出エジプト記 21章 社会法(奴隷・暴力)(21:1-36)
これは、十戒の「隣人を愛する」戒めが、社会の中でどう具体化されるかを示すものです。
1. 奴隷に関する法(21:1–11)
まず、最初に強調すべきことがあります。
聖書の「奴隷」は近代の奴隷制度とは全く異なる。
古代イスラエルの奴隷制度は、 「借金返済のための一時的な労働契約」に近いものです。
✦ ① 奴隷は6年で自由になる(21:2)
「6年働いたら、7年目に自由にする。」
これは、 人間は永遠に所有されない という神の宣言です。
当時の世界では、 奴隷は一生奴隷でした。 イスラエルはそれを完全に否定します。
✦ ② 奴隷の人格の尊重(21:3–6)
奴隷が結婚して家族を持つ場合の扱いが細かく規定されます。
これは、 奴隷も家族を持つ人格的存在である という価値観を示します。
✦ ③ 女奴隷の保護(21:7–11)
女性が「身売り」されるケースがありましたが、 神はその女性を徹底的に守ります。
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夫は彼女を軽んじてはならない
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権利を奪ってはならない
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食事・衣服・婚姻の権利を守る
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これらを怠れば、女性は自由にされる
これは、 弱者保護の徹底です。
2. 暴力と傷害に関する法(21:12–27)
ここでは、十戒の「殺すな」が社会法として具体化されます。
✦ ① 故意の殺人は死刑(21:12)
「故意に人を殺した者は死刑。」
これは、 命は神の所有である という原則の社会的適用です。
✦ ② 過失致死は逃れの場所へ(21:13)
故意ではない場合、 「逃れの町」が用意されます。
これは、 正義と憐れみのバランスです。
✦ ③ 親を打つ者・呪う者は死刑(21:15,17)
これは第五戒の具体化。
家族の秩序は社会の基盤であり、 それを破壊する行為は重大な罪とされます。
✦ ④ 人身売買は死刑(21:16)
「人を誘拐する者は死刑。」
これは、 近代の奴隷制度を完全に否定する原則です。
✦ ⑤ 傷害の賠償(21:18–19)
暴力によって人が傷ついた場合、 加害者は治療費と休業補償を支払います。
これは、 隣人の生活を守るための社会的責任です。
✦ ⑥ 奴隷への暴力(21:20–21)
ここは誤解されやすい箇所ですが、 文脈を理解することが重要です。
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奴隷を殺した場合 → 罰せられる
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しかし「すぐに死ななかった場合」→ 裁きは軽減される
これは、 奴隷が「財産」であるという当時の社会構造を前提にしつつ、 暴力を制限し、殺害を禁じるための法です。
イスラエルは、 当時の世界の中で最も奴隷を保護した社会でした。
✦ ⑦ 妊婦への暴力(21:22–25)
ここは有名な「目には目を」の箇所です。
「目には目、歯には歯。」
これは復讐の許可ではなく、 過剰な報復を禁じるための“比例原則”です。
当時は、 「目を傷つけられたら命を奪う」 という過剰報復が一般的でした。
神はそれを禁じます。
3. 動物による傷害と賠償責任(21:28–36)
ここでは、 「牛が人を突いて殺した場合」の法が示されます。
✦ ① 牛が人を殺した場合(21:28)
牛は殺されます。
しかし、持ち主は罪に問われません。
✦ ② 牛が以前から危険だった場合(21:29)
持ち主は責任を負います。
これは、 危険管理の責任です。
✦ ③ 奴隷が殺された場合(21:32)
主人は「銀30シェケル」を支払います。
これは、 奴隷の命の価値を「貨幣化」することで、 暴力を抑制するための法的枠組みです。
4. まとめ
出エジプト記21章は、 十戒の原則が社会生活にどう適用されるかを示す章です。
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奴隷の保護
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暴力の抑制
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弱者の保護
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賠償責任
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正義と憐れみのバランス
神の民は、 社会の中で神の性質(義・憐れみ)を体現する共同体であることが示されています。


