後の子孫のために永遠の契約とする。

こうして、アブラハムの約束の民であり、人類にとっては救い主の血筋となる子は、エリエゼルではなく、イシュマエルでもなく、これから生まれてくるイサクから与えられることが伝えられました。
それでも、この約束の子が生まれるまでにはもう少し時間がありました。

じらしますね~(笑)。