紀元一世紀の教会を訪れる(7)
アリストブルスは、みんなが食べ始めて沈黙が起こった隙を見て、リュシアスが今夜のうちに皆に話しておきたいことがある、と言った。
アキラは、彼が望むならすぐにそれを進めてもいいと、手で促した。
彼がそうしようとしたちょうどその時、外廊下でサンダルの音がした。
すぐに、それを脱いでスリッパに履き替える音がして、玄関に髭を生やした若い男が姿を現した。
遅れて到着したフェリクス
「やあ、フェリクス。よく来たね」と、アキラはソファーから声を掛けた。
その奴隷は、申し訳なさそうに、自分が遅れた理由を説明した。
「主人がガチョウを追うために、私を町の反対側まで遣わせたのです」彼は言った。「それが終わるのに夕方までかかってしまいました。」
「もちろん、そうだろうとも」と、アキラが言った。「君が来る前に始めてしまってすまなかったね。しかし、日が暮れてきたのでね。」
フェリクスは、戸口のところでまだためらっていた。
「もうしわけございません、アキラさま。夕食にもう一人分の席はありませんでしょうか?」
彼が手招きすると、彼よりもさらに若く、髭を生やした男がそっと前に出てきた。
「こちらはタイロと言います」フェリクスは続けた。「私の友人で、以前話していたのを覚えておいででしょうか? 私は彼に、主のことを何度も話していました。でも昨晩、今この町に来ている伝道者アンドロニキスと話をして、今まで聞いていたことが本当だったのだと、突然理解したのです。彼はすぐにティベル川(中身を考えるとゾッとしますが)で洗礼を受けました。そして、仕事が終わるとすぐにやってきて、何が起きたかを教えてくれたのです。彼を連れてきても構わないのではないかと思いまして…。」
アキラはソファから立ち上がると、真っすぐに新来者のところへ行き、彼を抱きしめた。
「歓迎するどころの騒ぎじゃないよ。」彼は言った。「大歓迎さ。そこに君の席を用意しよう。少しばかり窮屈かもしれないが、それくらいは構わないだろう?」
プリスカは、すでにキッチンから余分の料理を運んでくるところだった。
彼らが席に掛けると、「お食事を楽しんで」と彼女は言った。「質問する時間は後でたっぷりあるわ。今はみんなにあなたのことを紹介しておきますから、たっぷり召しあがってちょうだい。」
(つづく)
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