創世記31章 ラバンとの別離

国に帰りなさい

ラケルと結婚するために最初に約束した7年。
実際に結婚したのはレアだったということに気が付き、ラケルとの結婚のために再び約束した7年。
そして、家畜などの報酬を受け取るために働いた6年。
ヤコブは合計20年をラバンの元で過ごしました。
そんなある時、ヤコブは神さまの声を聞きます。

創世記 31:3 【主】はヤコブに言われた。「あなたが生まれた、あなたの父たちの国に帰りなさい。わたしは、あなたとともにいる。」

しかし、ラバンがそれを快く思わないことは分かっていました。
ヤコブは妻や子供たちを集め、こっそり逃げ出すことを決意したのです。

テラフィム

3日間の時間を稼いだヤコブたちでしたが、後から追ってきたラバンたちに捕まってしまいます。
ヤコブとしては腹を据えてラバンと向き合うしかありません。

しかしそこには、一つ問題がありました。
それは、ラケルが父ラバンが持っていたテラフィムを持ってきてしまっていたのです。

テラフィムというのは、天使を表す言葉だったりもしますが、ここでは偶像です。
どうしてラケルが実家の偶像を持ってきてしまったのかと言うと、それはその家の財産権を証明する役割を果たすものでもあったからです。
ラバンが死んだ後にでも、財産権を主張するつもりだったんでしょうね。
意外としっかりものです。

日本で言えば、実家の印鑑を持ちだしたようなものかなぁを思いますが、テラフィムは人と同じくらいの大きさがある物もありました。
ラバンに追及されたときに尻の下に敷いてやり過ごしていますから、幸いにもラバンの家のものはそこまで大きくなかったようですね。

ミツパ

ラバンの追求をなんとかやり過ごしたヤコブたちですが、二人の間には互いに害を与えないという契約が結ばれます。

創世記 31:46 ヤコブは自分の一族に言った。「石を集めなさい。」そこで彼らは石を取り、石塚を作った。彼らは石塚のそばで食事をした。
31:47 ラバンはそれをエガル・サハドタと名づけたが、ヤコブはこれをガルエデと名づけた。
31:48 そしてラバンは言った。「この石塚は、今日、私とあなたの間の証拠である。」それゆえ、その名はガルエデと呼ばれた。
31:49 また、それはミツパとも呼ばれた。彼がこう言ったからである。「われわれが互いに目の届かないところにいるとき、【主】が私とあなたの間の見張りをされるように。

ミツパというのは「見張り」という意味の言葉です。

20年間ともに過ごしたヤコブとラバンは、この時から完全に断絶することとなりました。
そしてこれから、さらなる試練がヤコブを待っているのです。