出エジプト記18章 イテロの助言

祭司イテロ

モーセ達は、妻のツィポラ、ツィポラの父でミディアンの祭司であるイテロ、モーセの子どもたちゲルショムとエリエゼルと再会します。
エリエゼルは初登場ですから、出産のためにツィポラは一度実家に帰っていたのかもしれませんね。
実際、エリエゼルという名前は「私の父の神は私の助けであり、ファラオの剣から私を救い出された」というところからつけられましたから、出エジプトの後に生まれた子どもなのでしょう。

さて、彼らがエジプトから出てきたいきさつを聞いたイテロは、そのことに感動し、このように言います。

出エジプト 18:10 イテロは言った。「【主】がほめたたえられますように。主はあなたがたをエジプト人の手とファラオの手から救い出し、この民をエジプトの支配から救い出されました。
18:11 今、私は、【主】があらゆる神々にまさって偉大であることを知りました。彼らがこの民に対して不遜にふるまったことの結末によって。」

異邦人ミディアンの祭司であるイテロが、イスラエルの神を褒め称えてこのように言ったのですから、すごいことですよね。
でも人は、このようにして神さまと出会い、神さまを求めていくものだとも思うのです。

僕たちは多くの場合、説明や説得によって伝道して、誰かに神さまを信じてもらおうとするのではないでしょうか?
でも聖書では、そうではなく、そこに現れる力や不思議を目の当たりにすることによって、人々は神さまを信じるようになるのです。

僕たちも、神さまの御業を見せることによって福音を伝えていくものでありたいですね。
そのためには、まずは僕たち自身が神さまの御業を体験していく必要があります。
そこにどんな御業が表されるべきなのかは、すべて神さまご自身が教えてくださいます。
神さまに聞き、従いながら、そこに現れる神さまの御業を、一緒に体験していきたいものだと思います。

イテロの助言

モーセがイスラエルの指導者として働く様子を見て、イテロは娘婿のことが心配になったようです。
彼は、モーセにとって大切な助言をします。

出エジプト 18:19 さあ、私の言うことを聞きなさい。あなたに助言しましょう。どうか神があなたとともにいてくださるように。あなたは神の前で民の代わりとなり、様々な事件をあなたが神のところに持って行くようにしなさい。
18:20 あなたは掟とおしえをもって彼らに警告し、彼らの歩むべき道と、なすべきわざを知らせなさい。
18:21 あなたはまた、民全体の中から、神を恐れる、力のある人たち、不正の利を憎む誠実な人たちを見つけ、千人の長、百人の長、五十人の長、十人の長として民の上に立てなさい。
18:22 いつもは彼らが民をさばくのです。大きな事件のときは、すべてあなたのところに持って来させ、小さな事件はみな、彼らにさばかせて、あなたの重荷を軽くしなさい。こうして彼らはあなたとともに重荷を負うのです。

僕たちは、何でも一人でやってしまうという失敗をしてしまいがちです。
教会では、牧師が全てのことをやってしまっています。
リーダーが人に任せるということが苦手だったり、ついて行く人たちはリーダーにすべてをゆだねてしまうという傾向が、日本人にはあるように思います。
結果として、リーダーが全てを背負いすぎてつぶれてしまったり、リーダー以外の人たちは何もしないで要求ばかりするという、出エジプト後のイスラエルのような状況が起こっているのです。

全ての人たちが何でもできるというわけでは、確かにないかもしれません。
でも、全ての人にできることはあるし、その中にもリーダーととなれる人たちがいます。
そういう人たちと責任を分かち合いながら行動すれば、リーダーは本当にするべき働きに集中することができて、群れは良い方向に進むのです。

そういう意味で、僕たち現代の教会も、イテロのアドバイスから受け取れることがたくさんありそうですね。