第一コリント 7章 主にあって召された状態で生きる(7:1-40)
背景
① コリント教会からの質問への回答
7章は、「あなたがたが書き送ってきた事柄についてですが」という言葉で始まる。
ここからパウロは、コリント教会から寄せられた質問に答えていることが分かる。
主なテーマは、
- 結婚
- 独身
- 離婚
- 再婚
である。
② 二つの極端な考え
コリント教会では、
- 性的不品行を容認する人々
- 結婚関係まで否定しようとする禁欲主義者
の両方が存在していたと思われる。
パウロはその両極端を避け、神の召しに従う生き方を教える。
③ 主に仕えることが中心
この章の主題は、「結婚するか独身か」ではない。
むしろ、「今置かれている状態でどのように主に仕えるか」。
④ 神の召しの尊厳
パウロは繰り返し、
「召された時の状態にとどまりなさい」
と教える。
救いは環境の変化によるのではなく、キリストとの関係によるからである。
この章は独身を結婚より優れたものと教えているのではない。
結婚も独身も神から与えられた召しであり、それぞれに価値があると教えている。
1. 結婚と夫婦の責任(7:1-7)
① 結婚は神の賜物
不品行が蔓延する社会の中で、結婚は神が与えられた守りである。
② 夫婦の相互責任
夫婦は互いに対して責任を負う。
- 夫は妻に対して
- 妻は夫に対して
誠実であるべきである。
③ 相互性の強調
当時としては驚くべきことに、パウロは夫にも妻にも同じ責任を求めている。
これは夫婦関係における相互尊重を示している。
④ 一時的な禁欲
祈りのために一定期間離れることは認められる。
しかし、再び共に生活するよう勧める。
⑤ 独身も賜物である
パウロ自身は独身であった。
しかし、
- 結婚も賜物
- 独身も賜物
であると語る。
聖書は結婚を軽視せず、同時に独身を欠陥とも見なしていない。
どちらも神の召しの中にある。
2. 独身者とやもめへの勧め(7:8-9)
① 独身の利点
パウロは、独身者ややもめに対して、自分のように独身でいることも良いと語る。
② 主への集中
独身生活には、家庭の責任から自由になり、主への奉仕に集中できる利点がある。
③ 欲望との戦い
しかし、独身生活が困難な人もいる。
④ 結婚の勧め
その場合、
「情欲に燃えるより結婚する方がよい」
と教えられる。
⑤ 現実的な牧会
パウロは理想論ではなく、各人に与えられた状態を考慮して勧めている。
ここは結婚を妥協案とする箇所ではない。
神が結婚という制度を与えられたことを前提に語られている。
3. 離婚についての教え(7:10-16)
① 主の命令
パウロはまず、主イエスの教えを引用する。
夫婦は離婚を求めるべきではない。
② 和解への努力
もし別れてしまったなら、
- 独身を守るか
- 和解を目指す
べきである。
③ 未信者との結婚
信仰者の中には、救われた後も未信者の配偶者と共に生活している人がいた。
④ 離れる必要はない
未信者の配偶者が共に住むことを望むなら、離婚する必要はない。
⑤ 信仰者を通して働く恵み
神は信仰者を通して家庭に働かれることがある。
そのため安易に家庭を壊してはならない。
⑥ 相手が去る場合
未信者が離れていくなら、無理に縛り付ける必要はない。
神は平和へ召しておられるからである。
この箇所は結婚生活の維持と平和の両方を重視している。
律法主義ではなく牧会的配慮が見られる。
4. 召された状態にとどまる(7:17-24)
① この章の中心テーマ
ここでパウロは章全体の重要原則を語る。
「各人は、召された時の状態にとどまりなさい。」
② 割礼の有無
ユダヤ人であることも、異邦人であることも、救いの条件ではない。
③ 奴隷と自由人
当時の社会には奴隷制度が存在した。
しかし、キリストにあっては共に神の民である。
④ 本当に重要なこと
重要なのは、社会的地位ではない。
神への従順である。
⑤ キリストによる贖い
信徒は、
「代価を払って買い取られた」
者たちなのである。
ここでパウロは現状維持主義を教えているのではない。
人生の価値を社会的立場によって決めてはならないと教えている。
主に仕える独身の利点(7:25-35)
① 現在の困難
当時は迫害や社会不安が広がりつつあった。
そのためパウロは慎重な勧めを行う。
② 結婚は罪ではない
結婚すること自体は全く罪ではない。
③ 地上の生活の一時性
この世の姿は過ぎ去る。
だから信徒は永遠を見据えて歩むべきである。
④ 心を分けない奉仕
独身者は、家庭の責任が少ない分、主への奉仕に専念しやすい。
⑤ 利益のための勧め
これは命令ではなく、信徒たちの益を願う助言である。
パウロは独身を霊的エリートの道として勧めているのではなく、主への献身という観点から語っている。
6. 婚約者とやもめへの助言(7:36-40)
① 結婚する自由
婚約者との結婚は許されている。
必要があるなら結婚してよい。
② 独身を守る自由
同時に、独身を守ることも良い選択である。
③ やもめの再婚
配偶者が亡くなった場合、再婚は認められている。
④ 主にある結婚
ただし、「主にあって」結婚することが求められる。
⑤ 最後の勧告
パウロは、独身でいる方がより自由に主へ仕えられる場合もあると述べて章を終える。
パウロの関心は結婚か独身かではなく、どちらの状態でも主への忠実さを保つことである。
神学的意味
① 結婚も独身も神の賜物である
- 優劣ではない
- 比較すべきでもない
- 神から与えられた召しである
② 信仰者の価値は立場で決まらない
- 既婚か独身か
- 奴隷か自由人か
- ユダヤ人か異邦人か
ではない。
③ 神は置かれた場所で働かれる
- 家庭において
- 職場において
- 社会において
信徒を用いられる。
④ 主への献身が最優先である
- 家族も大切
- 仕事も大切
- しかし主が第一である
⑤ この世は永遠ではない
- 現在の状態は一時的である
- 神の国は永遠である
- 信徒は永遠の視点を持つべきである
⑥ キリストによる贖いが人生の基礎である
- 身分を超え
- 環境を超え
- 召しを与える
恵みとなっている。
⑦ キリストとの関係
キリストは、
- 結婚者の主
- 独身者の主
- 家庭の主
- 教会の主
- 私たちを買い取られた贖い主
である。
信徒は自分の環境を誇るのではなく、キリストに属する者として与えられた召しを生きるのである。
まとめ
- 第一コリント7章は結婚と独身について教える章である。
- 結婚も独身も神の賜物である。
- 夫婦は互いを尊重し支え合うべきである。
- 離婚より和解が望まれる。
- 信仰者の価値は社会的立場では決まらない。
- 神は召された状態の中で働かれる。
- 独身には主への献身に集中できる利点がある。
- 結婚することも独身でいることも自由である。
- 重要なのは主への忠実さである。
「信徒は結婚や独身、社会的立場に価値を見いだすのではなく、キリストに贖われた者として、与えられた召しの中で主に忠実に仕えるべきである」


