マタイの召命(マタイ 9:9)

「イエスはそこから進んで行かれ、マタイという人が収税所に座っているのを見て、『わたしについて来なさい』と言われた。すると彼は立ち上がってイエスに従った。」 

 

1. マタイとは誰か

マタイは「収税人」でした。 収税人はローマ帝国のために税を徴収する職業で、ユダヤ人社会では次のように見られていました。

  • 裏切り者(ローマの手先)

  • 不正を働く者(過剰徴収が横行)

  • 罪人の代表格

  • 宗教的に汚れた存在

つまり、マタイは社会的にも宗教的にも “最も遠ざけられた人” の一人でした。

 

2. イエスは「見て」語りかけた

「マタイという人が収税所に座っているのを見て」

イエスは、

  • 彼の職業

  • 彼の評判

  • 彼の過去

  • 彼の罪 を見たのではなく、 “彼という人”を見た と記されています。

これは、イエスの召命の特徴です。

イエスは、社会が貼ったラベルではなく、 その人の存在そのものを見て招く。

 

3. イエスの招きは短く、直接的

「わたしについて来なさい。」

イエスの招きは、

  • 長い説明も

  • 条件提示も

  • 過去の清算も ありません。

ただ一言、 「ついて来なさい」

これは、 行動の前に“関係”を求める招き です。

イエスはまず「正しく生きなさい」と言わず、 「わたしと共に歩みなさい」 と言います。

 

4. マタイは「立ち上がって」従った

「すると彼は立ち上がってイエスに従った。」

ここには二つの意味があります。

✦ ① 過去から立ち上がった

収税所は、

  • 不正

  • 利益

  • 過去の罪

  • 古いアイデンティティ の象徴でした。

マタイはそこから 立ち上がった のです。

✦ ② 新しい人生へ踏み出した

イエスに従うことは、 新しいアイデンティティへの移行 を意味します。

マタイは、 「罪人」から「弟子」へと呼び出されました。

 

5. マタイの召命は「恵みの象徴」

この場面は、イエスの召命の本質を示しています。

  • イエスは“ふさわしい人”ではなく“必要な人”を招く

  • 過去の清算よりも、未来への招きを優先する

  • 社会的に遠ざけられた者を中心に招く

  • 罪人を弟子に変える力を持つ

つまり、

マタイの召命は、神の恵みが“最も遠い人”に届くことを示す象徴的な場面。

 

6. マタイの召命は「次の物語(罪人との食事)」につながる

マタイが従った直後、 イエスは収税人や罪人たちと食事をします(9:10–13)。

これは、 マタイの召命が“罪人の回復”というテーマの入口になっている ことを示しています。

イエスは、 一人の罪人を招くだけでなく、 その人の周囲の罪人たちにも救いを広げていきます。

 

✨まとめ

マタイ9:9「マタイの召命」は、次のことを鮮やかに示しています。

  • マタイは社会的に最も遠ざけられた収税人だった

  • イエスは彼の存在そのものを「見て」招いた

  • 招きは短く、関係を求めるものだった

  • マタイは過去から立ち上がり、新しい人生へ踏み出した

  • この召命は神の恵みが罪人に届く象徴的な場面

  • 次の物語(罪人との食事)への重要な導入になっている

つまり、 マタイの召命は「恵みによる新しい人生の始まり」を描いた場面 として読むべき箇所です。