使徒2章 聖霊によって始まる教会の誕生

あらすじ

イエスの昇天後、弟子たちはエルサレムで聖霊の約束を待ちながら祈っていました。

五旬節(ペンテコステ)の日、弟子たちが集まっていると、

「激しい風が吹いて来るような響き」

が起こり、

「炎のように分かれた舌」

が一人ひとりの上にとどまりました。

そして弟子たちは聖霊に満たされ、さまざまな国の言葉で神の大きなみわざを語り始めます。

世界各地からエルサレムへ来ていたユダヤ人たちは驚き、戸惑いました。

その時ペテロが立ち上がり、この出来事は預言者ヨエルの預言の成就であると説明します。

さらに、

  • イエスは十字架につけられた
  • 神はその方をよみがえらせた
  • 今や主とキリストとして立てられた

と大胆に宣言しました。

その結果、多くの人々が心を刺され、

「私たちはどうしたらよいでしょうか。」

と尋ねます。

ペテロは、

「悔い改めて、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい。」

と勧めます。

その日、およそ三千人が仲間に加えられました。

そして彼らは、

  • 使徒たちの教え
  • 交わり
  • パン裂き
  • 祈り

に励み、最初の教会が誕生します。


背景

ペンテコステ(五旬節)は過越しから五十日後に祝われる祭りでした。

そのため世界中からユダヤ人たちがエルサレムへ集まっていました。

神はその日に聖霊を注がれました。

これは偶然ではありません。

シナイ山で律法が与えられたことを記念する時期に、今度は聖霊が与えられたのです。

旧約において神は石の板に律法を書かれました。

新しい契約においては、人々の心に聖霊を与えられます。

ここに新しい時代の始まりがあります。


聖霊降臨とは何か

使徒1章でイエスは、

「あなたがたは聖霊があなたがたの上に臨む時、力を受けます。」

と約束されました。

使徒2章はその成就です。

ここで重要なのは、聖霊降臨が単なる個人的体験ではないことです。

それは、復活され昇天されたキリストが王として即位し、その支配を地上に広げ始められたしるしなのです。

ペテロは後に、

「イエスが神の右に上げられ、父から約束の聖霊を受けて、今あなたがたが見聞きしているものを注がれた。」

と説明します(2:33)。

つまり聖霊降臨は、キリストの王権の現れなのです。


バベルの逆転

興味深いことに、使徒2章は創世記11章のバベルの塔と対照になっています。

バベルでは、

  • 人間の高慢によって言葉が分かれた
  • 民族が散らされた

出来事が起こりました。

しかしペンテコステでは、

  • さまざまな言語で福音が語られる
  • 諸国の人々が一つの福音を聞く

という逆転が起こります。

神の国は民族や言語の壁を越えて広がっていくのです。


ペテロの説教

ルカ福音書の終わりで、ペテロはイエスを三度否認しました。

しかしここでは別人のようです。

彼は大胆に立ち上がり、

「あなたがたが十字架につけたこのイエスを、神は主ともキリストともされた。」

と宣言します。

何が変わったのでしょうか。

ペテロ自身が強くなったのではありません。

聖霊が彼を満たされたのです。

使徒の働きは、人間の勇気の物語ではなく、聖霊の働きの物語です。


悔い改めと罪の赦し

人々はペテロの言葉に心を刺されました。

そこで、

「私たちはどうしたらよいでしょうか。」

と尋ねます。

ペテロは答えます。

「悔い改めなさい。そして罪の赦しのために、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい。」

ここでルカ福音書の最後に語られた、

「悔い改めによる罪の赦し」

が実際に宣べ伝えられ始めています。

十字架と復活によって備えられた救いが、今や全ての人へ開かれているのです。


教会の誕生

三千人が加えられた後、ルカは最初の教会の姿を描きます。

彼らは、

「使徒たちの教えを守り、交わりをし、パンを裂き、祈りをしていた。」

とあります。

教会はまず建物ではありません。

また制度でもありません。

復活された主を信じる人々の共同体です。

そしてその中心には、

  • みことば
  • 礼拝
  • 交わり
  • 祈り

がありました。


神の国とのつながり

ルカ福音書でイエスは、

「神の国が近づいた」

と宣言されました。

そして復活と昇天を経て、使徒2章ではその神の国が新しい段階へ入ります。

王であるキリストは天で支配しておられます。

そして聖霊によって、その支配が地上へ広がっていくのです。

だからペンテコステは単なる教会の誕生日ではありません。

神の国が世界へ広がり始める歴史的転換点なのです。


この章が私たちに語ること

私たちも弟子たちと同じように弱い存在です。

しかし神は、能力のある人を用いる前に、聖霊によって人を満たされます。

また教会の力は人間の組織力ではありません。

聖霊の働きです。

さらに、この章は福音が今も全世界へ向かっていることを教えています。

神の国はエルサレムに留まりませんでした。

そして今も、復活された主は聖霊によって働き続けておられるのです。


この章の中心メッセージ

ペンテコステの日、聖霊が注がれ、教会が誕生した。

これは昇天されたキリストが王として支配を開始されたしるしである。

神の国は聖霊の力によって世界へ広がり、悔い改めと罪の赦しの福音があらゆる人々へ宣べ伝えられていく。

「あなたがたは聖霊の賜物を受けるのです。」(使徒2:38)

「主は、救われる人々を日々仲間に加えてくださった。」(使徒2:47)