第一コリント 1章 十字架の知恵と教会の一致(1:1-31)
背景
① コリント教会の分裂問題
コリント教会には様々な問題が存在していたが、その中でも最初に取り上げられるのが「分派争い」である。
教会の中では、
- パウロ派
- アポロ派
- ケファ(ペテロ)派
- キリスト派
などのグループが生まれていた。
信徒たちはキリストではなく、人間の指導者を中心に結束し始めていたのである。
② ギリシア文化の影響
コリントはギリシア文化の影響が強い都市であった。
そのため人々は、
- 哲学
- 修辞学
- 知識
- 雄弁さ
を高く評価していた。
この価値観が教会にも入り込み、福音までも人間の知恵によって評価しようとしていた。
③ パウロの目的
パウロは教会の問題の根源が、「十字架から目を離していること」にあると見ていた。
そこで手紙の冒頭から、
- 教会の一致
- 十字架の福音
- 神の知恵
を語り始める。
④ 第一コリント全体の導入
1章は、
- 教会の一致
- 十字架の中心性
- 神の知恵と人の知恵
という第一コリント全体の土台を築いている。
コリント教会の最大の問題は不品行や礼拝の混乱だけではない。
根本には「キリストよりも人や自分を誇る心」があった。
1. キリストにある召しと感謝(1:1-9)
① 召された使徒パウロ
パウロは自らを「神のみこころによって召された使徒」と紹介する。
- 自分で選んだ職務ではない
- 神から与えられた召しである
- 神の権威による働きである
ことを示している。
② 聖徒として召された教会
コリント教会は多くの問題を抱えていた。
しかしパウロは彼らをまず「聖なる者とされた人々」と呼ぶ。
- キリストによって聖なる者とされた
- 神に属する民とされた
- 神の教会とされた
のである。
③ 神の恵みへの感謝
パウロは問題を指摘する前に感謝を述べる。
教会には、
- 豊かな言葉
- 豊かな知識
- 様々な賜物
が与えられていた。
④ 神の真実
信徒を最後まで支えるのは人間ではない。
神ご自身である。
「神は真実です」
という言葉は、この書簡全体を支える重要な宣言である。
パウロは問題を抱える教会であっても、まず神の恵みの働きを認めている。
これは牧会における重要な姿勢である。
2. 分裂への警告(1:10-17)
① 一つ心になるよう勧める
パウロは、
「みな同じことを語り、分裂することなく」
と勧める。
教会は多様性を持ちながらも、
- 一つの信仰
- 一つの主
- 一つの福音
によって結ばれるべきである。
② クロエの家の人々からの報告
パウロは教会内部の争いを知らされていた。
そこでは、
- パウロ派
- アポロ派
- ケファ派
- キリスト派
の対立が起きていた。
③ キリストは分割されていない
パウロは問いかける。
「キリストが分けられたのですか」
教会の中心は指導者ではなく、キリストである。
④ 十字架の中心性
救いは、
- パウロによるのではない
- アポロによるのではない
- ペテロによるのではない
キリストの十字架によるのである。
教会が人間中心になる時、必ず分裂が生じる。
教会がキリスト中心になる時、一致が生まれる。
3. 十字架の言葉は神の力(1:18-25)
① 二つの反応
十字架の福音に対して人々は二つの反応を示す。
- 滅びる者には愚か
- 救われる者には神の力
である。
② 人間の知恵の限界
神は、
「知者の知恵を滅ぼす」
と語られる。
人間の哲学や知識だけでは、神の救いを理解できない。
③ ユダヤ人とギリシア人
ユダヤ人は、
- しるし
- 奇跡
- 力
を求めた。
ギリシア人は、
- 哲学
- 論理
- 知恵
を求めた。
しかし神は、十字架のキリストを提示された。
④ 十字架の逆説
十字架は、
- 弱さに見える
- 敗北に見える
- 恥に見える
しかし実際には、
- 神の力
- 神の知恵
- 神の勝利
なのである。
福音は人間の期待を満たすためのものではなく、神が定められた救いの方法。
4. 神が選ばれる者たち(1:26-31)
① コリント教会の現実
教会には、
- 知者
- 権力者
- 名門の出身者
が多かったわけではない。
むしろ社会的に弱い人々が多かった。
② 神の選び
神は、
- 愚かな者
- 弱い者
- 卑しい者
を選ばれた。
それは人間の誇りを取り除くためである。
③ 誇るべきお方
救いは、
- 知識によらない
- 能力によらない
- 功績によらない
神の恵みによる。
④ キリストこそ私たちの救い
キリストは、
- 知恵
- 義
- 聖
- 贖い
となってくださった。
信徒は自分を誇るのではなく、主を誇るのである。
十字架は人間の誇りを砕き、すべての栄光を神に帰する。
神学的意味
① 教会の一致の中心はキリストである
- 指導者ではない
- 教派ではない
- 人間の考えでもない
キリストご自身である。
② 十字架は福音の中心である
- 救いの基礎である
- 神の力である
- 神の知恵である
③ 人間の知恵には限界がある
- 哲学
- 知識
- 学問
は有益であっても救いを与えることはできない。
④ 救いは神の恵みによる
- 努力によらない
- 地位によらない
- 能力によらない
完全に神の恵みによる。
⑤ 神は弱い者を用いられる
- 愚かな者を選び
- 弱い者を選び
- 小さな者を選ぶ
ことによって神の栄光を現される。
⑥ キリストとの関係
キリストは、
- 教会の唯一の頭
- 十字架につけられた救い主
- 神の知恵
- 神の力
- 私たちの義と聖と贖い
である。
信徒の一致も救いも、すべてキリストのうちに見出される。
まとめ
- 第一コリント1章は教会の分裂問題から始まる。
- パウロはまず神の恵みに感謝している。
- 教会の一致はキリストを中心として実現する。
- 分派争いは人間中心の思考から生まれる。
- 十字架の言葉は滅びる者には愚かに見える。
- しかし救われる者には神の力である。
- 神は人間の知恵を超える方法で救いを実現された。
- 神は弱い者や小さい者を用いられる。
- 誇るべきお方は人間ではなく主である。
「教会の一致は十字架のキリストを中心にする時に実現し、救いも奉仕もすべて神の恵みによるため、信徒は自分ではなく主のみを誇るべきである」

