ローマ13章 社会と隣人への責任(13:1-14)
背景
① 献身の具体的な実践
ローマ12章でパウロは、
- 自分を生きたささげ物として献げること
- 教会における奉仕
- 愛による生活
を教えました。
13章では、その献身が社会生活の中でどのように表されるべきかを説明しています。
② 信徒と社会の関係
初代教会の信徒たちはローマ帝国の支配下で生活していました。
彼らは、「神に従うこと」と「社会の中で生きること」の関係を理解する必要がありました。
③ 愛の実践としての生活
本章では、
- 国家への責任
- 隣人への愛
- 終わりの日への備え
という三つの側面から信徒の生活が語られています。
④ 本章の中心テーマ
ローマ13章の主題は、「信徒は神に従いながら、社会の中で責任を果たし、愛によって歩むべきである」ということです。
ローマ13章は、信仰が教会の中だけにとどまらず、社会生活や人間関係の中に具体的に表されるべきことを教えています。
1. 上に立つ権威に従う(13:1-7)
① すべての権威は神から出ている
パウロは、
「人はみな、上に立つ権威に従うべきです。」
と教えます。
② 神によって立てられた権威
権威は最終的に神の許しと支配の下にあります。
③ 権威への反抗
正当な権威に反抗することは、神の秩序に逆らうことになります。
④ 支配者の役割
本来、支配者は善を行う者のためではなく、悪を行う者を抑えるために存在しています。
⑤ 神のしもべ
国家の権威もまた、神の働きのために用いられることがあります。
⑥ 良心のための従順
信徒は罰を恐れるだけでなく、良心のゆえに従います。
⑦ 税を納める
税金や尊敬など、社会的義務を果たすよう求められています。
信徒は社会から離れて生きるのではなく、神の秩序を尊重しながら生きるよう召されています。
2. 愛は律法を成就する(13:8-10)
① 愛の負債だけを残す
パウロは、
「互いに愛し合うことのほかは、だれにも何の借りもあってはなりません。」
と語ります。
② 隣人への愛
人を愛する者は、律法を成就しています。
③ 十戒の要約
パウロは、
- 姦淫してはならない
- 殺してはならない
- 盗んではならない
- むさぼってはならない
という戒めを引用します。
④ 一つの戒めへの集約
これらすべては、
「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい。」
という言葉に要約されます。
⑤ 愛は害を加えない
真の愛は隣人を傷つけません。
⑥ 愛は律法の完成
そのため、
「愛は律法を全うします。」
と語られます。
律法の目的は単なる規則の遵守ではなく、愛に生きる人を生み出すことでした。
3. 目を覚まして歩みなさい(13:11-14)
① 時を知る
信徒は今がどのような時代であるかを知らなければなりません。
② 救いは近づいている
パウロは、
信じた時よりも救いの完成が近づいていると語ります。
③ 夜は更けた
罪と闇の時代は終わりに向かっています。
④ 昼が近づいた
神の国の完成の日が近づいています。
⑤ 闇の行いを捨てる
信徒は罪の行いを捨てるよう求められています。
⑥ 光の武具
神の光の武具を身に着けて歩みます。
⑦ キリストを着る
章の最後でパウロは語ります。
「主イエス・キリストを着なさい。」
⑧ 肉の欲に備えない
肉の欲望を満たすことではなく、キリストに似た者となることが求められています。
終わりの日への希望は、現実逃避ではなく、今を聖く生きる力となります。
的意味
① 神は歴史を支配しておられます
- 国家も
- 支配者も
- 歴史の流れも
神の主権の下にあります。
信徒は神の支配を信頼して生きます。
② 信徒は社会的責任を持っています
- 法を尊重し
- 義務を果たし
- 社会に貢献します
信仰は社会生活から切り離されません。
③ 愛は律法の完成です
- 隣人を大切にし
- 傷つけることを避け
- 仕える生き方をします
愛こそ律法の目的です。
④ 終末の希望は現在の生活を変えます
- 目を覚まし
- 聖く生き
- 主を待ち望みます
将来の希望は現在の生き方に影響を与えます。
⑤ キリストを着る生き方が求められます
- キリストに倣い
- キリストを表し
- キリストの性質を身につけます
信徒は日々キリストに似た者へと変えられていきます。
⑥ 愛は福音の実です
- 信仰から生まれ
- 聖霊によって育てられ
- 人々に向けられます
福音は愛となって現れます。
⑦ キリストとの関係
キリストは、
- 真の王
- 律法を完成されたお方
- 完全な愛を示されたお方
- 光として来られた救い主
です。
ローマ13章は、信徒がキリストに従いながら社会の中で責任を果たし、愛によって歩み、主の再臨を待ち望むよう召されていることを教えています。
この箇所が私たちに語ること
① 信仰は社会の中で生きるためのものである
キリスト者は社会から離れて生きるのではありません。
神は私たちを家庭や職場、地域社会の中に置き、その場所で神の栄光を現すよう召しておられます。
信仰は礼拝の時だけではなく、日常生活の中で表されるものです。
② 神は歴史を支配しておられる
パウロは権威に従うことを教えています。
それは、人間の支配者が完全だからではありません。
神が歴史の主権者として働いておられることを信じるからです。
私たちは混乱した時代の中でも、神の支配を信頼して歩むことができます。
③ 愛は私たちの生き方の中心である
ローマ13章の中心には、
「愛は律法を全うします」
という教えがあります。
神を愛し、隣人を愛することこそが、信仰生活の土台です。
私たちは正しさを主張するだけではなく、愛を実践するよう招かれています。
④ 隣人を大切にする心が求められている
愛は感情だけではありません。
相手を傷つけないよう配慮し、相手の益を願う具体的な行動として表されます。
家庭でも教会でも社会でも、隣人を大切にする姿勢が求められています。
⑤ 時を意識して生きる
パウロは「眠りから覚めるべき時」と語っています。
私たちは忙しさの中で、神への情熱や使命を見失うことがあります。
だからこそ日々、神の前に目を覚まし、与えられた時間を大切に用いる必要があります。
⑥ キリストを着る人生を歩む
パウロは、
「主イエス・キリストを着なさい」
と命じています。
信仰とは単に教えを知ることではありません。
キリストの人格や生き方が私たちを通して表されることが求められています。
⑦ 終わりの日の希望を持って歩む
信徒は将来の完成された救いを待ち望む者です。
その希望は現実逃避ではなく、今を誠実に生きる力となります。
主の再臨を待ちながら、今日も愛と従順のうちに歩むことが大切です。
この章の中心メッセージ
信徒は神が立てられた秩序を尊重し、社会の中で責任を果たすよう求められています。
また、隣人を愛することによって律法を全うし、キリストを着る者として歩むよう召されています。
ローマ13章は、終わりの日を待ち望みながら、愛と従順をもって日々を生きることが信仰者の務めであることを教えています。
「愛は隣人に害を与えません。それゆえ、愛は律法を全うします。」(ローマ13:10)

