偽善への警告 (マタイ 23:13–36)

この部分は、イエスが宗教指導者たちの偽善を厳しく指摘する場面です。 「災い」とは、「あなたがたは深刻な間違いをしている」という強い警告の言葉です。

主題はとても明確です。

宗教的な形だけを守りながら、神の心から離れてしまう危険性。

イエスは、宗教指導者たちがどのように神の心から離れてしまったのかを、七つの例で示します。

 

1. 天の御国を閉ざす(23:13)

宗教指導者たちは、 自分たちも神の心に近づかず、 人々が神に近づくことも妨げていました。

わざわいだ、偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは人々の前で天の御国を閉ざしている。おまえたち自身も入らず、入ろうとしている人々も入らせない。

信仰を助けるはずの立場の宗教指導者が、逆に人を遠ざけてしまう。
 

2. 弟子を作っても、より悪い状態にする(23:15)

彼らは熱心に弟子を作りましたが、 その弟子たちも同じように形だけの宗教に陥りました。

熱心さがあっても、方向が間違っていれば人を傷つける。

 

3. 形だけの誓いを重視する(23:16–22)

彼らは「どの誓いが有効か」を細かく議論しましたが、 神の前で誠実であることが大切だという本質を見失っていました。

細かいルールにこだわりすぎて、心の誠実さを忘れてしまう。

 

4. 小さな規定は守るが、大事なことを無視する(23:23–24)

彼らは献げ物の細かい規定を守りながら、 神が本当に求めている「正義・あわれみ・誠実」を軽んじていました。

細部に忠実でも、中心を見失えば意味がない。

 

5. 外側はきれいだが、内側は汚れている(23:25–26)

彼らは外側の敬虔さを整えながら、 心の中は自己中心のままでした。

見た目の信仰と、心の信仰は別物。

 

6. 外側は白く塗られた墓のよう(23:27–28)

イエスはさらに強い言葉で、 彼らの外側の美しさと内側の腐敗を指摘します。

外側がどれほど立派でも、内側が神に向いていなければ空しい。

 

7. 預言者を殺した先祖と同じ道を歩む(23:29–36)

彼らは「昔の預言者を殺したのは悪い」と言いながら、 今まさに神の言葉を語るイエスを拒んでいました。

「それは、義人アベルの血から、神殿と祭壇の間でおまえたちが殺した、バラキヤの子ザカリヤの血まで、地上で流される正しい人の血が、すべておまえたちに降りかかるようになるためだ。」(マタイ 23:35)

義人アベル=創世記に記されているカインに殺されたアベル

ザカリヤ=歴代誌に記されている、主の宮でヨアシュ王に殺されたザカリヤ

ユダヤ教の聖書では歴代誌が最後の書であるため、「最初に殺されたアベルから最後に殺されたゼカリヤまで」 で聖書全体の殺人を意味します。

ただ、実を言うと「バラキヤの子ザカリヤ」と言えば本来ゼカリヤ書のゼカリヤを指します。

しかし、ここは文脈的に考えて歴代誌のゼカリヤであるというのが学者の共通する見解です。

「バラキアの子」という言葉は一部の写本にしかないため、後代の写字生は勘違いして書いたものだと理解されています。

イエスさまが言おうとしていたのは、「あなたがたは、これまでも神が遣わした者を殺してきた。そして今、その流れが私に向かっている。」ということです。

過去を批判しながら、同じ過ちを繰り返してしまう。

 

8. この箇所の主題

形だけの宗教に陥る危険性と、心の信仰の大切さ。

イエスは、宗教指導者たちを責めるためではなく、 弟子たち(そして私たち)が同じ道を歩まないように警告しています。

そしてもちろん、これは私たちに向けられた言葉でもあります。

教会は天の御国を閉ざし、悪い弟子たちを生み出し、形式ばかりを追い、外面ばかりを気にして内側が汚れてしまってはいないでしょうか?

 

9. まとめ(七つの災い 23:13–36)

七つの災いは、宗教的な形だけを守りながら、 神の心から離れてしまう危険性を示すイエスの強い警告。

宗教指導者たちは、

  • 神に近づこうとせず、人をも遠ざけ

  • 熱心さが方向を誤り、人を傷つけ

  • 細かい規定にこだわり、正義・あわれみ・誠実を忘れ

  • 外側だけ敬虔に見せ、内側は神に向いていない

  • 過去の過ちを批判しながら、同じ過ちを繰り返していた

イエスはこれらを通して、

信仰は外側ではなく、心である。 神の心に生きることこそ、神の国の本質である。

と教えている。