執事(しつじ)【用語集】

執事とは、教会の実際的な必要に仕え、共同体を支えるために立てられた奉仕者である。

新約聖書において執事は支配する立場ではなく、仕える働きを担う者として描かれている。


1. 執事の意味

「執事」と訳されるギリシア語は ディアコノス(diakonos) で、

  • 仕える者
  • 奉仕者
  • 世話をする者

という意味を持つ。

もともとは特別な宗教用語ではなく、

人のために働く奉仕者

を表す一般的な言葉だった。


2. 執事の起源(使徒6章)

執事の原型は使徒6章に見ることができる。

初代教会が成長すると、

  • やもめへの配給
  • 貧しい人々への支援
  • 日常的な世話

に関する問題が発生した。

そこで使徒たちは、

「私たちは祈りと御言葉の奉仕に専念する」

として、評判の良い人々を選び、共同体の実務的な奉仕を委ねた。

ここから後の執事職へとつながる働きが始まった。


3. 執事の役割

執事の中心的な働きは、

✔ 教会の必要に仕える

  • 貧しい人を助ける
  • 困っている人を支える
  • 教会の実務を担う
  • 共同体を整える

✔ 一致を守る

執事は単なる事務担当ではなく、

教会の中で起こる問題に仕えながら、
共同体の一致と健全さを支える役割を持つ。

✔ 模範を示す

執事には高い人格が求められている。

テモテ第一3章では、

  • 尊敬に値すること
  • 誠実であること
  • 金銭に支配されないこと
  • 信仰に忠実であること

などが挙げられている。


4. 監督・長老との違い

新約では、

✔ 長老・監督

  • 教える
  • 導く
  • 見守る
  • 群れを牧する

✔ 執事

  • 仕える
  • 支える
  • 助ける
  • 実際的な必要に応える

という役割の違いが見られる。

ただし、上下関係ではなく、働きの違いである。


5. イエスと執事の精神

執事の働きの根底には、

イエスご自身の姿がある。

「人の子が来たのも、仕えられるためではなく、仕えるためである」 (マルコ10:45)

イエスは弟子たちの足を洗い、

神の国のリーダーシップが

  • 支配ではなく奉仕
  • 権威ではなく愛

によって成り立つことを示された。

執事は、その働きを具体的に表す存在である。


6. 執事は役職ではなく“奉仕の姿勢”でもある

新約では「ディアコノス」という言葉が、特定の役職だけでなく、広い意味での奉仕者にも使われている。

そのため執事は、単なる教会の役職名ではなく、

キリストに倣って人に仕える生き方

そのものを表す言葉でもある。


一言でまとめると

執事とは、教会の実際的な必要に仕え、共同体を支えるために立てられた奉仕者である。

その役割は支配することではなく、助け、支え、仕えることであり、イエスが示された「仕えるリーダーシップ」を具体的に表す働きである。