創世記28章 ヤコブのはしご

パダン・アラム

兄のエサウを騙して祝福を奪った形となったヤコブは、エサウの怒りを逃れるために、パダン・アラムに行くこととなりました。
パダン・アラムというのは、メソポタミヤの地域のことです。

メソポタミヤというとかなり範囲が大きいですが、この場合、親戚がいるのはリベカが生まれ育ったハランのことを指しています。

ハランには、リベカの兄であるラバンとその家族が住んでいました。
ヤコブは、叔父であるラバンを頼り、ハランへの旅に出たのです。

祝福を取り戻そうとするエサウ

長子としての祝福を失ったエサウは、ヤコブがいなくなってしまったため、エサウは怒りのやり場を失ってしまいます。
失った祝福を取り戻そうと必死になりますが、もちろんどうにもなりません。

以前は勝手にヒッタイト人の女性二人と結婚して両親を困らせていたエサウでしたが、少しでも気に入られるようと、叔父であるイシュマエルの娘たちを妻として迎えます。

そのことに関してイサクたちがどう思っていたかは書かれていませんが、イサクとイシュマエルの関係を考えると、これも決して喜ばれなかったのではないかと思います。
悪気はないのでしょうが、つくづく空気が読めない人なんだと思います。
そういう人、いますよね…。(;^_^A
かわいそうだとも思いますが、やることが根本的にずれてしまっているのです。

天からのはしご

さて、ハランへと向かったヤコブは、夜になると「ある場所」で一夜を過ごすことにします。
この「ある場所」とは、ルズという町の近くだったことが後で出てきます。

そこでヤコブは、一つの夢を見ます。
それは、天に続く一つのはしごが立てられていて、神の使いがそこを行ったり来たりしているという夢でした。
その時、ヤコブはこのような神さまの声を聞いたのです。

創世記 28:13 そして、見よ、【主】がその上に立って、こう言われた。「わたしは、あなたの父アブラハムの神、イサクの神、【主】である。わたしは、あなたが横たわっているこの地を、あなたとあなたの子孫に与える。
28:14 あなたの子孫は地のちりのように多くなり、あなたは、西へ、東へ、北へ、南へと広がり、地のすべての部族はあなたによって、またあなたの子孫によって祝福される。
28:15 見よ。わたしはあなたとともにいて、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、あなたをこの地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない。」

これは、かつてアブラハムが聞いた約束でした。
実は、イサクがこの声を聞いたとは書かれていませんが、その約束は確かにその子ヤコブへと引き継がれたのです。

重ねて言いますが、これは「ヤコブがエサウから祝福を奪い取ったから」ではありません。
これは神さまの計画であり、リベカには伝えられていたはずのことでした。
リベカとヤコブが策略を練ったことによって、ヤコブは故郷を離れることになり、その約束は遠のいてしまったようでもありましたが、その計画は必ず実現すると、神さまは約束してくださったのです。

目が覚めた後、ヤコブはそのことに感動し、ルズと呼ばれていたこの地を「ベテル」と名付けました。
カナンの地にイスラエルの民が移り住むと、この場所はベテルと呼ばれるようになります。