詩篇 139篇 すべてをご存じの神(139:1-24)
背景
① ダビデによる賛歌
- 表題には「ダビデの賛歌」と記されている。
- 詩篇139篇は詩篇の中でも最も深遠な神学的詩篇の一つである。
- 神の全知、遍在、創造、聖さが美しく歌われている。
② 神の全知と遍在
この詩篇には二つの大きな真理がある。
- 神はすべてをご存じである
- 神はどこにでもおられる
そしてその神が、
- 私たちを造り
- 私たちを導き
- 私たちを愛しておられる
ことが語られる。
③ 個人的な神への賛美
詩篇139篇は単なる神学論文ではない。
ダビデは、
「神は私を知っておられる」
という事実を喜びとして告白している。
④ 詩篇の主題
「神は私たちを完全に知っておられ、どこにいても共におられ、目的をもって造られた。」
ということである。
補足:
詩篇138篇が「主は私に関わることを成し遂げてくださる」と語ったなら、139篇はその理由が「神は私を完全に知っておられるからだ」と教えている。
1. 神は私を知っておられる(139:1-6)
① 神の全知
「主よ、あなたは私を探り、 私を知っておられます。」
- 神は私たちを完全に知っておられる。
- 何一つ隠せない。
- 神は表面だけでなく心も見ておられる。
② すべての行動を知る神
「私が座るのも立つのも。」
- 日常生活
- 行動
- 習慣
までも神はご存じである。
③ 思いさえも知る神
「私の思いを遠くから読み取られます。」
- 心の中
- 動機
- 願い
も神には明らかである。
④ 言葉の前に知っておられる
「私の舌にことばがないうちに。」
- 神は未来も知っておられる。
- 神は語る前から知っておられる。
- 神の知識は完全である。
⑤ 驚くべき知識
「その知識は私にとって不思議です。」
- 人間には理解し尽くせない。
- 神の知恵は無限である。
- 神は全知である。
補足:
詩篇147:5の「主の英知は測り知れない」という宣言と響き合う。
2. どこにいても共におられる神(139:7-12)
① 神の御霊から逃れられない
「私はどこへ行けましょう。」
- 神は遍在の神である。
- 神の臨在から離れられない。
- 神はどこにもおられる。
② 天にもよみにも
「天に上っても。」
「よみに床を設けても。」
- 最高の場所
- 最も深い場所
どちらにも神はおられる。
③ 海の果てでも
「海の果てに住んでも。」
- どれほど遠く離れても。
- どれほど孤独でも。
- 神は共におられる。
④ 暗闇も神には暗くない
「暗闇もあなたには暗くない。」
- 神には見えないものがない。
- 神には隠れた場所がない。
- 神はすべてを見ておられる。
⑤ 慰めとなる真理
- 逃げることもできない。
- しかし見捨てられることもない。
- 神はどこにいても共におられる。
補足:
詩篇23篇の
「死の陰の谷を歩むことがあっても」
という信仰をさらに深めた内容である。
3. 神は私を造られた(139:13-18)
① 母の胎における創造
「あなたは私の内を造り。」
- 命の起源は神である。
- 人は偶然ではない。
- 神の創造の作品である。
② 有名な告白
「私は恐ろしいほどに、 そして驚くほどに造られています。」
- 人間の尊厳。
- 神の創造の素晴らしさ。
- 命の価値。
が語られている。
③ 隠れた形成
「胎内で組み立てられた時。」
- 神は誕生前からご存じである。
- 神は命を設計された。
- 神は私たちを目的を持って造られた。
④ 人生の日々もご存じ
「私のために定められた日々。」
- 神は歴史を支配される。
- 人生は神の御手にある。
- 神の計画は完全である。
⑤ 神の思いの豊かさ
「その数は砂よりも多い。」
- 神の愛は尽きない。
- 神の計画は豊かである。
- 神の思いは測り知れない。
補足:
エレミヤ1:5の
「胎内で形造る前からあなたを知っていた」
という言葉を思わせる。
4. 神の聖さへの熱心(139:19-22)
① 急な調子の変化
ここで詩篇は突然、
「悪者を滅ぼしてください」
という祈りに移る。
② 神への愛
ダビデは個人的怒りではなく、
- 神の名誉
- 神の聖さ
- 神の栄光
を思って語っている。
③ 神への忠誠
「私は彼らを激しく憎みます。」
- 神に敵対する悪を拒絶する。
- 神の聖さに立つ。
- 神への忠実さを表す。
④ 神中心の視点
- 自己中心ではない。
- 神中心である。
- 神の義を願っている。
補足:
詩篇97篇の
「主を愛する者たちよ、悪を憎め」
という教えと重なる。
5. 私を探ってください(139:23-24)
① 有名な結び
「神よ、私を探り。」
- 他人ではなく自分を見つめる。
- 神の光に照らしていただく。
- 神の吟味を願う。
② 心を知ってください
「私の心を知ってください。」
- 動機を見てください。
- 思いを見てください。
- 真実を明らかにしてください。
③ 悪い道の確認
「私に傷のついた道があるか。」
- 罪がないか。
- 誤った歩みがないか。
- 神に逆らう心がないか。
を願っている。
④ 永遠の道へ導いてください
「永遠の道に導いてください。」
- 神の道。
- 義の道。
- 命の道。
への願いで終わる。
⑤ 信仰の成熟
- 神に知られている。
- 神に守られている。
- 神に導かれている。
という確信が結論となる。
補足:
詩篇25篇の「あなたの道を教えてください」という祈りの成熟した形とも言える。
神学的意味
① 神は全知の神である
- 心を知っておられる。
- 思いを知っておられる。
- 人生すべてをご存じである。
② 神は遍在の神である
- どこにもおられる。
- どこからも離れない。
- 常に共におられる。
③ 人間は神の創造の傑作である
- 偶然の存在ではない。
- 神の目的の中にある。
- 尊い存在である。
④ 神の聖さを愛するべきである
- 悪を憎む。
- 義を愛する。
- 神に忠実に歩む。
⑤ キリストとの関係
キリストは、
- 私たちを完全に知っておられる方
- インマヌエル(神が私たちと共におられる)
- 命の創造主
- 永遠の道そのもの
である。
イエスは、
「わたしが道であり、真理であり、いのちです」
(ヨハネ14:6)
と語られた。
まとめ
- 詩篇139篇はダビデによる神の全知と遍在を歌う詩篇である。
- 神は私たちの思いと言葉を完全に知っておられる。
- どこへ行っても神の臨在から離れることはない。
- 神は胎内で私たちを造られた。
- 人生の日々も神の御手の中にある。
- 神の思いは砂よりも多い。
- 神の聖さを愛し悪を退けるよう招かれる。
- 最後は「私を探り、永遠の道に導いてください」という祈りで終わる。
- この詩篇は、**「神は私たちを完全に知り、常に共におられ、愛をもって造られた。その神に自らを委ね、永遠の道へ導いていただくことが信仰の本質である」**という神学的教訓を示している。

