ローマ10章 信仰による救い(10:1-21)
背景
① イスラエルへの思い
ローマ9章でパウロは、
- 神の主権的な選び
- 神の憐れみ
- 神の救いの計画
について語りました。
しかし彼は決して冷たい神学論争をしているのではありません。
同胞イスラエルの救いを心から願っていました。
② 人間の責任の強調
9章が神の主権を強調していたのに対し、10章では人間の応答と責任が強調されます。
パウロは、「なぜイスラエルが救いに至らなかったのか」を説明します。
③ 信仰による義と律法による義
ユダヤ人の多くは、律法を守ることによって義を得ようとしていました。
しかし神が与えられる義は、信仰によって受け取るものです。
④ 本章の中心テーマ
ローマ10章の主題は、「救いはキリストへの信仰によって与えられる」ということです。
ローマ10章は、救いが民族や功績によるのではなく、イエス・キリストを信じるすべての人に開かれていることを力強く宣言しています。
1. イスラエルの熱心さと誤り(10:1-4)
① パウロの願い
パウロはまず、イスラエルの救いを心から願っていると語ります。
② 熱心さはあった
イスラエルには神に対する熱心さがありました。
③ しかし正しい知識がなかった
問題は熱心さそのものではありません。
神の義についての正しい理解が欠けていました。
④ 自分の義を立てようとした
彼らは神の義に従うのではなく、自分自身の義を打ち立てようとしました。
⑤ キリストが律法の完成
パウロは宣言します。
「キリストは律法の完成です。」
⑥ 信じる者への義
キリストによって、信じるすべての人に義が与えられます。
宗教的熱心さだけでは人は救われません。神が与えてくださる義を受け入れることが必要です。
2. 信仰による義は身近にある(10:5-13)
① 律法による義
モーセは、律法を守る者がそれによって生きると語りました。
② 信仰による義
しかし信仰による義は別の道を示します。
③ 天に上る必要はない
キリストを連れて来るために、天に上る必要はありません。
④ 底知れぬ所に下る必要もない
キリストを死者の中から引き上げるために、深みに下る必要もありません。
⑤ みことばは近くにある
救いの言葉は、すでに人々の近くにあります。
⑥ 有名な救いの宣言
パウロは語ります。
「もしあなたの口でイエスを主と告白し、神がイエスを死者の中からよみがえらせたと心で信じるなら、あなたは救われます。」
⑦ すべての人に開かれた救い
さらに語られます。
「主の御名を呼び求める者はみな救われる。」
救いは複雑な儀式や特別な資格によるのではありません。キリストへの信仰によって与えられます。
3. 福音は宣べ伝えられなければならない(10:14-17)
① 信じるためには聞かなければならない
パウロは一連の問いを投げかけます。
② 呼び求めるためには信じる必要がある
救いを受けるには信仰が必要です。
③ 信じるためには聞く必要がある
聞いたことのない方を信じることはできません。
④ 聞くためには宣べ伝える者が必要
福音は伝えられなければなりません。
⑤ 派遣される必要
宣べ伝える者は遣わされる必要があります。
⑥ 美しい足
有名な言葉が語られます。
「良い知らせを伝える人たちの足は、なんと美しいことでしょう。」
⑦ 信仰は聞くことから始まる
この章の中心的な言葉です。
「信仰は聞くことから始まり、聞くことはキリストについてのことばによるのです。」
神は福音宣教を通して人々を救いへ導かれます。
4. なぜイスラエルは信じなかったのか(10:18-21)
① 聞かなかったのではない
イスラエルは福音を聞いていなかったのではありません。
② すでに知らされていた
神は旧約時代から語り続けておられました。
③ 異邦人の受け入れ
かえって異邦人たちが神を求めるようになりました。
④ イスラエルの不従順
イスラエルは神の呼びかけを拒み続けました。
⑤ 神の忍耐
それにもかかわらず神は語られます。
「わたしは一日中、手を差し伸べていた。」
⑥ 神の変わらない愛
神は不従順な民に対しても、
なお忍耐と憐れみを示しておられます。
イスラエルの問題は知識不足ではなく、神への応答の問題でした。
神学的意味
① 救いは信仰によります
- 行いによるのではありません
- 功績によるのでもありません
- キリストへの信仰によります
救いは神の恵みとして与えられます。
② キリストは律法の完成です
- 律法を成就され
- 義を実現され
- 救いを完成されました
キリストによって神の救いの計画は完成しました。
③ 救いはすべての人に開かれています
- ユダヤ人にも
- 異邦人にも
- すべての人に
同じ救いが与えられます。
④ 福音宣教は不可欠です
- 聞かなければ信じられません
- 宣べ伝えなければ聞けません
- 神は宣教を用いられます
教会は福音を伝える使命を与えられています。
⑤ 信仰は神の言葉から生まれます
- 感情からではなく
- 人間の知恵からでもなく
- 神のことばから生まれます
神のことばには人を救う力があります。
⑥ 神は忍耐深いお方です
- 拒まれても
- 背かれても
- 憐れみを示し続けられます
神の愛は驚くほど忍耐強いものです。
⑦ キリストとの関係
キリストは、
- 律法を完成されたお方
- 信じる者に義を与えてくださるお方
- すべての人の主
- 呼び求める者を救ってくださる救い主
です。
ローマ10章は、救いが人間の努力によらず、キリストを信じる信仰によって与えられることを明らかにし、その福音を全世界へ宣べ伝える使命を示しています。
この箇所が私たちに語ること
① 救いは信仰によって受け取るもの
イスラエルの人々は熱心に神を求めていましたが、多くの人は行いによって義を得ようとしていました。
しかしパウロは、救いは努力や功績ではなく、キリストを信じる信仰によって与えられると教えています。
私たちも自分の頑張りではなく、神の恵みに信頼して歩むよう招かれています。
② キリストはすべての人の救い主
福音は特定の民族や特別な人のためだけのものではありません。
「主の御名を呼び求める者はみな救われる」
とあるように、救いの門はすべての人に開かれています。
神は今も、一人でも多くの人が救いにあずかることを願っておられます。
③ 信仰は神のことばから生まれる
パウロは、
「信仰は聞くことから始まり、聞くことはキリストについてのことばによるのです。」
と語ります。
信仰は人間の熱意や感情から生まれるのではありません。
神のことばを聞き続けることによって育っていくのです。
④ 福音を伝える使命が与えられている
人は聞かなければ信じることができません。
そのため神は福音を語る人々を遣わされます。
私たちもまた、自分に与えられた場所で福音を証しする使命を託されています。
⑤ 神は今も人々に手を差し伸べておられる
イスラエルは神の招きを拒み続けました。
それでも神は、
「わたしは一日中、手を差し伸べていた。」
と語られます。
神はあきらめることなく、人々を救いへ招き続けておられるのです。
⑥ 熱心さだけでは十分ではない
イスラエルには熱心さがありました。
しかし神の義について正しく理解していませんでした。
信仰生活において大切なのは、熱心であることだけでなく、神の真理に立つことです。
⑦ 救いの確かさはキリストにある
救いは私たちの感情や行いの出来不出来によるものではありません。
キリストを信じる者に与えられる神の約束です。
だから私たちは確信を持って主を見上げることができます。
この章の中心メッセージ
救いは律法の行いによるのではなく、イエス・キリストを信じる信仰によって与えられます。
主の御名を呼び求める者は、民族や背景に関係なく救われます。
ローマ10章は、福音がすべての人に開かれていること、そして信仰が神のことばを聞くことによって生まれることを教えています。
「信仰は聞くことから始まり、聞くことはキリストについてのことばによるのです。」(ローマ10:17)

