第二コリント 13章 自らを吟味しなさい(13:1-14)
背景
① 第二コリントの結論
10章から続いてきた
- 使徒職の弁明
- 偽使徒への警告
- 弱さの神学
は、この13章で締めくくられる。
パウロは最後に、自分の正当性を弁護するだけでなく、コリント教会自身が神の前でどう歩んでいるかを問う。
② 三度目の訪問を前にして
パウロは、コリントへの三度目の訪問を控えていた。
彼は、
- 悔い改めのない罪
- 分裂
- 高慢
が残っていないことを願っていた。
③ 使徒職よりも教会の回復
パウロが最も望んでいたのは、自分が正しいと認められることではない。
教会が健全になることである。
④ 本章の中心テーマ
13章全体の主題は、「自分自身を吟味し、キリストのうちに堅く立ちなさい」ということである。
第二コリントは「パウロが自分を証明する手紙」のように見えるが、最後には「あなたがた自身を吟味しなさい」という方向へ読者を導いている。
1. 三度目の訪問への警告(13:1-4)
① 三度目の訪問
パウロは、
「これから三度目にあなたがたのところへ行きます。」
と語る。
これは単なる旅行計画ではない。
教会の状態を確認する牧会的訪問である。
② 証人の原則
彼は申命記の原則を引用する。
「二人または三人の証人の証言によって。」
罪の問題は感情ではなく、事実に基づいて扱われなければならない。
③ 悔い改めない者への警告
もし罪を悔い改めない者がいるなら、パウロは厳しく対処すると語る。
④ キリストの権威
教会は、「パウロに本当に権威があるのか」を試そうとしていた。
しかしパウロは、キリストご自身が彼を通して語られると宣言する。
⑤ キリストの弱さと力
キリストは、十字架において弱く見えた。
しかし復活によって神の力を示された。
⑥ パウロも同じ道を歩む
彼もまた、弱く見えるかもしれない。
しかし神の力によって働くのである。
十字架と復活の原理はキリストだけでなく、使徒の働きにも現れている。
2. 自分自身を吟味しなさい(13:5-10)
① 本章の中心命令
有名な言葉が語られる。
「自分自身を吟味しなさい。信仰に立っているかどうかを試しなさい。」
② 他人を裁く前に
コリント教会は、パウロを批評し批判し続けていた。
しかし本当に問うべきなのは、自分自身の信仰であった。
③ キリストが内におられるか
信仰とは単なる知識ではない。
キリストが内に住んでおられる現実である。
④ パウロの願い
彼は、自分が認められるよりも、教会が正しい歩みをすることを望んでいる。
⑤ 建て上げるための権威
パウロの権威は、
- 支配するためではなく
- 破壊するためでもなく
- 建て上げるため
に与えられている。
⑥ 厳しい訪問を避けたい
だからこそ彼は事前に手紙を書いた。
可能なら、訪問時には喜びの交わりを持ちたかったのである。
霊的成熟とは、自分が正しいか証明することではなく、自分自身を神の前で吟味し続けることである。
3. 最後の勧め(13:11)
① 喜びなさい
結論部分でパウロは、短い命令を並べる。
まず、
「喜びなさい。」
と勧める。
② 完全な者を目指しなさい
これは完全無欠になれという意味ではなく、成熟を目指しなさいという勧めである。
③ 励ましを受けなさい
神の慰めと励ましを受け取ることが求められる。
④ 心を一つにしなさい
第二コリントの最初から問題だった分裂に対し、再び一致が勧められる。
⑤ 平和のうちに生きなさい
教会は争いではなく、平和を表す共同体でなければならない。
⑥ 神の臨在
その時、愛と平和の神が共におられる。
この一節には教会生活の理想像が凝縮されている。
4. 三位一体的祝祷(13:12-14)
① 聖なるあいさつ
信徒たちは、互いに愛をもって迎えるよう勧められる。
② 聖徒たちの交わり
他の教会からも挨拶が送られる。
教会は地域を超えて一つである。
③ 新約聖書で最も有名な祝祷
最後に有名な祝祷が記される。
「主イエス・キリストの恵みと、 神の愛と、 聖霊の交わりとが、 あなたがたすべてと共にありますように。」
④ 父・子・聖霊
ここには、
- キリストの恵み
- 父なる神の愛
- 聖霊の交わり
が並べられている。
⑤ 三位一体の祝福
教会は三位一体の神の祝福の中で生かされている。
⑥ 恵みから始まり恵みで終わる
第二コリントは、苦難や対立を扱いながらも最後は恵みと愛と交わりで終わっている。
この祝祷は今日でも世界中の教会で用いられている最も重要な祝福の宣言の一つである。
神学的意味
① 信仰者は自らを吟味すべきである
- 他人を裁く前に
- 自分自身を見つめ
- 神の前に立つ
必要がある。
② キリストは弱さの中で力を現される
- 十字架を通り
- 復活へ至り
- 力を示された
のである。
③ 教会の権威は建て上げるためにある
- 支配ではなく
- 奉仕であり
- 回復のためである
④ 教会は一致と平和を追い求める
- 分裂ではなく
- 和解を目指し
- 愛の中を歩む
共同体である。
⑤ 神の恵みが教会を支える
- キリストの恵み
- 父の愛
- 聖霊の交わり
によって教会は保たれる。
⑥ 三位一体の神が信徒を導かれる
- 父なる神
- 子なるキリスト
- 聖霊
が共に働かれる。
⑦ キリストとの関係
キリストは、
- 信徒の内に住まわれる主
- 教会を建て上げる頭
- 十字架と復活の救い主
- 恵みの源
である。
信徒はキリストの内にあるかを絶えず吟味しながら、その恵みによって歩むのである。
まとめ
- 第二コリント13章は手紙全体の結論である。
- パウロは三度目の訪問を前に警告を与える。
- 教会は自らを吟味しなければならない。
- キリストは信徒の内に住まわれる。
- 権威は教会を建て上げるために与えられる。
- 信徒は成熟と一致を目指すべきである。
- 平和の神は教会と共におられる。
- 教会は愛による交わりを保つよう召されている。
- 三位一体の神の祝福が教会を支える。
「信徒は常に自らの信仰を吟味し、キリストの恵みの中にとどまりながら、愛と一致と平和のうちに歩むべきである」

