出エジプト記21章 さまざまな規定(1)

目次

律法

十戒に引き続き、神さまの定める律法について記されています。
この部分は、律法の中でも社会的な法律にあたる部分で、社会に秩序をもたらすためのものです。
人間の中にある本質的な「罪」を取り扱っているものではなく、もっと実際的な社会のルールです。

現代に生きる僕たちは、これを「決まり」として現代に当てはめるのではなく、この背景にある価値観を読み取って適用する必要があります。
この時代の中東文化と、現代の日本の文化では背景が全く違うからです。

言ってみれば、十戒で示されていた律法を実社会に当てはめて法律にしたものがこの辺りに書かれていることですね。

奴隷に関する規定

さて、最初は奴隷に関しての規定です。
21章2~11節で、奴隷に関することが書かれています。
ここで「奴隷」として書かれている存在は、当時の社会の中でもかなり異例のことだったと思います。

第一に奴隷としての期間が限定されていたこと。(2節)
エジプトで彼らがどのような扱いを受けていたかということを考えれば、ありえないことだったことがわかりますよね。

第二に、奴隷であっても家族を持つ権利が与えられていたこと。(3節)
当時の社会では、奴隷は家畜と同じだったので、子どもの所有権などは主人にありました。
しかし、妻や生まれた子どもは彼ら自身に属しています。
奴隷は主人の元で労働はしていても、人権が認められるということです。

第三に、留まりたければ留まることもできるということです。(5~6節)
奴隷として仕えていれば、経済的には主人に養われます。
当時の社会では、そうでなければ生きていけない人たちもいました。
そういう人たちを守るという価値観が、ここにはあったことがわかります。

さらに、7~11節では女奴隷に関する規定です。
一夫多妻制が当たり前で、物や家畜のような扱いを受けていた女奴隷を守るための規定があったということです。
当時の社会では画期的なことで、僕たちも女性を保護し、人権を守ることが大切だということがわかります。

殺してはならない

12~27節までは、殺人や傷害に関する規定です。
命には命を、傷害には傷害をもって償わなければならないというのが、定められたことでした。
これは、復讐することが目的なのではなく、力や立場の弱い人たちが守られるための規定です。

28~36節は事故に関する規定となっています。
自分が所有している動物が、誰かをケガさせたり殺してしまった場合にも規定があります。
わざとではない、あるいは自分自身がしたことではない場合にも、償いをしなければならないということが定められています。

事故を起こした牛が殺されなければならなかったり、損害賠償をしたりという形になりますね。